むしゃむしゃ食べてやった。後悔している。
この森歩いて約三時間。
先ほど見つけましたこの赤い果物だけれど、なかなか甘くて美味しい。くどい訳でもないサッパリした甘さで、いくらでも食べられそうだった。
辺りを見渡すと他にも黄色っぽいものや、はたまたこれ食って大丈夫かなとかためらってしまいそうな完全に真っ青なやつまである。
この木には大まかに分けて七種類のーー言うならば虹の七色の、と言えばわかりやすいだろうーー果物が生るようだ。
全種類落ちている訳もなく、木登り技術もないので全色コンプリートはできなかったが、色ごとに味に特徴があって美味しく、飽きることはなかった。
……味の詳細?俺は語彙力無いんだからそういうの求められても困るわ。言わせんな恥ずかしい。
湖、もとい水もあったし、食糧も見つかった。とりあえずこれで数日間位は大丈夫だろうーー。
……そう思っていた時期が俺にもありました。
その日から三日後のことだった。
やっぱり、ここは俺の知ってる世界じゃない。そう認識せざるを得ないその証拠たるそれらが、俺の目の前で今討論している。
それら、というか彼らだが。
彼らの見た目は皆小学生位だ。しかし、ちらほらと背丈に似合わない髭を生やした個体が見られる。
また、彼らには背中から半透明の羽根が生えていた。ふわふわと浮かんでいる個体もいるため、ただの飾りというわけではないだろう。
そんな彼らが俺のことについて話し合っている。ときどき意味の分からない単語が聞こえてくるが、彼らの言っていることは日本語で聞き取ることができるようなので正直助かった。
何故俺がここにいるのかというと、あの果物の木が原因のようだ。
曰く、彼らはあの木を大事にしているのだが、俺が腹が減っているのを見かねてか、俺があそこにたどり着いた時、少し位木の実を食べるぶんには大目に見ようと思っていたらしい。
しかし、問題の俺が二日間も近辺にとどまり、なかなか出て行かないものだから、もう捕縛してしまおうということになったようだ。流石に粘り過ぎたか、失敗失敗。
ちなみに、俺は今ツタのような植物で簀巻きにされている。切れないので、自力での脱出はできそうになかった。
俺を中心に輪の様にして距離をとられている。こそこそと話しているつもりなんだろうが、いろいろ丸聞こえってやつである。
一つだけ言いたいことは、視線を向けると『うわっ! コッチ見た!』といった声をあげるのだけは本当にやめて欲しい。かなり心にクるから。悲しくなるから。
結果的に、彼らの代表者が出て来るまでの約一時間、俺は精神的攻撃を周囲から受け続けることになった。
もたもたしててすいません。
もっと頑張りたいと思います。