Survival2:東京<Tokyo>-異変-
雪原は、東京駅に着いた。
切符を購入し、改札を通り過ぎて彼が乗ろうとしている山手線のホームへ続く階段の前で、彼の足は止まった…。
平日の夕刻の東京駅は、会社から帰路に就く人達や、今まで遊んでいた若者達などの帰宅ラッシュで混雑している。
今日も、沢山の人達が東京駅構内を歩いている。
「ふぅ…疲れたな。さて、切符買わないと…」
俺が券売機で切符を購入しようとしたその時、俺の耳に駅員のアナウンスが聴こえた。
「えぇ…JR東京駅をご利用頂きまして誠にありがとうございます。只今より、山手線外回りホームにおきまして…」
(山手線外回りって…俺、それに乗んじゃん。事故でも起きたのか?ま、切符買っちまったし…さっさと行くか。)
俺は、鞄からイヤホンとラジオを取り出し、イヤホンを耳に填めてラジオを聞きながら改札を通って山手線ホームへ向かった。
この数分後…アナウンスを最後まで聴けば良かったと、俺は後悔する事となる。
山手線のホームへ続く階段の前まで来た時、俺は足を止めた。
階段の入口には、沢山の人だかりが出来ていた。誰かが来るわけでもなく、そこにいた人々の目は上のホームに向けられていた。どうやら、上で何かがあったらしい…。
(あれ?誰も、山手線を利用しないのか?いや、そんな事はある筈がない。てか、俺の周りにいる人達はホームの様子を見てる感じがする。…やはり、事故でも起きたのか?)
俺は、少し心配になり、近くにいる駅員に問いかけた。
「あの…山手線、事故とかで止まってるんですか?」
すると、駅員は顔色一つ変えずにさらりと言った。
「いえ、通常通り運行してますけど?」
(運行してるなら、何故誰も乗ろうとしてないんだ?)
俺は、更に気になってまた駅員に質問した。
「今日は何か…山手線でイベントでもあるんですか?」
すると、駅員の眉が少し動いた。そして駅員は、山手線ホームへ続く階段の方を見ながら言った。
「ええ、とても楽しいイベントがこれから行われようと…いや…まぁ、詳細の程はお客様が上に上がってみて、ご自分の目でお確かめ下さい。では、失礼します…。」
そう言って駅員は、大勢の傍観人の間を通り抜けて行ってしまった。
(何なんだよ…楽しいイベントって?こっちは、早く会社に戻りたいのに…)
俺は駅員が言った事を気にせずに、下のコンコースから上のホームの様子を見ている大勢の傍観人を避けながら、ホームへ続く階段を駆け上がって行った…。