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悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにする。  作者: をち。


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誰かの影

「?」


きょろきょろとしている俺にクラウスが不思議そうな顔をした。


「どうした、ミル。何かあったのか?」

「いや、どこかから視線を感じるような気がして……」


でもあたりを見回しても誰もいないのだ。

思い返せば朝も視線を感じたように思う。

うーん……。


クラウスがポンポンと俺の背を叩く。



「まあ、気のせいだろ。

大丈夫だ、ミル」


そしてなぜかあらぬ方向に向かって声を張り上げた。


「仮に誰かいたとしても、姿を見せないような臆病ものだ。大したヤツじゃねえさ。何かあっても俺たちがいるしな!」


そんなに大きな声を出さなくても聞こえてこるぞ?

俺を元気付けようとしてくれたのだろうか。友情とは有難いものだ。


「ありがとう、クラウス。少し過敏になってしまっているようだ。

気にしないことにするよ」





ところが、ことはそれで終わらなかった。その日から時々おかしなことがおこるようになったのだ。

といっても悪いことではない。


皆で寄ったあのカフェのクッキーが缶ごと机の中に入っていたり。

毎日なにかしらの…甘味が供されているのだ。

最初は何かの罠かと警戒していたのだが、移動教室に行く途中で落としてしまったものが、いつの間にか俺の机に置いてあったので、悪意ではないと判断した。


「……なんなんだ一体……」


今日もあった机の中の貢ぎものに困惑する俺に、ミルフェがワクワクした声でこう断言した。


「きっとミルのファンですわ!」

「いや、いっそストーカーって言った方がいいんじゃないかな?」


ジークは呆れ顔。

俺としてはどちらも微妙だ。

こんなことは初めてで、いったい相手が何を考えているのか、何をしたいのか分からない。

どうしたらよいのだろう?

このまま貰っておいていいのか?


「まあ、拗らせてる人であることだけは間違いないね」

「そうね。なんかコソコソしてるもの。堂々と渡せばいいのに」

「そうできない事情があるんだと思うぜ?ミルに嫌われているとか……」

「ええ?ほんとにストーカー?」


話を聞いているうちに怖くなってきた。

俺は付き纏いにあっているのだろうか?

そこまで執着されるような覚えはないのだが……。

いったい誰だ?


「これでミルから名前も出てこないあたりで、十分終わってるよなアイツも」

「そうだね。今さら感が強すぎて、なんだかねえ……」


二人の口ぶりは誰だか知っているかのようだ。


「クラウス、ジーク、心当たりでもあるのか?」


聞けば、微妙な顔で首を振られた。


「ミルに心当たりがないんなら、俺らもないぞ?な?ジーク」

「だね。ミルに心当たりがないんだものね?自業自得だしね」


心当たり……か。

ストーカーと聞いて一瞬ルディアスかもと思いはしたが、そんなはずはないだろう。

逆恨みされこそすれ、好意を抱かれる覚えはない。抱かれるなら悪意だろう。

嫌がらせをしてくるのならともかく、されているのはどちらかといえば手助けなのだ。

その時点でルディアスではない。


そういうようなことを説明すれば、ジークとクラウスが苦笑した。


「ミルからしたらそうなるよねえ……。うん。わかるよ。だよねえ」

「まあ、嫌なことしてこないんなら、放っておいていいんじゃねえか?

ミルが嫌なら犯人を捜してやってもいいけど……。どうする?」


「気にはなるが、嫌……ではないな。ただ……何がしたいのかわからなくて、困惑する」


するとミルフェがこう言った。


「単に、ミルを喜ばせたいだけじゃない?」

「え?俺を?」

「ええ。好きな人に喜んでもらいたい、ただそれだけだと思うわよ?」

「好きって……俺が?それはないだろう」


だって俺は嫌われ者だ。このクラスの皆は優しいからそんなことはないが、知らない相手にそこまで好かれるはずがない。

ミルフェはこれまでの俺を知らないからそんなことを言うのだ。


「ミルは少し自己評価が低すぎるわね」


優しく頭を撫でてくれる。


「あなたはとても素敵よ?本当のあなたを知ればみんなあなたを好きになるわ。

これからは、どんどんミルを好きな人が増えていくわよ?」

「ああ。そうだな。ミルって黙ってるとクールな美人に見えるけど、話してみるとすげえ可愛いんだもん。

ギャップがたまらん!」

「ギャップ萌えってやつよねっ!分かるうううう!!」

「そ、それは友達の欲目というやつだと思う。でも、ありがとう。

褒めて貰えてうれしい」

「そういうとこな!素直すぎ!」

「だね。そういうところが可愛いところなんだよ、ミル」



皆に相談した結果、害がないから俺が嫌じゃないなら放置、好きにさせておけばいい、ということになった。

それはそれで申し訳ない気がする。

このように好意を示してもらっても、俺からは何も返しようがないのだから。

でも、ランジェ曰く「推しの幸せがファンの幸せなの!」ということらしいからよいのだそうだ。


「誰だかわからないが、影で動いているのでカゲくんと呼ぶことにする。

カゲくん、いつか顔を出してくれるといいが」


「いや、カゲくんなんて可愛い名前、もったいねえよ!絶対に顔を出さないでほしいな、俺は!」

「だね。僕も同じ意見だ。カゲはカゲのままの方が幸せだと思うな」


カゲくん、2人に何をした?かなり嫌われているようだぞ?

というか、やはり2人は正体を知っているんじゃないか?聞かない方がいいということなのだろうか。









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