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悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにする。  作者: をち。


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ルディアスとの終わり



ご拝読頂きありがとうございます♡

こちらで第一章、ルディアスざまあ編は終わります。

責めるような視線の集中砲火を受け、ルディアスは必死で言い訳をし始める。


「ご、誤解だ!それは…お前が私につれなくするから…私も意地になっていたのだ!

だからこれからそれを改めようと……関係を改善しようと会いに来てやったのに……

そこまで言うのならば、お前から私を誘えば良かったではないか。お前が少しでも甘えてくれたら私だって……」


「自分を冷遇し悪意を向ける相手に甘える?そんなことできるはずもありません。

この十年、私は『真実の愛を邪魔する形だけの婚約者』といわれ、レオリースは『兄であるミルリースにより殿下と結ばれることを許されぬ健気な弟』でした。あなたはそれを否定なさらない。

『殿下に嫌われている婚約者』としての私の悪評を諌めようとすらしない。

そんな相手に、あなたなら甘えられますか?」


俺の言葉が事実だということは、誰よりもルディアス自身が分かっているはずだ。


彼の顔からは血の気が失われ、その瞳にはなぜか絶望の色が浮かんでいた。


「わ、私は確かに愚かな事をした。それをこれから償うつもりで……まだ時間はあるからと…」


殿下らしくない、力のないか細い声。

彼は青ざめ震えながら、必死に言葉を紡ぐ。


「私は、私は本当にミルリースのことをっ…出会ったときからずっと…っかわいいと思っていたのだ……私以外の好意がお前に向けられるのが嫌で…………。

すまない…本当に……これからは大切にしようと……」


まだ言うのか?

まさか、本当に私の事が好きだとでも?

とても信じられないし、仮に真実だとしてもこれまでされたことは変わらない。

どのみちもう無理なのだ。遅すぎる。


殿下の言葉を遮り、俺はキッパリと別れを告げた。


「申し訳ないが…あなたの婚約者でいることは、私には苦痛でしかないのです。もう解放してください。

王命ですので、まだ形だけは婚約者でおります。が、先程申し上げた通りですので、殿下もご理解のほどを。

私が申し上げたいことはただひとつ。

私にはもうお構いなく。どうかお捨て置きくださいませ」


そしてクラスメートたちに向かって頭を下げた。


「お見苦しいところをお見せし、申し訳ない。

すまないが、まだ公表する時期ではない。

辞退については時期を見て申し出るつもりだ。

だからどうか、ここだけの話にして貰えるだろうか?頼む」


再度頭を下げた俺に、ジークが声を張り上げた。


「もちろんだ!クラスメートじゃないか!

私たちはミルリースの味方だ。

ここに残っていた皆には後で『決して漏らさない』という誓約書にサインさせよう。

いいかな、みんな?」


ジークがサラサラと簡単な宣誓書を書き出した。

そこにミルフェとランジェが皆を並ばせてくれる。


「はい、みなさま!こちらにお並びくださいまし」

「順番にお願いしますねー?」


クラスメートが次々とサインしていく。


「サインしたら帰っていいぞー!みんなー、秘密は守れよー」


クラウスがみんなを誘導し、出口へ。

クラスメートはみな


「ミルリース、これまでゴメンな?」

「これからは仲良くしようぜ!」

「秘密は守るから安心しろ」


などと俺に声をかけ、殿下に軽蔑の眼差しを投げかけて帰って行った。


皆が帰ってクラウス達と俺と殿下だけが残された。




「殿下」


俺は深々と頭を下げた。


「これまでお世話になりました。

あともうしばらく我慢してください。

そうすれば、あなたは自由です。

レオリースとお幸せに」






「ミル、行こうか」 


ジークがそっと俺の背を押す。


「殿下、お先に失礼致しますわね」


ミルフェが丁寧に頭を下げた。クラウスとランジェもそれに続く。





ポトリ。


殿下の下に落ちた水滴に気づかぬふりで、俺たちは教室を後にしたのだった。






公爵家の長男、第三王子の婚約者。

そんな肩書を大切に、周囲の期待に応えようと自分を押し殺して必死でやってきた俺。

だがそんなことに意味はなかった。

望んでもいない悪役という役を押し付けられるだけだ。


前世の記憶から、我慢を重ねた末に結局は悪役として断罪される俺の未来を知り、俺は全てを捨ててやることにした。




思い切ってすべて捨てることにしたとたん、世界は俺に優しくなった。


肩書などなくとも、俺にはシルがいる。

それに……たくさんの仲間ができた。

俺を信頼して仕事仲間になってくれたアル。

俺を心配し、第三王子から庇ってくれた友人たち。

まだ話したこともないクラスメートまで味方してくれた。


ほんの少し気持ちを変えただけで、俺の世界は大きく変わった。




悪いな、殿下、レオリース。

後はお前たちで勝手に幸せに生きてくれ!

俺は悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにする!




ご拝読頂きありがとうございます!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました♡

第二章からは商会編となります。

アルファポリス様のほうにてあげさせていただいておりますので、よろしければ……

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