ルディアス登場2
殿下が去ったとたん、クラウスが大きく息を吐いた。
「なんだよアレ?あれが第三王子?ミルの婚約者?酷いな。婚約者に対する態度じゃないだろう。
ミル、よく我慢してきたな」
よしよし、と頭を撫でてくれる手に、ふっと身体の力が抜けた。
「俺と殿下は最初から合わなかった。仕方ない」
「……にしても殿下も褒められた態度ではないね。ミルが無表情だと言われていたのも頷ける。ずっとあのような扱いではそうなっても仕方ないと思うよ」
「不敬でしょうが、言わせてくださいませ。政略結婚といえど…あれはないですわよ?」
「ミルリース様、よくぞはっきりおっしゃいました。格好良かったですわよ?わたくし、スッキリ致しましたわ!でも…大丈夫なんですの?」
今日会ったばかりの彼らはこんなにも優しい。
少し心を開いただけで、俺に味方し俺のために怒ってくれる人ができた。
「ミルリース様?なぜ嬉しそうなのですか?」
「え?俺は嬉しそうなのか?」
そんなつもりはなかったが、表情に出ていたのだろうか。
「……俺を心配し、怒ってくれる人がいるのだなと考えていた。……嬉しいものだな」
「…まあ!」
「改めて謝罪させてくれるかな?これまで僕は話したこともないのに噂だけで君のことを誤解していた。ごめんね、ミル」
「わたくしたちも、噂を信じてしまっておりました。ミルリース様はこんなに可愛らしい方なのに……」
「これからは俺がいるからな!大丈夫だぞ?」
「ああ。ありがとう。……君たちと友人になれて嬉しい」
心からの感謝を告げる。
俺はうまく笑えているだろうか。
友人たちの肩越しに、イージス様が見えた。
登校していらしたようだ。
彼は私に気づくとわずかに目を見開き、そして柔らかく微笑んだ。
口だけを動かし伝えてくれる。
「よかったね」
ええ。
イージス様。俺に友人ができました。
とても優しい友人なんです。




