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悪役令息の役どころからはサクッと離脱することにする。  作者: をち。


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2/22

悪役令息の変化

す、すみません!3時間ほど一話と二話が逆になっていました。こちらは二話です。一話アップしております。

まず俺は勉強をやめた。

必要な知識ならもう十分頭に入っているし、これ以上勉強せずとも上位の成績でいられる自信もある。

だから、もういいだろう。


思い立つが吉日とばかりに、その晩さっさとベッドに入る俺に、侍従のシリウスが怪訝な顔をした。

ちなみにシリウスは伯爵家の三男で、黒髪に濃紺の瞳という野性的で整った容姿の持ち主で、俺の侍従兼側近だ。

俺より5つ上の20歳で、俺が5歳の時に俺の将来の側近となるべく侍従としてつけられた。

結果的にシリウスは10歳という年齢で実家を出ることになってしまったのだが、本人は「どうせ家は継げず、自分で身を立てるか平民になるしかありませんでしたから。ミルリース様の侍従なら大歓迎です! 」と飄々としていた。

学園に通いながら他の使用人と共に俺の世話をし、卒業後は俺専属の侍従兼側近となって、俺が寝る時以外は常に側にいる。


「え? どうしたんですか? いつもは早く寝ろって言っても寝ない癖に。熱でもあるんですか? 」


ひどい言い草だが、ずっと俺の頑張りを見てきたからか、こいつだけは俺を悪役扱いしない。「僕の王子さま」の中でも、唯一最後までずっとミルリースの傍にいた。

そう、シリウスは今となってはただひとり俺が信頼できる人物なのだ。その代わり俺に対して遠慮もないのだが。


今までだって「そんなに頑張らなくてもよくないですか?クマができて余計に悪人顔になりますよ?」と何度も言われた。悪人顔とはなんだ! もう少し言い方があるだろう! 

まあ、認めるのは癪だが、実際にシリウスの言う通りだったわけだ。

頑張っても意味などなかった。



それが分かったからこそこうしてダラダラしているのだというのに。

許可も取らず勝手に人のおでこに手を当ててくるシリウス。


「あれ? 熱は無さそうですねえ」


おかしいな、と首をかしげる彼に、端的に答えを教えてやる。


「頑張るのをやめたんだ」


答えながらも布団をかぶり、明日からの予定を伝える。


「お前ももう寝ていいぞ?明日からは朝練も無しだ。朝食はいつも通りの時間にここに運ばせてくれ。これから食事はダイニングではなく自室でお前と二人で摂る。だからそのように手配してくれ。よろしくたのむ」


「え? は? ええ!? 」


「おやすみー」


シリウスが唖然としているのをよそにさっさと上掛けに潜り込んで目を閉じる。

慢性的に寝不足だから、おやすみ3秒。

俺はあっという間に夢の国に旅立ったのだった。






翌朝。

シリウスに起こされるまでぐっすりと眠った俺は、非常に気分がよかった。

頭もスッキリ気分爽快! 身体もこれまでにないほど軽い気がする。


「おはよう、シリウス! 最高の朝だな! 」


「おはよう御座います、ミルリース様。それはなによりです。今までが頑張りすぎだったんですから。しっかり睡眠をとられたからでしょうか、顔色もいいですね」


言いながら髪を梳かしつけ、顔と手を拭いてくれる。


「朝食をお持ちしますか? 」


「ああ。お前の分もだぞ? 」


「私はいつもどおり別室で」


「いや、俺が一緒に食事を取りたいのは、他人のような家族ではなくお前だ。あいつらと食うと飯が不味くなる。俺に栄養を摂らせたいなら、お前が一緒に飯を食って監視しろ」


「本当にどうされたんですか?」


「昨日言っただろう? 奴らのために我慢して頑張っても無駄だと気付いた。これからは俺は俺の好きにする。俺のために生きる。あとは飯を食いながら話す。ほら、飯を頼む」


「なんだか急に口も悪くなりましたね。でも、いいですね。その方がミルリース様らしい」


「ミルでいい」


「え?」


「二人の時はミルと呼べ。敬語もいらん。その方が俺も気が楽だ。二人の時くらいは気を抜かせろ」


「ふふ。わかりました」


「聞こえなかったか? 敬語は不要と言ったのだが? 」


シリウスは「はぁ」とため息をついて、肩を竦めた。


「わかったよ、ミル。これでいいか? 」


「ああ。じゃあ、シル、飯を頼む」


シリウスは俺の「シル」呼びに少し目を見開いた後、破顔した。


「ああ。了解!」


ひらりと手を振り出て行くシル。

なんだか一仕事終えたような爽快感がある。


父上と母上、レオリースの楽しそうな会話。俺が口を挟むと気まずげに会話が止まる。

そんなことを繰り返し、俺は無言で食事をするようになった。

楽しそうに笑う三人と、そこから締め出された一人の食事。

少しでも早く去ろうと、あくまでも優雅に、しかしできるだけ早く詰め込む食事が美味いはずもなく。俺の食事の量は次第に減っていった。


あの苦痛でしかない「家族ごっこ」の時間はもう終わりだ。

これからは気の許せる相手と会話しながらゆっくりと「食事」を楽しむのだ。

朝の鍛錬も、夜の予習ももう終わり。算術などは前世のほうがよほど進んでいた。歴史ももうとっく卒業範囲まで予習をおわらせている。あとはしっかり授業を受ければ十分だろう。

俺はこれから将来に向け街でのつてを広げねばならない。自身での人脈を作り上げなければ。

やることはたくさんある。もう俺の時間を無駄なことに割いてやるつもりはない。


初めまして。ご拝読頂きありがとうございます。

少しでもいいねと思って頂けましたら、ぜひ☆などをポチっと押して頂ければ……|ω・)チラリ

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