表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【ダーク】な短編シリーズ

空っぽのギフト

作者: ウナム立早


 Bビー国は、世界でも類を見ない内戦の状態にあった。


 昼も夜もなく戦闘が繰り返され、死傷者の数もさることながら、民間での食糧不足も問題となっている。


 民間人は荒れ狂う戦禍から逃げ惑いつつ、定期的に他国の輸送機を介して送られる、人道支援物資を頼りにして食いつなぐような有様だった。




 ある日、ひときわ大きな輸送機がやってきて、大量の物資が民間人のキャンプ場へとばらまかれた。


「おお、今日はたくさん落ちてきたぞ!」

「どこの国からだろう。神様が送ってくださったのだろうか」


 民間人たちは喜んだが、最初に封を開けた者が叫び出した。


「なんだよこれ、からっぽじゃないか!」


 支援物資のほとんどは空箱で、食べ物や薬はいつも通りの量しかなかったのだ。民間人たちは、肩透かしを食らった思いだった。




 数日後、民間で感染症が流行はやり始めた。重症ではないが、しつこく続く発熱と息苦しさが彼らを苦しめた。


「あれだ、あのからの物資が怪しいぞ。あれは神様なんかじゃない、悪魔からのギフトなんだ」


 熱にうなされた民間人のひとりが、そんなことを口にした。




 さらに数日後、急速に広まった感染症は徐々に落ち着きを見せ、かかった者たちもだんだんと回復するようになった。民間人たちは安心したが、そんな彼らのもとに、かの輸送機が再び姿を現したのだ。


「またあの輸送機か?」

「でも変だ。今度は戦闘区域に向かってるみたいだが」


 輸送機はキャンプ場を通り過ぎ、黒煙の上がる戦闘区域にたどり着くと、また何かしらの物資をばらまいて飛び去ってしまった。




 一方、輸送機の内部では、軍人と科学者の集団が話し合っていた。テーブルには、B国の地図が広げられている。


「これで、あとは待つだけか」

「はい。数日で国全体に感染症が蔓延まんえんするでしょう。特効薬を製造できないB国の両勢力は、我が国が提案した停戦協定を飲まざるをえないはずです」

「民間人に被害は出ないのだな」

「支援物資に偽装した弱毒性ワクチンに感染して、彼らは耐性を得ています。B国の科学力では、この感染症の出どころがどこなのか、特定できないでしょうね」




 数週間が経過したB国では、もう戦う者はいなくなっていた。


 しかし、病院は感染症に苦しむ軍人たちであふれ、路上でのたうち回る者も少なくなかった。


 民間人たちは停戦のしらせに一度は歓喜したものの、その惨状には言葉を失うしかなかった。


「やっぱりあれは、悪魔からのギフトだったんだ」


 誰かが、そんなことを口にした。

 


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
戦闘や戦争によって問題を力で解決しようとする。 そんな時代遅れのことがいまだに世界のあちこちで行われていますね。 悲しく、そして情けなく思います。 悪魔からのギフトを必要としない世界に早くなるといいで…
怖すぎる! 兵器以外の何者でもないですね。 現実に起こるかもしれません。面白かったです!
うわぁ…ありそうで怖いですね。 でも、ベトナム戦争では、敵が隠れていそうなジャングルの木々を枯らす目的で枯葉剤が撒かれたんですよね。 でも、そこにダイオキシンが含まれていて… 戦争って怖いですね。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ