あの夜の出来事
第一話「いちごパフェ」を先に見てから読んでいただけると幸いです
日が沈み、街灯の灯りが煌々とするする中、薄暗い細道を二人の中学生が歩いていた。
仲良く手を繋ぎながら、いつも通り雑談している
女の子「ねぇ、最近できたカフェ知ってる?」
男の子「駅からちょっと離れたところにできたってやつ?」
女の子「そう!それ!」
少女は元気よく答える
どうやら少女はそこへ行きたいらしい
女の子「そこにね、カップル限定のいちごパフェってのがあるんだって」
少女は少し照れながら続ける
女の子「なんでも、それを完食したカップルは一生幸せになれるんだとか・・・」
少女の声が段々と恥ずかしさで小さくなる
少年は照れた顔に見惚れながらも思い出す
(僕の彼女、いちご嫌いじゃなかったっけ?)
・・・やはり僕の彼女は最高かもしれない。
男の子「じゃあ、今から一緒に食べに行く?」
女の子「やったー!!!!」
少女が無邪気にはしゃいでいる
女の子「あ、私のことは気にせずいっぱい食べてね。絶対だからね。」
・・・やっぱり可愛らしい
少年はカフェまでの道を調べるためにスマホを取り出す
ふと時間が目に入った
すでに夜の7時をまわっていた
男の子「この時間だと閉店までに間に合わないかも」
女の子「やだ!おねがい!連れてって!!」
少女は少年に向かって手を伸ばした
二人は薄暗い細道を走っていた。彼氏が彼女の手を引いている。
歩調が合わないせいか二人の小指だけが繋がっている
その姿はまるで約束を結んでいるかのようだった
少年は地図アプリを見ながら走っていた
少女はその姿を幸せそうに眺めていた
その時、ふと嫌な予感がした
少年は道を飛び出しており、その十字路には軽自動車が侵入してきていた
この自動車のライトは点灯していなかった
少年は避けられない距離に車が来た時にその存在に気がついた
その無限に引き伸ばされたような一瞬で色々なものが見えた
- なんとか事故を回避しようと奮闘する大学生くらいの運転手の顔
- 偶然通りがかった通行人のこわばった顔
- 彼氏を助けようと車の前に飛び込んできた彼女の必死な顔
直後、彼女の優しい手が僕のことを突き飛ばすのを感じた
声にならない声が自分の喉を震わせたと思ったら、目の前が一瞬で黒に染まった。
少女は咄嗟に彼氏を突き飛ばしていた
運が悪かったのは、車の運転手が事故に対処できるほどに反射神経が良かったことである
運転手も咄嗟にハンドルを切っていた。
それも少女が彼氏を突き飛ばした方向に。
人間から出たとは思えない音と共に、目の前がゆっくりと赤く染まった。
もしこの時、少女が何もしなければ、きっと彼氏が死ぬことはなかった
もしこの時、押すのではなく引いていれば、彼氏は無傷だった
そんな自責の念から幻聴が聞こえた
「人殺し」「アバズレ」「お前が死ねば良かったのに」
そんな言葉に耳を貸そうとした時、彼氏の声が聞こえた
「よかったまた会えた!!」
そこには私を幽霊扱いする彼氏がいた。
2話完結型のつもり