39.
「それにしても、彼らはどうやって呪いの解き方の方法を知ったのかしら?」
彼らに殺された学者や医師や術師などが知っていたのかしら? それとも、資料か何かがあって、国王の手元にあったのかしら?
いずれにせよ、ここでこうしてときをすごすのはムダかもしれない。
ここには、手がかりらしきものさえないのかもしれない。
何日か通ううちに、そう思うようになった。
埃のかぶった本を見まわしながら、途方に暮れてしまう。
「やはり、ハリソンに尋ねるしかないのかしら?」
国王と王太子に尋ねるわけにはいかない。
というか、ぜったいに尋ねたくない。いずれにせよ、彼らはもう答えられる状態じゃない。さらにいうと、期待をさせたくない。
わたしが彼らの呪いを解くという期待を抱かせたくはない。
というか、そんな期待を抱かせることさえしたくない。
それならば、事情を話してくれたハリソンならその情報のもとがどこなのか教えてくれるかもしれない。
「だけどね……」
見捨てられたような、あるいは忘れ去られたような書庫内の本を見まわし溜息をつく。
「溜息は、しあわせが逃げる」というけれど、溜息をつかざるを得ない。
ハリソンは、いまだ得体が知れない。
王弟の息子で王太子の従兄弟。ということは、ラルフの従兄弟でもある。
それはわかっている。わたしがいいたいのは、彼が何を考えているのかが読めないところだ。さらにいうと、味方なのか敵なのかさえわからない。
「だけど……。そうね。やはり、彼に尋ねてみるしかない。ラルフを助けるためですもの。リスクがあろうとやってみなきゃ」
とにかく、なにがなんでもラルフを助けたい。
そのためなら、どんなことでもやってやる。リスクや脅威にも立ち向かってやる。
そうと決まれば即行動。
というわけで、ジメジメとする書庫を出た。




