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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
4章

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第95話 報告会


「一ヶ月、お疲れー!」


「イエー!」


「お疲れ様ー皆」


「お疲れ、得るものはあったか?」


 本日、再びメンバーが集まったので宿の庭を借りてバーベキュー。

 久しぶりに会った仲間達はそれぞれの研修場所で着ていた服装のまま。

 トトンとダイラが制服とローブの様なものの組み合わせで、イズに関しては前の物より厳つくなった軍服。

 そんでもって俺は相も変わらず修道服な訳だが、テンション的には俺が一番似合わない恰好をしている気がする。

 若干ダイラもコスプレ感は出ているが。

 なんでも一ヶ月研修の方には、どこも制服の代金も含まれていたらしく。

 皆揃って資料と一緒に服まで貰って来たのだ。

 もう着る機会も無いのだから、なんて事を言いだしたのは誰だったか。

 軽いノリでこの恰好のまま宴会を始めてしまったが、傍から見たら酷い統一感の無さだろう。

 何かもう初期に適当な服装に変えて、本気装備を隠していた頃みたいだ。


「とりあえず、俺達の方は順当に魔法の授業教わった感じで終わったねぇ。教材もそのまま貰って来たから、クウリとイズも後で読んでみて? 多分結構認識変わると思う。へー魔法ってこういう物なんだーみたいな」


「俺のは全く書き込んでないから読みやすいよ! 実技の授業が増えて面白かった!」


 ダイラとトトンがそんな声を上げて来るが、後者に関しては真面目にやりなさいと言いたくなった。

 とはいえやはり、俺も他人の事は言えないのだが。

 だがまぁ、今度は飽きずに行って来られたというのなら何よりだ。


「ちなみに、一応俺もトトンも“こっち側”の魔法がそれなりに使える様になった。程度の収穫かな? とはいえまぁ、それだって成長だから悪くないと思うけど。二人の方はどうだったの?」


 興味津々とばかりに、ダイラが俺とイズの方に話を投げて来た。

 コイツがコレだけテンションが高いって事は、魔法学校自体は楽しかった様だ。

 トトンも一緒だったから、さぞ友達だって増えた事だろう。


「俺の方は……相も変わらず戦闘訓練が多かったな、しかし更に多くの剣術を習う事が出来た。今後はスキルを使わなくても、前以上の動きをしてみせるから期待していてくれ。それから、素人に一から教えるにはどの剣術が良いかという相談も聞いて貰った。今後はクウリとダイラにも基礎を教えようと思う。まぁ本当に基礎というか、そういうのがメインだがな?」


 コチラも充実した一ヶ月を送って来たらしく、非常に清々しい顔でそんな事を言って来るではないか。

 しかし剣術の訓練かぁ……確かに術師としては、そういう能力も欲しい所なのだが。

 料理の時もそうだけど、イズって結構“まずやってみろ”って感じだからな。

 特訓の時は非常に恐ろしい事になりそうだ。

 今から背筋が寒くなりそうになり、思わず熱々お肉を口に運んでいれば。


「クウリの方はー? アレからまた何か出来る事増えたー? 何か俺等にも出来そうな事とか見つかった?」


 久々に会った影響なのか、やけに距離の近いトトンが絡んでくる訳だが。

 その声に、思わずクククッと暗い笑みを溢してしまった。

 聞いて驚け、お前達。

 多分この報告は、皆驚く事だろう。

 何たって……。


「フッフッフ……この中では俺が一番重大発表かな? この世界の魔法を習得する事で、ゲーム中のスキルさえも新しく習得出来る事を確認した」


「「は?」」


「うそっ!? すごっ!? 何習得したのクウリ! 見せて見せて!」


 キャッキャと騒ぐのはトトンのみ。

 他二人は、完全に停止してしまったが……話を続けて大丈夫そうかな?


「簡単に言うと、スキルツリーで特殊条件付きのスキルがあっただろ? アレの条件を達成するのは、“こっち側”の魔法でも問題無いみたいだ。でもアナウンスがあったり、スキルツリーそのものは確認出来ない。だから“いつの間にか使える様になっていた”って感覚が、一番近いんだと思う」


「それでよく発見出来たな……しかもクウリが習っていたのは聖魔法だろう? 闇魔法メインなのに、そっちが条件のスキルがあったのか?」


「そ、そうだよ! それにクウリ、あんまり聖魔法使えないって言ってなかった? アレからまた色々出来るようになったの!?」


「うんにゃ、俺は結局ローヒールだけだな。でも条件を満たしたのは、前回も言った“リジェネ”の方っぽい。アレを行使して治した相手の夢に、何か出て来たんだって。んで俺に伝えろって、お告げ? みたいな感じだったらしい」


 という説明をしてみたが、イズとダイラは首を傾げてしまった。

 まぁそうだよね。

 俺も未だに信じられないし、そもそもそんなアナウンスがあるなら俺に直接しろよって話だ。

 でも実際、“ソレ”が使える様になっていた事を確認した訳だし。


「どうにもあのゲーム、やっぱりおかしな所で尖ってるわ。闇魔法なのに、スキルツリーの反対側にある聖魔法取得を条件に入れるとか頭おかしい。んな事されたら、この奥義を取る為だけにキャラ作らないと無理。今以上に汎用性のないキャラが出来上がるわ」


「「奥義!?」」


「あ、クウリ。やっぱり見せなくて良いや、ココで使われたらヤバイ。というかちょっと前の地震って、やっぱりクウリが原因なんだ」


 光を失ったかのような瞳を此方に向けて来るトトン。

 おい、やっぱりってなんだよ。

 まぁいいかとばかりに、コホンッと一度咳払いしてから。


「ダイラ、俺が使える様になった“リジェネ”。あれってゲーム内には、聖魔法で同じようなスキルがあったか?」


「う、う~ん……歌う事が詠唱になるって、若干吟遊詩人っぽい発動形態なのは良く分からないけど。けど聖魔法の部類で言えば、確かにリジェネはある。でも聖魔法でも、傾向がスキルツリーで分かれててね? 陰と陽みたいな区分があるんだよ。俺は基本的に瞬間回復が必要だったから、言わば陽を取ったけど。多分クウリの方向性は陰の方なんだと思う」


「でも両方とも回復とか補助メインなんだよな? アレか? 信仰する対象が違う、みたいな?」


「そうだね。フレーバーテキストを見る限り、俺は日の光を司る神様の信徒になる。でもクウリの場合は、月の光を司る神様って方向になるんだと思う。しかもあの回復量となると、ソッチ方向を結構突き進めないと手に入らないスキルじゃないかな……同じ物があったかは、ごめんちょっと分からない」


 と言う事はやはり、あのリジェネはゲーム内で言うと結構上位スキルの扱い。

 それを行使した事により、スキル取得の条件が整ったと考えて良いのだろう。

 しかし俺のスキルツリーは基本的にそのまま。

 だとすればスキルポイントを気にせず、新しい技術さえ習得すればこれまで手に入らなかった“ゲーム側”の技術だって習得できるという証明に変わる。

 この発見は、かなりデカイ。

 とはいえ本人の才能と努力次第になるので、万能的な解決法とは言い難いが。

 だがしかし、イズの言っていた“個人の強化”としては大きな一歩と言えよう。


「ちなみにクウリ、その新しく習得した“ゲーム側のスキル”。それが何なのか聞いても良いか? 奥義、なんだよな?」


 若干頬を引きつらせながら、イズがそんな事を言って来たので。

 コチラはもはや、ふんぞり返る勢いで胸を張ってから。


「聞いて驚け? なんと……誰も習得条件が発見出来なかった、あの! シークレットスキル! “サテライト・レイ”を習得しましたぁぁ!」


 わははは! と大声で笑って見せたが。

 三人衆は不思議そうな顔をしながら、そのまま首を傾げてしまった。

 ……ありゃ?


「あ、あーなんか、昔クウリから聞いた事が……ある、かも? しれないな。条件が分からないと叫んで、悶えていた気がする」


「名前からして、若干プラズマレイと似てるけど……同じような感じ? あ、でも奥義だから上位互換?」


「サテライト……人工衛星落ちて来たりするの? それとも月が落ちるん?」


 そっか、そりゃそうだ。

 自分が使っているキャラのスキルツリーは、皆読み込んだり色々調べたりするけど。

 専門外のスキルに関しては、細かい所まで調べないよね。

 しかも、未発見のシークレットスキルなんて目にも止めないよね。

 だって対処する必要すらないんだから。

 そもそも全スキルを記憶できる程、優しいゲームではないのだから。

 ネットで調べても、頭が痛くなる程のスキル名がズラァッと並んでいたので。


「……うん、えっと。凄く、強い、スキルです……はい」


「な、なんかゴメンね?」


 ダイラ、こういう時に謝らないで。

 なんかもうこっちが悲しくなっちゃうから。


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