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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
4章

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第88話 耐久レース、開始


「でっけぇ~……墓地!」


「トトン、静かに。この後の事を考えると、目立たない方が良い」


 と言う事で、やって来ました大規模墓地。

 これからやる事を考えると、非常に申し訳ないんだけど。

 とはいえ、死んだ人より生きている人を優先したいので。

 そんな事を考えながら、スキルの組み合わせ考えていれば。


「クウリさん……あの、こんな所で何を?」


「シスタークウリ、そろそろ教えてください。こんな所で、何をしようと言うのですか?」


 車椅子に乗ったシスターオーキットの旦那さん、ソレを押すシスターが不安そうな声を上げて来るが。

 呪いは呪いを喰う、その実験にはこの場所が最適なのだ。

 そしてストーリー通りであるのなら、間違いなく旦那さんの方は救えるであろう布石を用意する為に。


「今から、旦那さんの……イシュランさん、でしたっけ。貴方の呪いを俺に移します。流石に、貴方へ俺の呪いを掛ける訳にはいかないので」


「はぁっ!?」


「何を言っているんですかシスタークウリ! いくら月の女神などと言われ様とも、先程の魔術で浄化出来なかったじゃないですか! 流石に危険です!」


 大いに慌てふためく二人であったが、逆だ。

 浄化なんぞ考えなければ良い。

 解呪では無く……此方の呪いで食いつぶすか、相手を復活させてぶっ飛ばしてしまえば良い。

 その際旦那さんの身体をそのまま媒体にされると、間違いなく死ぬ。

 が、しかし。

 俺の身体ならどうだ?

 闇属性に耐性を持っており、更にはレベルもカンスト。

 生物としてはかなり高い位置に存在する俺の身体アバター

 コレをそのまま相手に使われたら、そりゃもう強いボスが登場してしまうかもしれないが。

 だがそれはあり得ない。

 俺は、“あの程度”のボスなら呪いという意味でも上位に位置しているのだから。

 ステの数字とこれまでの経験だけを参照して考えた作戦だが、上手く行けば……誰も死なずに、ノーライフキングは“発生”する。


「シスターにも言ってなかったかもしれないけど……俺の専門、闇魔法なんだよね。それなんで、コレも実験。つまり俺の都合、という訳で~行くぞ! お前等、準備しろ!」


 本気装備に変え、杖を振り上げ。

 一気に墓地全体に“呪い”を振り撒いた。

 エージングやカオスフィールドの様な、派手な攻撃ではない。

 ただただ、相手を呪う行為。

 デバフとしてのマイナス値は低い、しかしながら分かりやすい“呪い”の代表格。

 しかし、まだ足りない。

 アイツが出て来る為には、もっとノーライフキングが有利だと思える状況を整えなければ。


「“リビングデット”」


 杖から波紋の様な紫の光が広がれば、周囲からはスケルトンやゾンビ。

 それどころか、今回は結構本気で使用したが為に、それの上位種まで出現し始めた。

 さて、状況は整えたぞ?

 お前の好むフィールド、配下。

 それら全てを“俺が”整えた。

 どうするノーライフキング、そのままそっちの身体で復活して良いのか?

 目の前に、もっと旨そうな生贄が居るのに。

 なんて事を思いながら、ニッと口元を吊り上げていれば。


「あぐっ! ああぁぁぁぁぁ!」


「イシュランっ!?」


 シスターの旦那さんが、車椅子の上で悶え始めた。

 そうだ、それで良い。

 お前によりふさわしい媒体が、都合のよさそうな肉体が目の前に現れたのだ。

 そっちに喰い付いてこそ、ボスってもんだろう。

 などと考えていれば、彼の身体から黒い霧が此方に向かって噴出し。

 そのまま、俺の身体を飲み込んだ。

 相手からは綺麗さっぱり霧が晴れた様で、ココに来てやっとはっきりと顔が見えた程。

 おやまぁ、ガリガリになってはいるが、男前な事で。

 とかなんとか思った瞬間。


『貴様の身体を、我の新しい器に――』


 体の中から、そんな声が聞えて来たでは無いか。

 これもイベント通り。

 NPCの親がこのボスの呪いに掛かり、その呪いを解く為のクエストをプレイヤーが受ける事になる。

 しかしながら、最後には娘の方が適性が高いと判断され、そちらに乗り移るノーライフキング。

 きっかけとなるのが、苦しむ親の前で娘が闇属性魔法を行使してしまった事。

 つまり今と同じ状況という訳だ。

 このボスと戦う事になるプレイヤーだが、第一形態は村人の少女。

 コレを倒すと、プレイヤーの攻撃に耐えきれなくなったボスが姿を現し直接戦闘が始まる。

 しかしながらNPCの少女は、その段階でコチラの攻撃により命を落とすという胸糞展開。

 だがしかしほんの僅かな時間、アイツが出て来た後も村人の少女は言葉を発するのだ。

 つまり、その時点では死んでいなかったと言う事。

 死ななくてもノーライフキングは直接姿を晒すと言う事。

 だったら。


「勝負しようぜ、ノーライフキング。俺にとって、お前は“異物”だ。だったら俺のスキルも無効化出来ないんじゃないか?」


 ニィィっと口元を、更に吊り上げた。


「退避ー! 全力で退避ー!」


「滅茶苦茶広い空間が射程になるよ!? シスターは俺が運ぶから、イズは旦那さんお願い!」


「了解したトトン! クウリ! 必要な時には呼べ! すぐに来る!」


 そんな叫びを上げて、仲間達が逃げていくのを確認してから。

 自らの身体に手を当てて。


「“ウィジャボード”」


 ソレを言葉にしてみれば、俺の目の前には文字の書かれた巨大な板と、歪な形のプランシェットが出現する。

 さて、耐久レースの始まりだ。


「これから、ありとあらゆる呪いをお前に掛ける……俺のレベルを舐めるなよ? ボスだろうが確定効果の出る呪いだって使えるからな」


 クククッと笑いながらも、プランシェットを操作して一つ目の呪いを発動させる。

 まずは、そうだな。


「“激痛、哀傷、嫌悪、憎悪”。ベーシックな所から攻めてみようか」


 それだけ言って、スキルを発動させるのであった。

 その瞬間、身体の中から激情が流れて来るのを感じるが。

 あぁ、なるほど。

 やっぱり俺自身に関しては自らのスキルは影響しないが、中に入った異物に関しては……どうやらそう言う訳にもいかないらしい。


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