↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/240

第84話 なんやかんや、一週間


 少年が再び寝入ってしまった為、母親に返却。

 別に大した事をした訳じゃない、子守歌を謳っただけだ。

 だというのに、妙に周囲がザワザワしている。

 ホント、何。


「ありがとう、ございます……また、息子を治療していただいて。このご恩は、必ず」


「いやいや、ですから、俺には回復魔術なんて使えませんし。何か偶然が重なって――」


 そう言って、涙を溢しながら頭を下げて来たお母さんを止めようとした所。

 何故かソレをシスターは制止し、彼女が差し出していた麻袋を受け取ってしまった。

 おいコラお婆ちゃんシスター、それは受け取っちゃ駄目でしょ。

 これじゃ詐欺だよ詐欺、俺なんもしてないし。

 などと慌てていると、彼女は首を横に振ってから。


「正直、何が起きたのかは分かりませんが……けど、貴女の詩は間違いなく“詠唱”としての役割を果たしていました」


 だ、そうで。マジで?

 でも俺自身MP減ってる感じも無いし、やっぱり何も発動してないんじゃ……。


「シスタークウリ。貴女は謳っている間、ずっと目を閉じていましたが……あれは、そうしないといけないものなんですか?」


「へ? あぁいえ、癖ですね。作業のし過ぎで目が疲れたわーって時に、たまに口ずさんでたんで」


 周囲全体から見られていたので、恥ずかしいというのもあったけど。


「なら次に歌う時は、貴女も見て御覧なさい。自らの力を疑っているようですが、間違いなく彼を治したのは貴女です」


 なんかおかしな事を言われてしまったが、別にもう一回謳えと言われている訳ではないらしく。

 シスターは訪問した親子と話し始め、俺達には食事会の片付けを命じて来た。

 いやはやホント、何なんだろうね。


 ※※※


 それからまた数日程経って、そろそろお試し訓練期間も終わりそうという所で。

 シスターオーキットに呼び出しを食らった俺。

 今度は何がバレた?

 用意された昼食が足りないと男連中が騒いでいたので、インベントリから出した食べ物で腹を満たした事か?

 そのお礼だと言って、相手が隠して持ち込んでいた酒瓶を頂戴した事か?

 でも飲んだ訳じゃないし、コレは怒られない筈。

 それとも「焼肉は臭いが広がるから」と言って、夜中に皆でゲーム時代のアイテム、“特製ジャーキー”を齧っていた事か?

 色々と心当たりがあるので、ビクビクしながら彼女の部屋へとお邪魔してみると。


「来ましたね、シスタークウリ。早いものです、貴女が来てからもう一週間経つのですから」


「あ、あはは……ソーデスネー。それで、今回はどんなお説教で……」


「私に呼ばれればお説教という認識で、よくもまぁ一週間耐えられたモノです。もう少し派手な行動は控えなさい」


「ういっす……了解です」


 今までより全然派手じゃないもん! とか言い訳をしたくなったが、十分派手ですよね。

 普通の訓練生、絶対聖堂で肉喰ったりはしないだろうし。


「それで、約束の件ですが……いつにしましょうか? このまま次の研修に参加するとなれば、いつでも構いませんが。この期間だけで終わりにするのであれば、早い方が良いのでしょう?」


 彼女の言葉に、思わず首を傾げてしまった。

 はて? 何の事だ? 何か約束とかしたっけ?

 などど思いつつ、しばらく停止していれば。

 シスターは大きなため息を溢してから。


「貴女が言い出したんでしょうが……一週間以内にヒールが使えるようになったら、私の旦那に合わせろと。凄腕の回復術師を連れて来るから、その代わりに呪いを調べさせろ。そういう取り決めをした筈ですが?」


「あぁっ! そう言えば! あ、でも良いんですか? 俺未だにローヒールすら使えませんけど……」


 忙しさと頭の痛くなる授業ばかりで、完全に忘れていた。

 そうだそうだ、シスターの旦那さんが寝込んでいるのだった。

 しかも元聖騎士で、そこらの術師じゃ解呪出来ないとか何とか。

 教会側の人間、しかも前線に立つ様な人でもどうにも出来ない呪い。

 確かに、思い出してみれば再び興味が湧いてくる。

 苦しんでいる人相手に、こんな感想は失礼極まりないのは分かっているのだけれども。


「えぇ、確かに。ですが貴女はそれ以上の魔法を行使してみせた。あの月の光は、間違いなくヒールなんて魔法より、ずっと効果があるものです。事実、あの息子さん。完全に治ったそうですよ?」


「は、はぁ……そうなんですか。でもアレって、結局何なんですか? あれ以降試してないんですけど。使う機会も無かったですし」


 普通の授業が忙しかったからね、仕方ないね。

 そして皆の前で鼻歌歌いたくないし。


「わかりません、但し聖属性魔法なのは間違いない。それに……個人的な見解で言えば、アレは加護の様なモノ。もしくは貴女自身が加護を頂いて発動したもの、と考えています」


 加護、加護っすかぁ……これまた分かり辛いのが出て来たな。

 ゲームスキルで言うのなら、加護ってのも確かにあった。

 とはいえアレ、スキル名がソレっぽいだけで、結局バフなんだよな。

 それで治療が出来たっていうのなら、考えられるのは“リジェネ”。

 回復魔法スキルとは違い、傷を瞬時に治すと言ったものでは無く。

 どちらかと言うと“再生させる、回生させる”という効果。

 ヒール系が外部からの影響で身体を治すのに対し、リジェネなどは身体そのものを強化して自己再生させる、みたいな。

 吟遊詩人などの職業に就いて“歌魔法”のスキルを育てて行けば、リジェネ&強力なバフが持続的に付与されるってのもザラだったのだが。

 俺の場合は、ソレに近いんだろうか?

 そういうサポート職の強み、例えば歌魔法なんて呼ばれているが……ゲームでは音楽だった。

 それが鳴り響いている内はバフ効果が消えない、つまり制限時間が無いってのが強み。

 だからこそ攻撃を受けない様に、そういったバッファーは絶対安地に置いておくのが鉄則……なんだけど。

 俺の場合、無理じゃね? というか歌いながら戦闘とか、無理。

 仲間にも指示を出さないといけない立場に居るので、お口はそっちに使う事になります。

 と言う事で、再び死にスキルゲット。

 泣きてぇ。


「ちなみに、詠唱とかって結局何なんですか? あんな適当な鼻歌でも効果が出るモノなんです?」


「貴女……攻撃術師だった筈ですよね? それなのに、詠唱を良く分かっていないって……」


 すんません、俺のは魔法であってもゲームスキルなんで。

 基本そう言うのありません。


「まぁ良いでしょう、では訓練期間最後の授業です。聖魔法を教える場所ですが……貴女の場合、攻撃魔術を例えにした方が分かりやすいでしょう。魔法というのは、人の想像、そして魔力の操作が何よりも重要となって来ます。そして人の想像とは意外と曖昧なモノなんですよ」


「ふむふむ」


 と言う事で、最後の授業を受け始めるのであった。

 いやはや、何か最後までご迷惑お掛けしっぱなし。

 大変お世話になりましたぁ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シスターオーキットめちゃくちゃ好き……いいよね肝っ玉おばあちゃんで厳格ながら頭も柔らかい優しい人……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。