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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
2章

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第45話 虱潰し


「おかえり、クウリ、トトン。どうだった?」


 イズからのお出迎えを受けて、思わずトトンと二人でため息を溢してしまった。

 だって、ねぇ?


「全然だめぇ……数多過ぎな上に、ダイラの補助魔法切れたらクラクラしちゃって……全身汗だくぅ……」


 部屋に戻った瞬間トトンは鎧を脱ぎ散らかし、物凄く薄着になってから風呂の準備をし始めた。

 普段なら「だらしない」と一言言ってやる所なのだが、本日ばかりは。


「すまん、俺も駄目だぁ……報告の前に風呂に入らせてくれ」


 本日は本気装備だったからね、俺も鎧で飛び回っていたのだ。

 そりゃもう熱い事暑い事。

 温度も高いし鎧は熱した鉄板みたいになるし、汗だくな上に思考も回らなくなる。

 途中からMPポーションを飲むのが、水分補給代わりになってしまったくらいだ。


「お疲れぇ二人共。明日からはコレ持って行って? 出来たよ、“クーラードリンク”」


 奥から出て来たダイラが、ちょっと疲れた顔をしながらも大量の小瓶が詰まった木箱を差し出して来た。

 ゲーム内のクーラードリンクと言えば、ダイラの補助魔法の代わりをアイテムでやるというか。

 コレを飲むと15分間だけ、高温の土地に居ても快適に過ごせるというもの。

 火山地帯や砂漠地帯では必需品なのだが、俺達の場合はダイラが居たので殆ど保管していなかったのだ。

 そしてコレが完成したと言う事は。


「ダイラお前! 錬金術使える様になったか!」


「うん、お陰様で。クウリに頼まれてた物も、今大量に作ってるから。そっちはもう少し待ってね」


「流石万能性女! 頼りにしてるぜ!」


 これでダイラのサブ職業スキルも使用可能になった。

 であれば、本当に何とかなるかもしれない。

 イズは未だに“料理人”の食事バフは良く分からないと言っているが、レイド前までに効果が出せる様試してくれているみたいだし。

 これは本当に、良い感じになるんじゃないか?

 などと思い始めると、俺のトレジャーハンターが死にスキル過ぎて悲しくなって来るが。

 ドロップ、無いからね。

 もはやサブ職業の選び直しと、スキルツリーを振り直したくなって来る。

 俺のキャラ、高火力ばっかりに特化させ過ぎているので。


「クウリ? なんで泣きそうになってるの? 大丈夫?」


「いやぁ、うん。お前等はすげぇなぁって思って……俺のキャラ、基本目立つ以外役に立たないし。ごめんよぉ……」


「しかし今回はレイドボスだ、その高火力が本領を発揮する一番の機会じゃないか。元気を出せ、クウリ」


 二人から慰められつつ、メソメソしていると。


「クウリ温泉行くんでしょー? 先行っちゃうよー?」


 ものっ凄く薄着のトトンが、お風呂セットを持って部屋から出て行こうとしている光景が。

 おいコラロリ娘。

 お前はもう少し今の外見を考えて行動しろ。


 ※※※


「なんか、人少なくねぇ?」


「確かにー、今日冒険者全然居ないね。祝日とか?」


 翌日。

 再びトトンと一緒に飛び回った訳だが、おかしいな。

 先日以上に人が居ない。

 本当に人っ子一人居ないのなら、広範囲殲滅系を使ってしまいたいのだが。

 もしも居たら恐ろしいので、今日もまたプチプチと潰していく作業。

 ペレの分身は基本炎なので、空か見てもある程度分かる。

 と、言いたい所だが。

 明るい場所で炎って意外と見つけ辛い、なのでトトンの目に頼った方が正確。

 そして岩陰に居たり、洞窟に居たりすると発見出来るものではない。

 それらに関しては、基本無視する事にした。

 細々と調査していては時間ばかり掛かる上に、本戦に間に合わなくなってしまう。

 だからこそ空から見て、目についた相手を片っ端から狩る。

 雑にも思えるが、足での探索と比べればコレが一番効率も良いのだ。

 と言う事で、火山地帯をビュンビュン飛び回っていると。


「うん? なんだろう、アレ」


「アレってどれ」


 トトンが遠くを眺めながら、低い声を上げて来た。

 俺には特になにも異変が感じられないのだが……何か、見えたのだろうか?


「あっちゃぁ……クウリ、不味いかも。ペレの分身が現地のエネミーに寄生し始めてる」


 一番聞きたくないお言葉を、腕の中のちびっ子からは頂いてしまうのであったとさ。

 溶岩神ペレのイベントにおいて、本戦開始寸前。

 分身体は現地のモンスターと一体化し、それらを強化し狂暴化させる。

 これはつまり、開戦の狼煙が上がり始めたという事に他ならない。


「敵は?」


「アンダーベヒモスだね。ペレの強化を受けてるから、色が変わって特殊個体になり始めてるけど」


「仕方ねぇ、潰すか」


 あぁなってしまえば、普段のエネミーより1.2倍から最大2倍近くまでステータスが跳ね上がる。

 更には周囲から発掘される素材アイテムすら、ゴミクズに代わるというクソ仕様。

 恩恵で言うのなら、魔石がデカくなって普通より経験値が稼げる程度なのだが……俺達には旨味が無いお話な訳で。

 もう一つ言うとすれば……ペレの分身は、そのままの状態で倒さないと意味が無いのだ。

 魔獣やら何やらに憑依した後では、ソレを倒した所で分身体の討伐数としてカウントされない。

 ほんっと、気の遠くなるレイドがあったもんだよ。

 思わず溜息を溢してから、件のアンダーベヒモスに杖を向けた。


「“プラズマレイ”」


 アバターの“覚醒”まで使って、本気の一撃を叩き込む。

 普段から細いレーザーが五本くらい発射されるスキルだが、覚醒状態で使うと数が倍に増えるのだ。

 その光がアンダーベヒモスに襲い掛かれば。


「わぁお、細切れ」


 トトンの言う様に、俺の放ったレーザーは魔獣を輪切りにしてしまった。

 コレが、リアルでの影響。

 相手の甲殻を貫ける威力を持っているのなら、あんな敵でも一撃で倒せる。

 これはゲームではあり無い光景だったのだ。


「この“リアルだからこその弱体化”を考えると……ペレも“奥義”で何とかならないかな? “デウスマキナ”で一発! とかさ」


「そうなったら楽なんだけどな……もしも死ななかった時、後が怖いな」


「確かに、ポコポコ使える消費MPじゃないしねぇ。むしろアレを撃ってMPが空にならないクウリのステがヤバいけど」


 とは言えまぁ、希望的な予想をするのなら。

 確かに奥義スキルのソレなら、もしかしたら……という可能性もある。

 だがしかし、相手だってレイドボスな上に神様を名乗っている様な存在なのだ。

 あまり都合よく考えてばかりでは、足元を掬われるだろう。

 だからこそゲームの時同様に、それ以上に警戒して挑まなければ。

 ホント、上手く行ってくれりゃ良いんだがな。


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