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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
2章

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第29話 ここ掘れワンワン


 さてさて改めて、やって来ました採掘ポイント。

 ゲームで言うなら決まった場所にツルハシを当てて、ガツンガツンやればアイテムがドロップした訳だが。

 現実にはそんな事ある訳もなく。


「良い? コレが“反射石はんしゃせき”って言って、魔力を放ってるの。岩壁の近くに当てて、魔力を含んだ特殊な鉱石があれば、返って来る魔力で色が変わる。つまり、その先に特殊な鉱石があるって訳」


 そう言って此方にも渡しくれる、透明な石。

 ほへぇ、こんなのゲームには無かったなぁ。

 近付ければ色が変わるって事は、まぁセンサーみたいなもんか。


「鉄鉱石とか、魔力を含まない特殊鉱石は?」


「そっちは流石に、人海戦術で掘るしかないわね。でも私達は少数な上に、時間も無い。……普通はね? 今はダイラさんのお陰で、かなり余裕があるけど」


 なるほどなるほど。

 この地で冒険者が狙うのは、このセンサーに引っかかる鉱石のみって事か。

 ゲームで登場したミスリルとかオリハルコン、その他諸々は無いのだろうか?

 ついでに言えば、こう言う場所では“太古の○○”! みたいな特殊鉱石や修理を前提とした特種武器等も発掘出来たのだが……そういうのは、流石に無い?

 とか何とか、言葉を濁しながら伝えてみた結果。


「ミスリルやオリハルコンに関しては、魔力反射も強いからこの反射石でも発見出来る可能性はあるわ。本当~に稀だけどね? 太古の武器? みたいなのは聞いた事無いわね……化石が出て来たって話はあるけど」


 だ、そうで。

 そうですよね、ゲームじゃないし。

 と言う事で、皆揃ってツルハシを構えてみれば。


「手本を、みせるから……下がっていて」


「石が飛び散って、危ないから。気を付けてね」


 今まで静かだったビッグサイズ女子二人が前に出て、力強くツルハシを持ち上げた。

 そして。


「はいっ! はいっ! はいっ!」


「そいっ! そいっ! そいっ!」


 餅つきか何か? と言いたくなる勢いで、連携して岩壁を崩していく双子。

 凄い、勢いが凄い。

 バッコンバッコン叩きつけては、壁を掘り、抉り。

 どんどんと足元には大地の欠片とも言うべき、石の欠片が積もっていく。

 しばらくそんな行動を続けてみれば。


「見えた、分かる? ここだけ色が違う、しかも大きい。これなら八人で等分しても、それなりのお金が入る」


「“ドラグナイト”、そう呼ばれている鉱石。色が違うのもそうだけど、とても軽くて硬い。昔ワイバーンに跨る戦士が好んで使ったと言われているから、ドラグナイトって呼ばれている」


 そう言って二人が指さす先には、確かに深い緑色の鉱石が埋まっていた。

 おぉぉ……コレが冒険者の発掘作業か。

 業者だったら、こんなピンポイントで掘る様な真似はしないだろうし。

 素人だったら、ここまで的確に掘り当てる事など不可能だろう。

 だからこそ、それに特化した冒険者が生まれる訳だ。

 人ってのは、やっぱ時代と現場に合わせて成長するもんなんだねぇ。

 あともう一つ。

 ドラグナイト鉱石は、ゲームにもあった。

 俺達の保管している物は、もう少し綺麗な色をしているが……そこはゲームのドロップアイテム。

 多分磨かれた後とか、そういう設定なんだろう。

 売れる物、一つ見っけ。


「ここからは、慎重に掘り出す。見てて」


「下手に急ぐと、価値を損ねるから。細かい作業も、絶対必要」


「二人は本当にこの手の作業が得意だから、勉強になると思うわよ? 今回はダイラさんの魔法のお陰で、こんなに集中出来るけど。普段は一分一秒を争うからね、干からびる前に掘り出さないと」


 意外にもしっかり教えてくれる双子と、相変わらずのコミュ力を発揮してくるリーダーのミラさん。

 なんか凄いパーティと絡んでるなぁと、今更ながらに思っていれば。

 わりと早く、彼女達は鉱石を発掘し終えたではないか。

 そして、大柄の彼女達が抱えても巨大に見えるソレは。


「本当に……大当たりだよ。こんなに大きなドラグナイトはなかなか見つからない」


「それに、ダイラさんの魔法のお陰でいつも以上に集中出来た。ありがとう」


 そう言って、双子は満足そうに微笑むのであった。

 ちなみに術師のリーンさんに関しては、いつかダイラの魔法を使えるようになるんだと言って、ひたすらダイラから教えを乞おうとしていたが。

 ま、それは一旦置いておいて。


「んじゃ、俺等も試しに掘ってみるか」


「いやいや、クウリさん? 素人がいきなりぶっつけ本番で岩壁を叩いても、出てくるのは石ころばっかりだって。まずは入念に反射石を使って――」


「“イロージョン”っと」


 岩壁に向かって掌を当て、魔術を発動させた。

 イロージョン、そのまんま侵食魔法。

 物体、つまり生命体からマップまで侵食可能ではあるが、基本的には攻撃魔法ではない。

 出来ない事はないけど。

 闇魔法の一種で、自らの魔力を周りに浸透させると言ったら良いのか。

 生物に使えば相手の事を調べたり、呪いの様な効果も付与出来るが。

 基本的に俺の使い方は、環境に行使して隠し通路やら宝箱の発見が目的等など。

 まぁ要は、レーダー系魔法の闇魔法バージョン。

 毎度毎度行使して探さないといけないのは手間ではあるものの、範囲が限られている為他の魔法よりも多くの情報を伝えてくれるのだ。

 まぁ鉱石を探すなんて使い方をしたのは初めてなので、上手く行くかは分からないが。

 そんな訳で、壁とは違う物質を探して行けば。


「ほぉん……それなり?」


「クウリ、あったぁ?」


 呑気な声を上げるトトンを引きつれ、ある一角に対してコンコンッと拳を当てた。

 ほんと、なんの変哲もない壁。

 こんな所ぶっ壊しても、何になるの? と自分でも言いたくなるのだが。


「トトン、こっから2メートルくらいの所に何かある。掘ってくれ」


「ほいさぁ。スキル使って良い?」


「初回だからな、普通に掘っても時間が掛かり過ぎる。使って良いぞ」


「んじゃ、いっくよー。“スマッシュ”!」


 勢いよく振り下ろされたトトンのツルハシが、壁を貫いた。

 それはもう、本当に勢いよく。

 さっきまで双子がやっていた採掘作業とは訳が違う。

 たった一発で、壁に突き刺さる程深々とブッ刺さってしまった訳だが。


「なぁ、トトン?」


「うん、これは俺もヤバイと思った」


 ビキ、ビキビキ! っと。

 壁から嫌な音が聞こえてくるのだ。

 ツルハシが突き刺さった場所から、徐々に亀裂が広がっている様にも見える。

 あぁ、くそ。

 これ、また“やらかした”パターンじゃないのか?


「全員退避ぃぃぃ! 崩れるぞぉぉ!」


「うわぁぁぁぁ! ごめんクウリィィ!」


 そんな訳で一目散に逃げ出した俺達。

 背後では岩壁が崩れ、盛大に土埃を巻き上げている光景が。

 あぁもう、やっぱりレベルマックスの身体って使いづれぇ!

 ツルハシ使うだけでこの威力かよ!


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