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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
2章

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第28話 現実的な問題


 と言う事で、ミラさんの協力の元。

 やって来ました! 発掘ポイント!


「火山だー!」


「掘るぞー!」


 ツルハシを持った俺とトトンが声を上げれば、後ろからは呆れたため息が二つ。

 そして楽しそうに笑っている相手パーティの皆さんが。

 ちなみにお相手、リーダーの“ミラ”さんは戦闘担当。

 魔法剣士らしく、ギルドの中でも結構な腕前なんだとか。

 そんでもってちっこい黒髪の女の子は“リーン”さん。

 基本的の補助魔法担当で、火山地帯に入る時の生命線になるのだという。

 ゲームでも火山地帯に入る時は、アイテムか補助系術師必須だったからな。

 とはいえウチのパーティにはダイラも居るし、アイテムも腐る程所持しているので問題はないだろう。

 そんでもって最後に、ムッキムキのデッカ! なお二人。

 こちらは採掘担当との事で、とにかくゴツイ。

 俺やトトンだと、見上げる程の身長だ。

 どうにも双子らしく、“ミルキー”と“シーシャ”さんと言う様だ。

 こう言っては何だが、名前が可愛らしい分違和感が凄い。

 見た目はアマゾネスって感じなのに。


「それじゃ今回は私達が先行して、クウリさん達は基本から学ぶって事で。絶対に無理しないでね? 補助魔法はこっちでも掛けるけど、少しでも体調に違和感を覚えたらすぐに言う事。いいわね?」


「「はーい」」


「了解した」


「うへぇ……火山かぁ」


 何かアレだね、普段俺が指揮する事が多かったから、こういうの新鮮。

 教えてもらう立場って、物凄く気が楽というか。

 今日はこの人に付いて行くぜーってな気軽さがある。

 そんな訳で、俺達八人は意気揚々と火山地帯へと踏み込んでいくのであった。


 ※※※


 初! 火山地帯!

 とかテンションが高かったのは最初だけで。


「あっちぃ……干からびる……」


「服がベタベタするぅ……鎧が熱いぃ……」


 早くも、弱音を溢していた。

 補助魔法係のリーンさんに魔法を掛けてもらった筈なのだが……これ、効いてるのか?

 汗が滝のように出て来るんだけど。

 そしてメイン装備ではないにしろ、鎧を着ているイズとトトンは余計に大変そうだ。

 イズはさっきから黙ったまま、ダラダラと汗を流している。

 ダイラに関しては……なんかもう、男性陣が居なくて良かったって言いたくなる程服が肌にくっ付いていた。


「ホラホラ、頑張って。火口近くに行くと、こんなもんじゃないわよ? それとも、少し休む?」


 ミラさんが此方を励ましながらも、少々心配そうな瞳で問いかけて来れば。


「あ、あのっ! もう一回、耐熱の補助魔法掛けますね! 少しは、楽になると思います……」


 リーンさんもそんな事を言って、俺達に補助魔法を重ね掛けしてくれたが。

 駄目だ、全然変わった気がしない。

 今回は後輩らしく大人しくしておこうと思ったが……駄目だ、流石にもう限界だ。

 このままでは仕事どころではない。


「ダイラ……すまん、“耐熱保護”と“クーラー”頼む……あとヒールも……駄目だコレ、死ぬ」


「い、いいの……? クウリ。今回は、大人しくしておくって……」


「ダイラ、すまない。俺からも頼む……駄目だコレ、鎧なんて着ていられない……」


「あづいぃぃぃ……」


 もはや、皆限界だったらしい。

 相手方の補助魔法使いには申し訳ないが、流石にもう無理。

 やってらんない、今すぐ帰って風呂に入りたくなる。


「えぇと、全員で良いのかな?」


「おう、向こうのパーティにも掛けてやって……熱いのは、多分皆同じだから」


 だって見ている側だって辛くなる程、皆様汗かいているし。

 ミルキー&シーシャコンビなんて、少しその場で待機するだけで足元に水たまりみたいな汗かいてるのだ。

 死んじゃうよこんなの。


「それじゃ、まずは“耐熱保護”で平常に近づけて……それから、“クーラー”っと。コレで三十分は保つ筈だよ」


 ダイラの魔法が俺達を包み込んだ瞬間、スッとこれまでの熱さが嘘の様に吹っ飛んだ。

 真夏のクソ熱い時期に、クーラーのガンガンに効いた部屋に飛び込んだかのような解放感。

 あぁぁ、効くぜぇ……。

 神様仏様ダイラ様だ。

 ウチのパーティの性女は、やはり他の術師とは一味違う。

 こんな火山地帯で、すっきりする涼しさを味わえるのだから。


「は? え!? なにこれ!?」


「す、涼しい!? これどんな魔法ですか!? こんなの使ってる人、見た事ありませんよ!」


「「あぁぁぁぁ……快適」」


 どうやら向こうさんにも気に入って貰えたらしく、皆驚いた顔をしながらも喜びの声を上げていた。

 後はアレだな、冷えた麦茶とスイカでもあれば最高だな。

 こんな所でスイカ切ったら、すぐに乾いてスッカスカになってしまいそうだけど。


「あの、これって……」


「あ、ウチの補助術師の魔法ですから、ご安心を。ちょっと無理矢理ですけど、この方が楽かと思いまして」


 あははっと乾いた笑い声を洩らしてしまった。

 こんなモノをいきなり使われたとなると、リーンさんも良い気分にはならないんじゃないかと心配したのだが。


「凄いです! どうやったらこんな魔法使えるんですか!? 耐熱だけじゃなくて、快適さも求めているのに30分も保つんですか!? 私にも使えるようになりますか!?」


「ク、クウリー! 助けてー!?」


 ダイラに詰め寄っているリーンさん。

 魔術に関しては、かなりの熱量がある御様子で。

 まぁ、心配していた事態にならなくて良かった。

 若干一名大変そうだけど、俺等に魔法の事聞かれてもねぇ……。

 使ってるの、魔法と言う名のスキルだし。


「ちなみに、普段は基本的にあの状態で仕事を?」


「えぇ、そうね。むしろ私達なんてリーンが居るから楽な方よ。他の面々は、色々と道具を使ったり、補助無しに突っ込んだりもするから」


 うわぁ……そりゃまぁ、ココに来る人が少ない訳だ。

 普通に死ぬもん、コレ。

 熱中症云々じゃないよ、水分無くなっちゃうよ。


「ね、ねぇクウリさん? コレって、ダイラさんが言ってた様に30分は保つの?」


「え? あぁ多分。久し振りに使ってもらったんで、正確には分かりませんけど」


 というのも、全部ゲーム知識なので。

 実際に使ったのは初めてです、とは流石に言えないのだが。

 何やらモジモジし始めた彼女は。


「だったら、一度休憩を入れて良いかしら? このままだとその……せっかく快適になったのに、服が気持ち悪くて。着替えて良い? あ、恥ずかしい様ならテントを張るから安心してね?」


 ミラさんがそんな事を言えば、ミルキー&シーシャコンビが秒でテントを完成させ、どうぞとばかりに入口を開いている。

 凄いな、うん。


「んじゃ、まずはこのビッショビショの服代えますか……流石にこんなずぶ濡れだと、風邪引きそうだし。あと臭い、めっちゃ汗臭い」


「クウリさん、貴女……なかなか言葉を選ばないわね」


 お相手からは少々呆れた声を貰ってしまったが、実際身体が冷えてみると鼻につくのだ。

 自分の服を引っ張って、鼻に近付けてみると。

 うわっ、汗臭っ! 野球部かよ!? ってなる。


「んじゃそっちからどうぞ。イズも早めに着替えた方が良いとは思うが……大丈夫かぁ?」


「あぁ、問題無い。ダイラのお陰で、鎧をぶん投げたい衝動も収まった」


 どういう衝動だよ、投げる投げるな。

 と言う訳で、現地入りしてすぐに。

 俺達は御着替えタイムに入るのであった。

 あぁ、本当に。

 ダイラに幅広く補助魔法を取っておいて貰って良かった。

 寒冷地やこういう場所では、やはり1パーティに1ダイラ必要だよ。


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