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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
2章

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第27話 現地の人


「あぁぁ~ヤバイ。この街超好き、永住したい」


「溶けてるねぇ、クウリ」


 活火山! 鉱石が盛んな街! そう言われて次に何が来るか。

 凄く単純な発想だが、やはり温泉!

 でも本当にあった! やったぜ!


「今までの宿も風呂やトイレがちゃんとしていて助かったが、まさか温泉に入れるとはな」


「宿屋ってより、温泉宿って言った方がしっくり来るねぇ~」


 と言う事で、俺達が本日泊った宿には温泉があったのだ。

 凄い、異世界で温泉に入れるとは思わなかった。

 俺とトトンに関しては身体が小さい影響もあり、完全にお湯につかりながらクラゲになっていた。

 残る高身長組は普通に湯に浸かっているが、これまでに無い程緩い顔をしている。

 やっぱ良いよね、温泉。

 この歳になると身に染みるよ……今の肉体は相当若そうだが。

 普通ならこういう所で「お風呂イベント!」とかってなりそうな所だけれども。

 生憎とそういう劣情は一切湧かない。

 アバターの影響も大きいのだろうが、もはやコイツ等の裸とか見慣れたわって感じが凄い。

 人間って、意外と適応出来る生き物なんですね……などと考えつつ、温泉でプカプカしていると。

 ガラッと音を立てて、他のお客さんが入って来てしまった。


「残念だけど、そろそろ上がろうかクウリ」


「うっす……流石に気まずいというか、俺等が見ちゃ不味いって認識はあるしな」


 と言う訳で、風呂に来た女性陣から視線を逸らしつつ。

 四人揃っていそいそと退場しようとしてみれば。


「ちょっと、良いかしら?」


「はい?」


 急に声を掛けられ、振り返ってしまった。

 あ、やべ。

 他の女の人の裸を見るのは流石に不味いって。

 とか思っていたのだが。


「あ、良かった……タオル巻いてる」


 相手方も四人組の様で、皆タオルを巻いて肌を隠していた。

 安心安全のお風呂スタイルで良かった。

 金髪の目つきがちょっと鋭い女の人と、トトンみたいに小っちゃい女の子が一人。

 残る二人は色んな意味でデッカ! としか言葉が出てこなかった。

 いやホントデカイ、身長と身体の横幅が。

 かなりムキムキだし、肩幅も広い。

 というかよく見てみると、華奢に見えていた二人も結構筋肉付いていらっしゃる様な……。


「あ、もしかしてそちらも冒険者の方ですか?」


「え? えぇ、そうね。そちらもって……え? 貴女達も冒険者なの? その割には随分と細いけど……あ、もしかして全員術師かしら?」


 どうやら、同業だったらしい。

 そうだよね、冒険者稼業やってるなら、普通こういう肉体になるよね。

 そりゃ俺達を見る度に、受付さん達が不審そうな瞳を向ける訳だ。

 ダイラの胸部を除けば、皆細すぎるくらいだからね。

 筋トレしたら、もうちょっとムキッとしたりするのだろうか? この身体。


「えぇ~っと、その。俺等はですねぇ……」


「あぁ、ごめんなさい。あまり引き留めてしまっては湯冷めしちゃうわね。でももう一度髪を流した方が良いわよ? さっき、皆揃って湯に髪を浸けていたでしょう? せっかく綺麗な髪をしてるのに、傷んじゃうわ」


 へ? 髪の毛?

 確かに俺とトトンなんて、全身浸ける勢いでクラゲになっていたが。

 よく考えれば、イズとダイラも髪を縛ったりはしていない。


「普通のお風呂でも汚れが付いちゃったりするけど、温泉だと特にね。ごわごわになっちゃうから、もう一度洗ってからの方が良いわ。こういうお風呂は初めてかしら?」


 クスクスと微笑む彼女の言葉に、とりあえず自分の髪の毛に触れてみたが……濡れてるから良く分からん。

 でもアレか、アニメ……というかドラマとか映画か。

 お風呂上り女子が髪を束ねてるのって、そういう事?

 あぁ~でもなんか“湯船に髪の毛つけるな”みたいな事SNSとかで見た事ある気がする。

 女の人って、こういう所でも大変だな。


「あ、はい。すみません、ありがとうございます」


「いえいえ。同業だというのなら、これからまた会うかもしれないし。仲良くしましょう?」


 そんな事を言われながら、自然と皆横並びになってワシャワシャと頭を洗い始めるのであった。

 うわぁ……普通に並んでしまったが、知っている面々じゃないと非常に気まずい。

 とりあえず、そっちは絶対に見ない様にしておこう。


 ※※※


「駄目だよ、許可出来る訳ないだろうが。ヒヨッコ共」


「えぇ……」


 翌日再びギルドに向かって、昨日の発掘ポイントの立ち入り許可を求めた結果。

 受付さんに速攻で拒否されてしまった。


「アンタ等はこの街に来たばかり、火山にだって行った事はない。そんなズブの素人が、急にそんな奥深くまで入って生きて帰れる筈がないだろう。まずは近くの依頼から受けな」


「いやぁ、でもぉ……」


「煩いよお馬鹿。確かに珍しい鉱石って単語に目を光らせる馬鹿は多い、けど大体の奴は帰ってこない。こんなに人が多いのに何故そんな美味しい場所が放置されているか、考えてみりゃ分かるだろうが。どうしても行きたいのなら、かなりのベテランとでも組むんだね。そしたら私だって許可してやるよ」


 昨日は物凄く協力的だったのに、今日に関しては駄目の一点張り。

 分かっているのだ、彼女が此方の事を思って発言している事くらい。

 でも俺達としては、細かいお仕事なんて受けていたら、いつまで経ってもインベントリの中の物品が売れないのだ。

 昨日確認しただけでも、名前が同じアイテムは多かった。

 あとは市場にでも行って、形とか色が同じだったら売りさばけるのに。

 現地に向かったという証拠が無いと、どうしようもないのだ。

 そんでもって、人目があると色々不味い。

 だからこそ、四人だけで現地入りしたかったのだが……。


「どうしても、駄目ですかねぇ……」


「駄目なものは駄目だ。そもそもアンタ等四人だけで行ったって、鉱石云々どころの話じゃないだろうに。そんな細腕でツルハシの一つでも振れるのかい? 寝言は寝てから言うんだね」


 ケッと吐き捨てる様に言い放つ受付嬢。

 こ、これはなかなか手強い……ぐぬぬっと歯を食いしばっていれば。


「なら、私達と一緒に来る? それなら許可してもらえると思うわよ?」


「へ?」


 急に後ろから声を掛けられ、皆揃って振り返ってみれば。

 昨日お風呂であった四人組が、笑顔で手を振っていた。


「本気で言ってるのかい? “ミラ”、どういう風の吹き回しだい?」


「あら、新人……かどうかは知らないけど、この地域に来たばかりの人に、先駆者が知恵を与えるのは普通じゃないかしら?」


 チッと舌打ちを溢す受付さんと、未だに笑顔の……ミラさん?

 何か良く分からないけど、手を貸してくれるって事で良いのだろうか?


「え、えぇと……いいんですか? 俺等、マジで火山初体験ですけど」


「だったら余計に、いい加減なサポーターや仕事で慣れさせる方が危険じゃないかしら? ホラ、やっぱり女の子四人だと色々絡まれるしね」


 そう言って、綺麗なウインクを返して来るのであった。

 あぁ、そうか。

 俺等、今女の子四人なんだもんな。

 未だにその感覚だけは、全然慣れないわ。


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