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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
8章

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203/222

第203話 たった数名のパーティで


 翌日、黄龍シュウに別れを告げてから再び歩き出した。

 何度確認してみても、やはり全員答えは変わらないらしく。

 再び北を目指す事となった俺達。


「本当に、良いんだよな?」


「クウリ~? しつこいよー? ていうか、仕方ないじゃん。それしかねぇでしょって話なら、やるっきゃない!」


「あはは、確かに。トトンの言う通りだよ、クウリ。それに俺等なんて、基本的に無理を無理やりやって来たパーティなんだし」


 霧の中を歩きながら声を上げてみれば。

 先頭を行くトトンは呆れたように笑い、ダイラもそんな答えを返してくれる。

 それに続くイズに関しては、普段通りにフッと口元を緩めてから。


「誰も彼も、消去法で選んだ訳では無い。それに、自暴自棄になっている訳でもない。そこだけは安心して良いぞ、クウリ。だからお前は、“いつも通り”やれば良いさ」


 やけに頼もしい台詞を残し、三人揃ってニカッと笑って見せる。

 たくもう……ずっとウジウジ悩んでいた俺がアホらしくなるくらいに、ものっ凄く清々しい表情です事。

 なんて、誰も彼もが不安の一つも無いって事は無い筈。

 ある程度は呑み込み、気を使い、そしていつも通りで居ようとしている。

 文字列だけなら不安要素でも残ってしまいそうなソレではあるものの。

 人付き合いってのは、本来こういうものだろう。

 相手の本心を知りたくても、絶対に全てを曝け出す事など無い。

 それでも一緒に、そして笑い合っていたいのなら。

 最低限節度と気を使う……というか、相手を尊重するという行動や言動が必要になって来る訳で。

 これのセーフラインを、“他人”よりずっと近い距離に引いているのが、仲間という存在。

 などと、今更ながら実感してしまう気分だった。

 こんな事に巻き込んで、更にはもっと巻き込もうとしている馬鹿に対し。

 自分も一緒にやるって言ってくれる友人達が、こんなにも居るのだ。

 俺はきっと、本当に幸せ者なんだろう。


「わり……って、謝るのは違うか。これからも頼むわ、お前等。やっぱ極振りキャラじゃ、ぼっちはキチィわ」


 なんて言って笑ってみると、皆からも笑みを返される。

 これで良いんだ、とは断言出来ない決断をしてしまったのかもしれない。

 もしかしたら皆の人生そのものすら壊してしまうお願いをしてしまったのかも、そんな風には……未だに考えてしまうが。

 それでも一緒に居たいと願い、それを良しとしてくれた奴等だ。

 だったらいつまでも、巻き込んだ俺がウジウジしているのも違うだろう。

 という事で改めて、元気良く足場の悪い山脈を歩いて行くのであった――


「なんて、綺麗に終われば良かったのに……いつまで続くんだよ! おいコラ! シュウ! 出て来いお前! ゴールまでがなげぇよ!」


「敵が出ないだけマシだと思いなさいよ、魔王。いくら嘆いても、歩く道は短くならないのよ?」


 めっちゃ呆れた瞳をエレーヌに向けられていますが。

 そうですよね、当たり前だよね。

 いくらここを管理するレイドボスと仲良くなったからって、ゴール地点にポッとワープとかさせてくれませんよね。

 分かっては居たけど、長ぇのよ。

 霧は俺達を避けるみたいに展開されているし、アレから墨の化け物に襲われる事は無いので非常に助かるのですが。

 相も変わらず、足場が悪い。

 こんな所でデカイ翼のアクセサリーなんぞ装備してられるか、バランス崩すわ。

 という事で、テクテクする他無く。


「いや、待った。もしかしてもう飛んでも敵が襲って来なかったり?」


「シュウが良しと言わない限り、止めておいた方が無難じゃないかなぁ……?」


「俺達を中心として、霧に空洞が出来ている状態だからな。高速で飛んだ場合どうなるか……相手からバフを貰っている様な状態ならまだしも、この管理を彼女自身がやっているのなら……まぁ」


「勝手に霧に突っ込んで、しかも空からも襲撃受けたら一大事だねぇ」


「諦めて歩きなさい。何事も一歩ずつ、毎回楽しようとしないの」


 皆から、お叱りを受けてしまった。

 ですよね、変な事やって北の門に着く前に撃墜されたら意味無いもんね。

 ダイラに防壁張って貰って、常に攻撃しながら高速移動……とかも考えたのだが。

 そもそも霧の中に突っ込んだらホワイトアウトどころじゃないしね。

 デジタルマップがあるから、迷子になる事は無いかもしれないけど。

 道が分からなくなって、着陸出来ない状況に陥ったら最悪だもんね。

 魔力切れして落下する未来が見えるよ。

 などとやっている内に、何やら妙な建築物が見えて来た。

 濃い霧に隠れたソレ。

 やがて霧が晴れていき、こんなにも近くに巨大な建造物があったのかと驚かされる程。

 なのだが。


「おいシュウ! もう良いって! イベントスキップ! 戦闘しないならこの演出いらない! ねぇ聞いてる!?」


 扉を、思いっきりガンガン叩いた。

 だってコレ、レイドボスステージに踏み込んだ時のムービーそのまんま。

 霧が晴れ、天から差し込める金色の太陽の光。

 そしてこんな山脈に存在する、豪華すぎる建物~……てな雰囲気なのだが。

 叫んだ結果、扉はあっさりと開き。


「演出というのは、やはり大事だと思うけどねぇ? 君も魔王なら、こういう美学は今の内に学んでおくべきだと思うが」


 カラカラと笑う蒼髪美人が、酒の入ったひょうたんを揺らしながら待っていたではないか。

 なぁにが演出じゃい。

 でっけぇ扉を開いたら、酔っ払いが出て来た光景に美学もクソもあるか。

 という事で、さっさと中にお邪魔し。


「通り抜けて良いよな? お前と俺等の用事済んだし」


「冷たいねぇ。少しくらいゆっくりして行けば良いの」


「時 間 ねぇ って、言ってんだろうが。どうすんだよ、ゴール手前で記憶全部消されたら、元も子もねぇわ」


 そんな事を言いつつも、勝手知ったる他人の家と言わんばかりに通過。

 本来ならこの屋内でもモブと戦闘が発生し、最奥の広い部屋でシュウ第一形態と戦闘。

 その後扉が開き、裏庭……って言って良いレベルじゃないけど、“龍の住処”と言われれば納得しそうな見事な場所で第二形態。

 コイツを打倒すれば、これまで見て来た豪華な建物が全て消失し、ただただ広い場所での第三形態に突入という訳だ。

 ちなみに第二形態が蒼い龍。

 ドラゴンでは無く、龍。

 これも十分強いが、第三形態の金色の龍がマジで洒落にならないレベルで強い。

 討伐を終えると、龍が天に昇っていくムービーが流れ、その先にまた新ステージの景色がぁ……ってところで、このレイドイベントは幕を閉じるのだ。

 つまりイベントしてボスは攻略出来ても、ストーリー上では黄龍は倒し切れていないという事。

 こんなのが現実になった場合、正直相手してられるかって言いたくなるのだが。


「ねぇ良いじゃないか、少しくらい。結局君達が食べていた料理も酒も、ほとんど味わっていないんだ。ね? 一晩だけでも、一食だけでも良いから。私だけではいつまでも変わらない夢しか見られないんだよ」


「知 る か! お前神様的存在みたいなフレーバーテキスト持ってんだから、お供え物でもして貰えよ! 物珍しい飯と酒に執着して引っ付いてくんな!」


「どこからどう見ても、こんな地にもう人が住んでいる訳無いだろう!? 最後のお供えなんて何百年も前だよ!」


 違う意味で、相手していられなかった。

 この龍、間違いなく駄目なヤツだ。

 所謂“駄龍”だ。

 なんかもう本当にお前レイドボスかよって言いたくなる雰囲気で、しかもこの口調のまま。

 ねぇねぇお願いお願いとばかりに、突き進む俺達に絡んで来る。

 俺に引っ付いて来てが、向こうの身長の方が高い為に引きずられ。

 今度は魔女にしがみ付いてみれば完全に無視され。

 最後の抵抗とばかりに仲間達へと、しかも順にしがみ付いている駄龍。

 うわ何コイツ、めっちゃ面倒臭い。

 “龍の谷”の守護者こんなんで良いのかよって言いたくなる程、情けないお姉さまと化しているではないか。

 という事で、完全に無視したまま第二ステージの扉を開いてみると……そこには。


「イベントでは、荒れ果てた岩の大地が広がっている様な光景だったんだがな……」


 環境そのものは、それに等しい。

 しかしながら……あるのだ。

 視界の遠く先に、巨大な円の建造物が。

 まだまだかなり距離はありそうだし、ここからでも見えるって事は相当デカイ代物なのが分かる。

 そして、間違いなく。


「アレが……“北の門”」


 見つけたぜ、最終目的地。

 俺達の、“旅の終わり”とも言える場所。

 だが、終わらせるつもりなどさらさらない。

 あそこで答えを見つけ……そして、始めるんだ。

 俺達をこの世界に呼んだって事は、“攻略して良い”って事だもんなぁ?

 例えゲームマスターの“招待”があったからとは言え、この世界は俺達が生れる事を許容したのだ。

 だったら……。


「攻略するぞ、お前等。高難易度でふざけた条件、更には何がクリア条件なのかも分からないクソイベントだったとしても……参加した以上、“クリア”する。それが俺達だ」


 ニッと口元を吊り上げ、そのまま歩き始めるのであった。

 たった四人でこの世界に来て、今では五人となったこのパーティ。

 こんな少人数で世界に喧嘩を売るなんてのは、正直頭がおかしいとは自分でも思うが。

 それでも……それが、俺等っていうパーティなのだから。

 だからこそ、進め。

 もう止まる事も、戻る事も許されないというのなら。

 そんな覚悟を胸に、俺達六人は更に北の大地へ――


「いつまで付いて来るんだよ! 家に帰れよ! あんな立派な豪邸があるんだから!」


「一人であんな所に居ても、飽きるだけだろう? ちょっとくらい良いじゃないか、ケチだね君は、ケチ魔王だ。常に配下を増やす努力は怠るべきではないと助言しておくよ」


「ぼっちに言われましてもねぇ!?」


「ぼっちって言ったかい? 今、そう言ったかい? 私だって怒る事はあるんだよ? 怒ったからね、もう怒った。私も勝手にさせてもらう」


 などと言いながら、レイドボスがおんぶ状態で俺の背中にくっ付いて来るんだが。

 ねぇ何か全然締まらないんですけど!?

 ガチの最終ステージだってのに、変なオマケまで付属して来るんですけど!?


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