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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
1章

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第20話 ダンジョンボス


「ちょ! おいおいおいおい! 正面行き止まりかぁぁ!?」


「クウリ! あれボス部屋! そのまま!」


 高速移動を続けた結果、急に目の前に壁……ではなくデカイ扉が現れた。

 声と共にトトンが正面に盾を構え、衝撃に備えている様だが……マジかよ、突っ込めってか!?

 いやまぁ、これから急停止する事も出来そうに無いので。


「トトン、ジャストガード頼んだぁぁぁ!」


「りょぉぉっかい!」


 真正面から壁(扉)に突っ込んだ際、これまでガリガリ削っていたダイラの防壁が壊れた。

 ある意味俺の攻撃を何回も受けていた判定になっているかもしれないからね、仕方ないね。

 と言う事で、盾を突き出したトトンがタイミングを合わせてジャストガードを繰り出すと。

 デカい扉はゴォォン! と物凄い音を立て、俺達はその場で急停止した。

 ジャストガード、両者の勢いを完全にゼロにするって効果ちゃんと発動してるんだ。

 いやでも、扉は派手な音立ててたな。

 無機物だと、向こうには衝撃が行くのか? それとも相手には衝撃が残るって事?

 ゲームシステム的なのが適応されているのが俺達だけ、という可能性もあるのかもしれない。

 コイツはまた新しい発見だ、というか……助かった。


「はぁぁ……アクセに関しては、調整激ムズって事が分かった……」


「し、死ぬかと思ったぁぁ……」


「お疲れ様。クウリ、トトン」


「俺は楽しかったぁ!」


 そのまま浮遊を解除し、フヨフヨとゆっくり地面に下りてみれば。

 相変らずデッカイ扉、多分ボス部屋。

 え、コレ開くの? 人の力で開けられる?

 とか思っていると、トトンが盾で思い切り扉をブッ叩いた。

 結果、部屋の中に吹っ飛んで行った扉。

 あ~ぁ、壊しちゃった。

 後で弁償しろって言われたらどうしましょ。


「まさか、この状態のダンジョンを進んで来る輩が居るとはな」


 そんな声が、正面から聞えて来た。

 視線を向けてみると、間違いなくボス。

 巨大な体、羊みたいな頭と下半身。

 白い毛がモコモコしておられる。

 でも上半身部分だけは人の身体をしており、ムキムキマッチョメンという。

 そして大の男の身の丈ほどありそうな、馬鹿デカイ大剣。

 敵さんの身長に関しては、三メートルくらいありそうだ。


「ゲームでは見た事無いタイプだな」


「喋るモンスターは、ゲームには居なかったからな」


「うわぁ、なんかキモい」


「あ、アレも悪魔タイプなのかな……? だったら聖魔法が有効だけど……」


 各々声を洩らしてみれば、相手は何か高笑いを洩らし始めた。

 くえぇっくぇっくぇっ! みたいな、変な笑い方。

 見た目に反して鶏の悪魔とか何だろうか?

 とりあえず笑い方キモイ。


「我は魔族が一人、“ゴート”!」


「ちょっと待てぇい!」


 自信満々に名乗りを上げる相手に対して、思わず突っ込みを入れてしまった。

 こればかりは相手も予想外だったのか、不思議そうに首を傾げているが。

 でも、言わずにはいられなかった。


「ゴートってお前、ヤギなのか!? 羊じゃないの!? じゃぁそのモコモコはなんだよ! ヤギでもあぁいうクルクルした角になるのか? よくわかんねぇけど……お前魔族かよ! 出るじゃん普通にこっちの地方でも! ていうかこんなのと俺が勘違いされたのか!? おかしいだろ! 俺こんな不細工な面してないぞ!」


「クウリ、どうどう」


 ギャァギャァと騒ぐ俺をイズが収めて来る訳だが。

 全っ然納得いかねぇ。

 魔人だ何だと疑われて、散々苦労したというのに、色々焦ったというのに。

 コレが本物の魔族ですって? ふざけんじゃないよ。

 どっからどう見てもバケモンじゃねぇか、気味悪い笑みを浮かべてるじゃねぇか。

 それと俺のキャラを同一視してたってか?

 あの馬車の男とギルド支部長、後でぶっ殺してやる!


「……よくわからんが、お前も魔族なのか?」


「うるせぇ! ヤギだか羊だから分からねぇ面しやがって! 俺のどこを見て魔族だって思いやがった! 理由を言え理由を!」


「角が……生えている。あと翼も」


 判断基準ゆっる! 角か羽が生えてたら魔族だってか!?

 ゲーム内だったら俺と似たような装備とか、初心者でもアクセで角生やしてる奴なんか腐る程居たわ!

 俺の装備程派手派手では無かったが、普通に居たわ!

 ウガー! と吠えている内に、相手は話す気が無くなったのか。

 デカい剣を構えて突進して来た。

 ほほぉ、デカい割に随分と速い。


「トトン!」


「了っ解!」


 相手の一閃に対し、ウチのタンクが平然とパリィをかました訳だが。

 なんか、随分と重い音がしたな。


「クウリ! コイツの攻撃、これまでの奴より重い! 微妙に……だけど」


 ヒュドラの攻撃でも余裕な顔で防いでいたトトンの言葉に、ちょっとだけ閃いた。

 コイツはきっと、他の魔物より強い。

 この地の人々でも多分苦戦するくらいに。

 そして現状、俺達は全力が出せない状況にある。

 ここで何かをテスト出来るとすれば、それは。


「全員、よく聞いてくれ。トトンが防いでいる間、手持ちの一番弱い装備に武器変更」


「なっ!? クウリ、この状況で縛りプレイをしようと言うのか!?」


「ちょっとちょっと! いくら何でもソレは舐め過ぎだって! こっちは命が掛かってるんだよ!?」


 イズとダイラから苦情を頂いてしまったが、まぁ当然の反応だろう。

 しかしながら、今後生きていく際。

 俺達は多分、全力が出せる事の方が少ない。

 やらかせばまた注目を集めてしまう為、下手すればそこら辺の店で買った装備をメインに使う可能性だってあるのだ。

 だったら一般人に紛れ込めるように、普通の人っぽく見せる必要がある。

 つまり。


「ごく普通のパーティに見せる為の練習をする。スキルツリーの第三進化まで、装備も貧弱。この状態で連携してコイツを倒す。ソレが出来れば、傍から見ても普通に見える可能性が高い……気がする」


 そう言い放った瞬間、前線に立っているトトンが叫んだ。


「賛成! メイン武装に拘るより、まず世界に慣れる。その為に“普通”はやっぱ大事だよ!」


 ガツンガツンと派手な音を立てながら、未だボスの攻撃を一人で防いでいるアイツの声に。

 イズとダイラも、渋々ながら首を縦に振ってくれた。


「誰かが怪我をしたら、即座に全力を出すからな」


「言っておくけど、指示は昔みたいに出してよね? 頼りにしてるよ、クウリ」


 それだけ言って二人は装備を変えていく。

 何かもうギルドで居たわぁって感じの弱そうな鎧に身を包んだイズは、普通の長剣を二本構え。

 ダイラに関しては、露出度は高いが地味な修道服に変わり、もはや木の枝(笑)を構えて相手を睨んだ。

 二人のこれも縛りプレイで遊んだ時の装備なので、最低限は強化されているのだが。


「うっし、トトンとイズはスイッチ! 俺とトトンが装備を変えてから、本格的に戦闘開始だ!」


「「「了解!」」」


 そんな訳で、戦闘の下準備を開始するのであった。

 トトンのあの反応からして、多分ゲーム中盤程度のボスキャラと考えて良いのだろう。

 だったらまぁ、試すには丁度良い。


「行くぞダイラ!」


「う、うんっ! サポートする、気を付けて!」


 声を上げながら突っ込んでいく二人と。


「ただいまぁ、クウリ」


「うしっ、装備変更すんぞ」


「おっけぇい」


 軽い声を洩らしつつ、俺達も装備を変更していく。

 つっても本来のレベルが高いから、これでもどこまで制御出来るかって感じだが。

 まぁ、やってみて損はないだろう。



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