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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
8章

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第192話 新たなステージ


「オイオイ勘弁してくれよ幽霊船長……どうしたぁ? 歩道から誰か飛び出して来たかぁ?」


 未だジンジンする鼻先を押さえながら、船の甲板へと上がってみると。

 そこには、船員のミイラ達が……何やら、混乱した様子で周囲を伺っていた。

 そして、姿を見せた俺達の元へ船長が急いでやって来たかと思えば。


『すまない、魔王。これ以上は、進めなくなった』


 それだけ言って、正面を指さす船長。

 これに従い、俺達も甲板から周囲を眺めてみた訳だが。


「……まぁたアレか、フィールドが切り替わったか」


 今まではこれでもかって程に砂漠が広がっていたというのに、今では深い霧に包まれた山岳地帯。

 わはは、岩山から砂の海、今度は山々が連なって足止めして来やがりましたか。

 ふざけんなマジで。

 フィールドで邪魔してくるにしても、船を手に入れたのにすぐに使えなくなるのは勘弁しろ。

 思わずクレームを入れたくなるが、こればかりは文句を言っていても始まらない。

 というか、こんな場所では船に乗っていても意味が無いので。


「チッ、仕方ねぇ……船長、お前等は一旦俺の中へ戻れ。ノーライフキング同様、“憑りつく”事は出来るんだろう?」


『しかし……』


「安心しろ、一緒に連れて行ってやるから。適材適所、また砂漠だの海だのの時はお前等を呼ぶからよ」


 そう言い放ってみれば相手は頷き、周囲のミイラ達は敬礼を返して来る。

 さぁて、んじゃまた元気に二本足でテクテクしますかねぇ。

 などと思いつつ、俺等五人は船を飛び降りた。

 振り返って見れば、こちらに敬礼している亡霊海賊たちは徐々に姿を消し、最後にゴーストシップもその場から幻影の様に消えて無くなる。

 船その物は実体がある訳だから、もしかしたらインベントリに入れないとかも?

 なんて思っていたが、アレもまた彼等の一部という扱いなのだろう。

 余計な心配をする必要はなく、ノーライフキング同様、俺のスキルの一部として取り込まれた様だ。


「さて、また歩くか……道中、今日の夢の内容を聞かせてくれ」


 ため息交じりにそう言い放ったイズが此方の肩にポンと手を置き、そのまま先頭を歩き始める。

 それに従って、ちびっ子がタタタッと駆け出し。


「結構霧が濃いねぇ~。山もかなり険しいというか、斜面の角度がキツイから、滑ったらそのまま下まで行っちゃうかも?」


「怖い事言い出さないでよ……ていうか、トトンこそ気を付けてね? いつもみたいにフラフラしちゃ駄目だよ?」


 保護者かっていう雰囲気のダイラも続き、トトンの手を掴んだ訳だが……アレはちびっ子にしがみ付いているのか、トトンが変な事しない様に手を掴んでいるのかどっちだ。

 などとやっている内に、魔女が俺の隣に並んで来て。


「さっきの話、途中で止まっちゃったけど。歩きながらちゃんと教えてね?」


「あぁ、まぁ……話しはするけどさ。なんつぅか、どう説明したら良いか」


「またそれ? まぁ、いいけど。でも貴女が全て私達を納得させる必要はない、見聞きしたモノを話してくれるだけでも構わないわ。リーダーだからと言って、そこまで完璧ではいられないでしょう?」


「……違いねぇ、俺はそこまで器用じゃないからな」


 思い切りため息を零してから、俺達もまた歩き始める。

 さてさて、今回はどんな場所なんだか。

 というか、今度は何が襲ってくるのやら。

 今から考えても仕方ない事かもしれないが、警戒だけは怠らない様にしないと。

 夢の内容ばかり気にして呆けていたら、それこそ谷底まで落っこちそうだしな。

 と言う事で常に飛べる様翼を準備しつつ、今度は険しい山道を一歩ずつ慎重に歩き進めるのであった。


 ※※※


「なんともまぁ、答えが無いっつぅか~」


「ま、そういう感想になるよな。実際そいつも、正確なところまでは把握出来ないって雰囲気が凄いのよ」


 ボヤくトトンの声に言葉を返しながら、夢の内容を皆に説明中。

 とはいえ、魔女の事に関してだけは……なんと説明したら良いのか。

 こんな足場の悪い所で混乱されても困るし、今日の野営中にでも話そうかと今は伏せているが。


「その……貴女達が居た世界の、なんだったかしら? 何とかかんとかっていう、ゲーム? を作った人間、で良いのよね? そしてソレがこの世界の基盤となった、というのなら……この地に生きる者としては、“神”という他無い存在ね。とても、信じられる話では無いけど」


「実際話が壮大になり過ぎてるからねぇ。世界がどうとか言われても、俺等一般人にとっては何の事やらって感じだし」


「とはいえ、実際俺達は“転生”……とは言い切れないが、それに近い状態を体験しているんだ。他人事の様に考えて良い内容ではないのだけは、確かだろうな」


 残る面々に関しても、やはりそんな感想。

 今の内に聞いておきたい内容とか、そういうのを話し合っておいた方が良いかな?

 なんて事も思ったのだが、やはり相手が確たる答えを準備できるかも分からないという状態だと、こちらとして何を聞いた良いのか分からない。というのが心情としては一番近い。

 だって世界規模の話されても、俺等がどうこう出来るのかって話だしね。

 そうなって来ると気になるのはやはり、自分達の今後。

 これについて、スパッと答えが頂けるなら一番早いのだが……。

 本人次第、行動次第みたいな話は何度も出て来てるしなぁ。

 これまでの人がどうだったのか、結果的にどうなったのかって話を中心に聞いた方が良いのかもしれない。

 とはいえ過去の人物の行動分析って事になると、一人分聞くだけでも相当時間掛かりそうだけど。

 これを幾つか聞き出して、総合的に判断するって話になってくると……俺等にその時間があるの? って話になって来るし。

 有益な情報だという事は間違いないから、出来ればサクッと聞けるところは聞き出したい事例ではあるのだが。


「なんて、ゆっくり考えている時間も無さそうね。来たわよ」


 魔女がポツリと呟いてから両手剣を構えてみると、深い霧の中に空飛ぶ影がチラホラ。

 はっきりと目視出来ないので、相手が大きいのか小さいのかも分からない。

 当然こんな状態では飛行する訳にも行かないし、もしも“空のお邪魔虫”なんか居た場合には最悪。

 しっかりと足場が確保出来るかも怪しい状況では、緊急着陸など出来たものではない。

 ついでに言うと今回の霧は、ちゃんと仲間達にも見えているらしいので一安心。

 いや、全然安心じゃないか。

 足場が悪いのにヘビーフォグ、そんなのに紛れて空飛ぶ何かが襲って来るんだから。


「エレーヌ、トトン。感知で何か分かる事は? 数、大きさ、方向、何でも良い」


「大きさは不明、でも魔力はそこらの獣達より強い。まぁ北の大地だからこそ、なんだろうけど」


「羽音は聞えるけど……数はちょっと分かんない。色んな方向から聞えて来る気がする、この霧のせいか妙にぼやけた感じ」


 つまり、すぐ近くまで来ないとほぼ情報無しって事で良いのだろう。

 まったく、嫌らしいエネミーが居たもんだね。

 ホラーゲームか何かかっての。

 とはいえ、リアルの環境的には十二分にホラーなんだけども。

 もちろん物理的な身の危険って意味で。


「相手の射程に入ってから認識、それに判断ってなるとどうしても遅れを取るな……ダイラ、ちょっと長丁場になるかもしれないけど、周囲にプロテクションを。軽めのヤツで良い、様子を見る」


「りょ、了解……足止め程度にはなるけど、デカい奴だとそのまま突き破って来るかもしれないからね?」


 ちょっと自信無さそうに呟くダイラは、俺達を包み込む様に魔術防壁を展開していく。

 ずっとMPを消費させる様な行動になっちまうから、良い手では無いのは確かだが……。

 急に出て来てガブッ! とまではいかなくとも、反撃してバランスを崩し、そのまま谷底へ~なんて言ったら洒落にならないからな。

 どんな相手が来るのかが判明するまでは、ちょっとダイラに頑張ってもらうしかない。

 なんて事を考えつつ、これまで以上に慎重に進んでいると。


「っ! 来たわ!」


「右! 結構速いよ!」


 感知が鋭い二人がいち早く反応し、右側から襲い掛かって来た何かに対してトトン飛び出す。

 その際足場が悪いせいで、若干ズルッと足を滑らせた様に見えたが。

 ちびっ子の首元の鎧を魔女がガシッと掴み、トトンはそのまま突っ込んで来た相手に盾を向ける。

 ソレの更に向こう、ダイラが張った防壁に対し何かがぶつかったかと思えば……。

 バリンッと、プロテクションが砕けた音が響いた。


「“パリィ”!」


 相手の攻撃をトトンが防ぎ、エレーヌとイズが追撃に走ろうとしたが。

 それよりも前に、相手は再び霧の中へと戻っていく。

 この際、一瞬だけ見えた相手の姿は。


「最悪……と言って良いなこりゃ」


 こっちの世界では初めて見た……のは、結構いつもの事だけど。

 それ以上に、違和感のある外見をしていたエネミー。

 まるで墨で描いた絵のような、不思議な見た目。

 とてもではないが、現実の生物とは思えない姿をしていたのだ。

 雑魚モブがあんな姿をしていたって事は。


「イベントステージ……だな」


「うっわ、このイベント……かなり高レベ推奨な上に、最後までクリア出来たプレイヤーも結構少ないんじゃなかったっけ」


 前衛組はゲンナリとした声を上げ、魔女に関しては首を傾げる。

 そして、もう一人は。


「ねぇ嘘でしょ!? こんな所であんなのに襲われるの!? 最悪でしょ間違いなく! だってあれ、基本魔法と物理のミックスだよ!? 本体そのものだってちゃんとした実体が無いエネミーじゃなかった!?」


 いつも通り、叫ぶダイラ。

 だが、多分ソレが大正解。

 俺達の記憶通りのその場所、というかそういう敵が発生する地域だというのなら。


「レイドイベント、“龍の谷”……だな。クッソ最悪、リアルでこんなの相手してられるかよ……全員全力で警戒! だが、可能な限り素早く走り抜ける! こんな足場じゃアイツ等と戦闘なんぞ出来たもんじゃねぇぞ!」


 ゲームの時とは、ちと足場の雰囲気も違うが。

 とはいえ、確かにこういう険しい山々が背景としては存在していたイベント。

 しかもボスに関しては、他のレイドボスより遥かに厄介というオマケ付き。

 なので、少々無理をする事になったとしても。

 まずは戦える程度の足場を求め、一気にこの場を駆け抜けるのであった。


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