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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
8章

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第189話 英雄は、旅を続ける


 ゾンネッシーの首に対し、亡霊船長が攻撃魔法を使いながら連続でシミターを叩き込んだ結果。

 それはもう見事に、砂漠の竜は首を落とされた。

 本来ならこれで終わり、リアルという意味でも、生物としてもこれで決着。

 だからこそ、誰も彼も武器を振り上げて喜びに打ち震えている様だが……残念ながら、コイツはゾンビなのだ。

 映画に出て来る脳みそは活動させている様な、病原菌ゾンビとは違い。

 呪術的な意味で身体を動かしている、紛れもない“モンスター”。

 だからこそ。


「“太陽神の短剣”の効果が切れるぞ! ミイラ組は全員離れておけよぉぉ!?」


 叫びながら、俺達も船から飛び降りた。

 トトンは大槌を構え、イズとエレーヌは刃に魔力を纏わせる。

 ダイラを背中にくっ付けた状態で飛び降りた俺に関しては、最後尾に着きながら杖を相手に向けて構えた。


「狙うは胴体! 遠慮する必要はねぇ! 木っ端微塵にしてやれ!」


 これと同時に奥義の効果は終了。

 首を失った恐竜の身体がビタンビタンと暴れはじめるが、ワラワラと集まっていたミイラ達の前にはダイラのプロテクションが展開。

 そしてそのまま、“俺達の攻撃”から防ぐ為に防壁の幅を広げていく。

 さぁて、準備完了って事で良いだろ。


「全員、大技を叩き込め! 少なくともパーティ内の仲間には影響しないんだ、巻き込む事なんぞ気にせず最大火力をぶっ放せ!」


「「覚醒!」」


「……やっぱり、私もソレ欲しいわ」


 前衛二人から声が上がり、魔女から若干不満の声が聞こえた気がしたけども。

 台詞くらい自由言って良いって。

 皆に合わせて“覚醒”って口にしたところで、誰も笑わないから。


「奥義、“おもちゃ箱”! 武器のみ召喚、“スマッシュ”!」


 トトンが振り上げた大槌に、クリエイトメニューで拵えた馬鹿デカイ合体装甲を装備。

 普段ならアレを動かすのだって魔力を大量に使うのだが、今回は重力に従って振り下ろすだけ。

 後の事を考える必要も無ければ、この一撃なら魔力切れの心配も無し。

 ついでに言えばスキルの効果も乗った状態で、相手の巨体へと攻撃を叩き込めば。

 相手が、それはもう“弾けた”。

 “スマッシュ”の効果を乗せた巨大ハンマーは腐敗肉に叩きつけられ、その衝撃は内部へ。

 そして衝撃を逃がす事など出来ず、身体の脆い部分から中身まで勢いよく飛び出してくるが。


「奥義、“煉獄”。熱消毒と……少し捌くぞ、“乱舞”」


 溢れ出した体液だの臓物だのを、まとめて炎の海に呑み込んだイズ。

 当然俺達も巻き込む形で、轟々と燃え上がる火炎の牢獄に囚われる訳だが。

 そんな中でも連続で双剣を振り回し、相手の分厚い皮膚に刃を入れて文字通り“解体”していく。

 この攻撃の影響で、こんがり焼けたゾンビの背中に一部だけ大穴が空いたかと思えば。


「血喰らい……“覚醒”なさい。撃ち抜くわよ」


 続くエレーヌが、御自慢の魔剣を傷跡に向けて思い切り突き刺し。

 そのまま内部へ赤い閃光をぶっ放したらしい。

 一瞬膨れ上がった様に見えるゾンネッシーの身体は、間違いなく大ダメージを受けてビクビクと痙攣している訳だが。

 まぁだ原型が残ってやがる。

 まったく、これだから巨大生物はしぶといんだよ。


「覚醒……サテライト――」


「それは駄目だってばクウリ! ホラ、月出てない! だからそっちは止めよう! ね! そうしよう!?」


「……“デウス・マキナ”」


「そっちでも充分火力高過ぎるって分からないからなぁ!? あぁもう! 覚醒! 多重“プロテクション”! 逸らして、船乗りと船その物を全力で守るよ!?」


 叫ぶダイラが更に魔術防壁を厚くしていく中、俺達の後ろからはデウスマキナの人形が出現する。

 ガパッと口を開いてから、イズが発生させた炎の海に向かって。


「ぶっ放せ、跡形も無く消し飛びな」


 紫色のレーザーが、全てを飲み込むのであった。


 ※※※


 その夜、暗くなった砂の海の上で。

 膝を折り、こちらに頭を下げる大量の海賊ミイラ達。

 そして先頭にはゾンビみたいな見た目の船長、そしてソイツ等の後ろには立派な海賊船が聳え立っている。

 んで、鼻歌を歌いながらリジェネを行使する俺と言う訳の分からない状況。

 これもノーライフキング曰く、とても重要な事だからと言われたのでやっているわけだが。

 どうしたらこうなるのか。

 何故俺はこんな砂漠のど真ん中で羞恥プレイにあっているのか。

 全く意味が分からないけど、コレが“条件”と言うのならやるしかない。

 そんな訳で、鼻歌が終われば。


『感謝、する……魔王。我々の願いは……目的は、果たされた』


「うぉっ、今度は普通に聞こえた」


 まず顔を上げたのは、ゾンビ船長。

 身体は半透明だし、まさにゴーストって雰囲気は相変らず。

 しかしながら、しっかりと意思疎通が出来る様になったという事で良いのだろうか。

 更には周囲のミイラさえも皆顔を上げ、こちらをジッと見つめて来る。

 見た目だけなら、結構なホラーなんだけどね。

 とはいえ。


『約束通り、我々は魔王と共に。この身、この船、そして仲間達。全てを、魔王に捧げる。天に帰れぬ、この世界に縛られた魂。存分に、使うと良い』


 この言葉に、ニッと口元が吊り上がったのが分かった。

 駄目だ、叫ぶな。

 今だけは、絶対やっちゃ駄目なヤツだと分かる。

 けど、どうしても言いたい。

 ラストエピックに登場するボスクラス、しかも……ゴーストシップどころか、大規模戦力確保ぉぉぉぉぉ!

 というか船も無事だし、現物残ってるし! もう最高でしょこんなの!

 クハハハハッ! っと高笑いを浮かべたいのを我慢しながらも。


「おうよ。今後は俺の下でもっと広い世界を旅させてやるよ、海賊共。だが……お前等から反感も持たれない為に、今の内に言っておくな? 俺が今回手に入れたモノは、お前等の忠義だけじゃない」


『と、言うと?』


 船長は不思議そうに首を傾げ、船員達も興味深そうに視線を送って来る。

 まぁ、顔面包帯なので目線とか分からないけど、雰囲気で。

 そんでもって、仲間達からは溜息を貰ってしまったが。

 ニィッと口元を吊り上げてから、掌を空に向け。


「来い、“屍竜ドラゴンゾンビ”」


 此方の声と同時に、霊体となった腐ったプレシオサウルス……別名ゾンネッシーが出現するのであった。

 正直に言おう、ガチモンスターの方が“テイム”も楽!

 このスキルを使いながらぶっ殺せば、問答無用で首輪を付けられる感じだっただし。

 肉体は残ってないから、マジで魂だけ束縛した感じだけど。

 しかしながら今では完全に俺の支配下にあるのか、暴れる様子も無く大人しくしている。

 そんなのが首を上げ、ここに居る全員を見下ろしていると。


『ク、ククク……まさか、コイツまで従えるか……“魔王”は伊達ではない、と言う事か』


「さて、どうする海賊諸君。お前等を苦しめた元凶が、今では俺のペットになった訳だ。それでも、お前等は俺に付くか?」


 もう屍竜を確保した時点で、かなりの報酬と言っても良い。

 だからこそ、このままコイツ等が成仏したいってんなら……まぁ、それも有りかなとは思うが。

 しかし。


『男に、二言は無い。それに、首は此方で確かに頂いた。我らの刃は、既に魔王に預けた』


「おっとぉ、流石は海の男達。とはいえ、砂の海だがな。本当に良いんだな?」


 これまた煽る様な言葉を吐いた俺に対し、相手は腰の剣を二本抜き放ってから、こちらに向かって差し出して来た。

 ソイツを受け取ってみれば、アイコンが浮かび。


「クククッ……安心しろ、お前は。いや、お前等は間違いなく既に“本物の英雄”だよ」


 英雄のシミター “砂竜殺し”。

 俺の視界には、そんな武器名が表示されていた。

 コイツ等の国の流儀を知らないから、このまま剣を返せば良いのか、それとも俺が保管した方が良いのか分からないで居ると。


「クウリ、コレを彼に」


 隣に居たイズが、一対のシミターを差し出して来た。

 イズの戦闘スタイルなら、多少剣の形が変わろうと使用可能だからな。

 この手の武器も保管していたのだろう。


「いいのか? コレ……結構だぜ?」


「なに、普段は使わないからな。お前がノーライフキングに、ペレの杖を預けたのと同じようなものだ」


 渡された双剣に関しては、風属性のドラゴンからドロップする……レイド武器。

 しかもプレイヤーに渡したら、泣いて喜びそうな所まで強化されている代物なんだが。

 まぁ、良いか。

 本人が使わないと言っている以上、今の状態ではインベントリの肥やしだからな。


「俺達の仲間になる証だ、受け取れ。砂の海賊には、ピッタリな武器だろうよ」


『感謝……』


 緑色の双剣を船長が受け取ってみれば、ソイツの周辺からは風が巻き起こる。

 適性レベルも問題ない御様子で、まるで“剣に受け入れられた”かの様な演出に、周辺のミイラ達からも歓喜の声が上がる。

 これで俺が使役する配下は、炎の杖を持つ不死の王と、風の双剣を持つ砂の海賊と来たもんだ。

 ついでに、ドラゴンゾンビも増えたけど。

 なかなかどうして、面白い事になって来たじゃないの。


「さて、それじゃ船長。早速俺達を乗せて次の旅に向かってもらおうか」


『なんなりと、魔王。次の目的地は?』


 全員がザッと音を立てて立ち上がり、次の俺の一声があればすぐにでも動き出す準備が整った様だ。

 いいねぇ、この感じ。

 こんな不安ばかりの最終ステージでも、こういう楽しくイベントなら大歓迎ってなもんだ。


「目指すは北、この世界の根幹たる“北の門”を向かう。砂の海の次は、世界を股に掛ける海賊の誕生だぜ? せいぜい楽しみな、俺達はこれから……世界そのものに喧嘩を売る」


『ク、ククク……承知。聞いたな! 全員、出港準備! 我々の次の目的地は、北! 砂の海から飛び出すぞ! 我等は“竜殺し”、その名を今度は世界に轟かせる!』


 船長が大声を上げれば、ミイラ達は武器を掲げがら雄叫びを上げた。

 誰も彼も歓喜し、まさに海賊って雰囲気のまま乗船していく。

 あぁ~これで砂漠地帯は楽になる筈。

 というかコイツ等の武器も何か考えないとなぁ……肥やしになってる適当なドロップ品とか、まとめてトトンに強化してもらうかぁ。

 そんな事を考えながらも、俺達も海賊船へと乗り込んでいくのであった。

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