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自キャラ転生! 強アバターは生き辛い。~極振りパーティ異世界放浪記~  作者: くろぬか
6章

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第144話 謎解きゲー


「最初からこうしてくれよ……」


「ねー、ほんっと」


 トトンと一緒に愚痴りながらも、本日の移動は非常に順調。

 先日までの戦闘で、俺達の実力は認められたらしく。

 今はズモモモッと進む、キャタピラ付き魔道具の天井に腰掛けていた。

 これ以上の戦闘行為は必要無い、と今朝お言葉を頂き。

 ここから先は一気に遺跡まで向かうという事で、天井をお貸し頂いた訳だ。

 そこは中に入れろよ、とも言いたくなったが。

 昨日も言われた通り、キャタピラ馬車モドキの車内に関しては企業秘密なんだとか。

 かー、コレだから人の心の無い研究者たちは。

 こっちは見た目だけなら女子供の五人組だというのに。

 これ程非人道的な奴らだ、国には秘密で人体実験とかしていても驚かないね。

 とか何とか下らない事を考えつつ、仏頂面で眼下へ視線を下ろしてみると。


「また居るねぇ……スノーワーム」


「アレと戦わなくて済むだけでも、この乗り物に感謝だな」


 ダイラとイズもそんな事を呟きながら、乗り物に対し必死で攻撃を仕掛けている魔獣に視線を送っていた。

 そこら中からブシャァッと雪が噴射し、こちらの乗り物にぶっ掛けて来るが。

 キャタピラは知らんとばかりにズイズイ進み、俺等が乗っかっている四角い乗り物もビクともしない。

 いやぁ、技術力の進化ってのは素晴らしいね。

 きっとコイツはこのスノーワームとか言うクソキモイ魔獣を、意地でも相手にしたくないからこそ生まれた魔道具なのだろう。

 見るだけでも嫌だし。


「あとは謎解きイベントの連続かぁ……こういうの得意なのはダイラとイズだっけか」


「得意、と言う程でもないがな。古文とかなら、まぁ」


「俺も別に得意って程じゃないよ? 資料とか丸暗記するだけだし。突飛な発想とかが必要なら、クウリとトトンの方が得意だと思うけど」


 とか何とか話しつつ、天井に腰掛けながら皆でダレていたのだが。

 そんな中、静かにしていた魔女が。


「室内で戦闘になるみたいだけど、そっちは問題ないの? もしもまた虫が大量に出て来ても……大技、使えないんじゃない?」


 ポツリと呟いたその発言に、皆揃ってビタッと固まってしまった。

 確かに、それはヤバイかも。


「どう……すっか。ある意味ダンジョンみたいなモンだよな……小技で対処するにしても、大量にワーム発生とかになったら」


「俺等前衛組が頑張る、しかないかよねぇ……スノーワーム程キモく無ければ、まぁ……何とかするよ……」


「あ、ある意味奴等のせい……ではなく、お陰で耐性が付いたと考えるべきだろう。そうしよう」


「後は細かいのが、ウジャウジャウジャ~って出てこないのを祈るばかりだね……」


 昨日の経験だけで、全員虫嫌いになってしまったのは間違いなさそうだ。

 蛇とか化け物みたいな奴とか散々相手して来たのに、今更物凄く情けない事を言っているのは理解しているのだが。

 でも、キモイものはキモイ。


「ノーライフキングに全部任せて、俺等は後ろから見てる……とか」


「テイムしたモンスターとしてはある意味正しい使い方なんだろうけど。なんか可哀想だねぇ、亡霊兵」


「死してなおやる事が、害虫駆除とはな……」


「でもホラッ! ノーライフキングなら、クウリより大人しい範囲攻撃とか出来るかもしれないし!」


 まぁ、うん。

 現場に着いてから考えよう。

 とりあえず大技は禁止になるだろうし、基本細かい作業の繰り返しになる事は覚悟しておいた方が良いだろうが。

 カオスフィールドとか使えば、まとめて駆除出来るのかもしれないけど。

 ハッハッハ、クソでか芋虫が周囲で破裂するとか想像もしたくねぇ。

 もしもソレで全員が体液被ったら、絶対ブチギレ案件だろうし。

 これだから屋内戦は嫌いなんだよ……。


 ※※※


「ふっつうに観光客いっぱい居るけど、良いの? 扉開けた瞬間に魔獣がドバァッ! とかない?」


「問題無い、浅い階層に関しては全て駆除してあるからな」


 だ、そうで。

 民間人が順路に従って観光している隣を、関係者ですと言わんばかりの顔でグイグイ追い越していく。

 いやぁ、順番待ちしている人達をすっ飛ばして来店する、みたいな感覚で非常に申し訳ないが。

 これでも許可を貰っている身なので、ごめんね?

 なんて事を考えつつ件の石碑の所までやって来た俺達。

 そんでもって、それらの物品に触る許可を貰ってから。


「えーっと、ココに嵌める感じで良いのかな?」


「そうみたいだな。それで、石碑に書いてあった内容が……」


「太陽が西に沈んだ時に盾がどう見えるか、だから。逆光で影になってるって事だよね? つまり、黒い盾の模様の石板をこっちに……うわっ、意外と重っ!」


「ダイラー、俺が動かすよー? どれー?」


 観光客にも、そして魔道具研究者達にもジロジロ見られている中。

 よくある謎解きゲーって感じの窪みに、並んでいた石板を選んで嵌め込んでいく俺達。

 これで全然見当外れ、全く変化なし! とかだったら相当恥ずかしいな。

 とか何とか思っていたが、意外にもあっさりと正面扉が開いた。

 周囲からは「おぉっ!」みたいな声も上がったが、こちらとしては一安心。

 大勢の前で恥を晒さずに済んだ……というのと。

 実際こういうのって、どういうギミックで動いてるんだろうね?

 なんて関係ない事を考えつつ、さっさと奥へと進んでみると。

 何やら、今度は広い部屋が広がっているではないか。

 しかしながら、なぁんにも居ない。

 そして遠くの壁に、先程開けたのと同じような扉が。


「初回は、ココにアイアンゴーレムが居たそうだ」


 不思議に思っていた俺に対して、イカルドのおじさんが声を掛けて来たが。

 相も変わらず厳つい顔と、本当についてくるだけの御様子で。

 職員達含め、一切手を貸そうとはしてこない。

 もう謎解きが終わっている場所だって言うのなら、答えを教えてくれても良いのに。

 今の所、その気配は無し。

 この辺も、俺達だけでやれって事なのだろう。

 ほんっと、相手の観察がお好きな事で。


「ま、邪魔者が居ないってんなら、こっちとしては有難いね」


「いつまで強気で居られるか、お手並み拝見と行こうか。我々はあくまで、君達の“監視”に来ただけだからな」


「ハッ! アンタ等がまだ調べ終わってない場所まで到達して、止めてくれって言っても勝手に調べるからな?」


「期待しているよ。未知の領域に踏み込めるのなら、こちらとしても有難い限りだ」


 俺、何かこの人嫌い。

 権力者ー! って感じで偉そうにしている訳ではないのだが。

 こう……出来るもんならやってみろ、みたいな顔しつつずっと観察してくる感じ。

 何かしら興味を持たれてはいる様だけど、どこまでもモルモットとして見られている気分だ。


「クウリ、次パズルみたいだよ? 俺やっちゃって良い?」


「おう、頼むわダイラ」


 次の扉にあったのは各所を回転させて絵柄を合わせろ、みたいな感じの壁面パズル。

 周囲一マス分のピースは連動して動くみたいなので、その場で頭を使う系はダイラに頼るに限る。

 何処をどう動かせばこうなる、みたいなの記憶する事が一番上手いのはコイツだし。

 そもそも二つ名が“幸運の性女”なのだ。

 他のパズルでは、初手適当に動かしただけで「あれ? なんか揃ったんだけど」みたいな事だって度々発生したくらいだ。

 と言う事で、ダイラが絵柄をグルグルと回していくと……壁面には、徐々に一枚の絵が浮かび上がって来た。

 ホント、こういうゲームやってる気分になって来るな。

 現状敵が出て来ていないので、こんなに気楽で居られるのだろうが。

 もしかしてこの先は、パズルを解きながら防衛戦が発生したりするのだろうか?

 なんて事を思っている内にも、謎解きは終了。

 壁にはデカデカと……白い竜? みたいな絵が完成した。

 これと同時に、ゴゴゴッと音を立てて扉が開いて行く。


「はい、第二関門クリアだよー」


「さっすがぁ~。俺やったら、ずっと適当にグルグルしてる自信ある」


「俺もこの類は苦手だな。途中から嫌になって来てしまって……」


「扉を壊すのは……駄目よね、流石に。任せるわ、私はこの手の仕掛けは苦手だから」


 各々声を洩らしながら、テクテクと扉の向こうへと進んでいく訳だが。

 最後に踏み込もうとした俺の背後から。


「順調だな。君達にはやはり“あの文字”が読めるのか?」


「あぁ、初回の石碑の? まぁ、色々あってね」


 とかイカルドに対して軽口を返しておいたが。

 チラッと視線を向けると、今回のパズルにも何やら説明書きが書いてあった様で。

 やっべ……ゲームの謎解き感覚で、パズルだーやるかーで終わらせてしまった。

 こういう所も、もっと慎重にやらないと駄目だね。

 失敗したらトラップ、なんて事があったら洒落にならないし。

 改めて気を引き締めてから、仲間に続いて扉の奥へと進んでいくのであった。


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