13 国の実権を得る
魔王を倒して5年、やっと国民生活も軌道に乗った。全部マリエールのお陰と思われている。
13 国の実権を得る
実際、国が軌道に乗り出したのは、3年経ってからだ。商人はかなり死んだ。仲間が流通関係を担ったが、読み書き計算を出来る人材を育成し商人にするのに時間がかかった。貴族、役人、軍人は少ない。領を潰し国に役人、軍人を置いた。宰相として元ドエール伯爵が辣腕を振るった事が大きい。5年経って落ち着いた。
マリエールは国王に外交に出たいと告げた。国王は必死に止めた。国の最大戦力、国民の心の支柱、今出てかれては国が持たない。だから止める。
「この国には目や耳がおいてあるから大丈夫。もし直接伝えたいことがあるなら魔王城のロビーに言えばいい。余計な事かも知れないがロビーに手を出したら死を覚悟するべきだ。其れより大事な事は魔人の国に狙われている事だ。魔人の国には魔王がいて強大だ。あの国にまともに狙われたらこの国は滅亡だ。生き残るには、先手に出るしかない。何しろ相手は魔王だ。幼少期の魔王を討ち滅ぼすのは想定しても成人した魔王を討伐出来る勢力がいるのは想定外だ。魔人の国が放置しておく筈がないと思う。だからこそ行って来る。」
国王は其れ以上何も言えない。再び魔王討伐の旅に出るなら送り出すべきだ。マリエールが外でるなら極秘が良い。下手にばれても良い事はない。
マリエールは魔王城に帰ってた。魔王、10人魔人、30人の獣人達がいる。
「今から私、魔王、魔人、ロイドで魔人の国の魔王を襲う。敵は強大だ。敗ける場合もある。その場合この城が狙われる。みんなにアイテムボックス、転移、フライ、攻撃魔法と防御魔法、回復魔法を持たせる。ロビーが私を感知出来るので何かあれば判る筈だ。迷わず洞穴に避難する事。」
獣人達は重苦しい雰囲気の中でも、元気で帰って来て下さいね。勝利を祈ってます。と口々に言ってくれた。ロイドが活動したのを感じて。出発を告げる。
ロイドは魔人の国の王城を一人攻撃する任務だ。この5年間もっぱらこの王城の動きを監視していた。魔王討伐後最も警戒すべきはこの魔人の国てありこの国の魔王である。魔王や魔人が仕掛けるとすれば先手に出る必要がある。魔王単体でも脅威だ。魔人は一人一人が強い。それが国ごと攻めて来るなら対応が取れない。せめて魔王だけでも滅ぼす必要がある。透明化で王城奥深くまで潜入可能だ。壁抜けも出来る。聴力も視力も良い。唯一物理的には消しようがない。だから目や耳になる物体を上手く使う。5年経ってもばれなかったのはそのお陰だろう。魔王の部屋と魔王と魔人の打ち合わせの部屋に幾つか置いた。この任務を任された時から人間の国に対する不満は何度も聞いた。それはマリエールにも伝わっている。ただ人の国への攻撃までは至っていない。魔王を倒した人物がいる事が抑止力になっている様だ。人間の国への攻撃は何度か議題に上げられてきたが、その度に魔王が反対していた。自分の成長を待つがごとく。そして最近、自分も魔王として成長した様だ。と何かに付けて話す様になって来た。これは人間の国攻撃が話題になれば了承しそうだ。とマリエール様には伝えた。
ロイドは5年間魔人の王城にいた。魔王や魔人の動きを探っていた。魔王に動きがあった。