10 魔王城
獣人達に会った。ロビーというとても賢い子に会った。マリエールより年下でないかとても気になった。
10 魔王城
他の冒険者達は魔王城を中心として魔獣の討伐をしている。拠点作りのメンバーは魔王城や壁の改築をしている。魔獣討伐をしていると良く獣人を見つける。試しに冒険者が声を掛けた。
「獣人さん達、こんな所で危なくないかい。この辺りに村でもあるのかい。」
若い獣人が多く、さらに女性が多い。
「魔人達に攫わてお城で下働きやメイドとして使われていたけど、城が攻撃されたので逃げて来たのさ。」
彼らに現状を話し、良かったら城で働かないかと提案してみた。其の場で紹介状を書き。それを持って行けばマリエールという女性が会ってくれる筈だ。といって置いた。
3日経って、マリエールに来客があった。獣人達だ。殆ど若い女性だ。子供もいる。マリエールは客間に招いて話しを聞いた。
「兎に角逃げて樹の実を食べたり、魔獣を狩って飢えを凌ぎました。幸い洞穴を見つけそこで何とか暮らしました。その近くで冒険者の人と会って紹介状を貰いました。みんなで話し合いました。リーダーは若い女性は城に行くべきだと言いました。男や年長者は役に立つが、若い女性や子供は足手まといだと言いました。確かに言われた通りだと思います。何でもやります。此処において下さい。」
こうして獣人30人が仲間に入った。
ロイドによれば、壁の解体が終わり、部屋が倍以上に広がった事、魔王に攻撃が入り弱体化した事、最近は魔人にも攻撃している事が話された。攻撃隊とニコライを呼んで3日後の決行となった。
獣人達に能力は付与していないのでマリエールが敗けた時逃げられない可能性があるので、一旦洞穴に帰った方が良いのではないかと告げた。
「私達洞穴に帰っても足手まといになるだけです。誰かにすがって生きるだけですのでこのままおいて下さい。殺されても仕方ありません。」
兎獣人のロビーは自分の意見がはっきり言える聡明な少女だ。マリエールは人の年も聞かないし、自分の年も言わない。ロビーが自分より年下だったらショックだ。ただでさえ幼く見える容姿に劣等感を抱いてる上に魔力が大きいため容姿が変わり難いらしい。エルフのようなものか。年下でもしっかりした子がいるのは知っているけど現実に晒されたくない。
当日の体勢について打ち合わせせた。敗北の場合もあるため、冒険者は当日出来るだけ城で待機してもらう事にした。確実に仕留める必要がある。マリエールが出来なくとも仲間が仕留める可能性もあるのだ。可能性として8割以上の確率で勝てると思っている。不確定要素は魔人だ。どう関わってくるか、力はどれほどか判らない。魔王にしても魔人にしても会った事がないのだ。ニコライに不安な気持ちを告げる。
「始めは勝てる見込みもなかった。どうすれば勝てるか、必死に考え、実行して今があります。困難を乗り越えたのはあなたです。人々のためやらねばならないと決意したのはあなたです。万が一のための方策まで取りました。後はあなたが自分を信じる事だけです。」
そうか自分を信じればいいのか。
魔王との対決を前に不安になった。ニコライに自分を信じるだけと言われて気が晴れた。




