エピソード1
XXX年、とある一つの研究が成功したことをきっかけに、他の研究も次々と成功し、科学技術の年と呼ばれるほど科学技術が膨張した発展年。
そんな年を作り上げた一つの研究で開発されたものを「アビリティブルーミング」と言い、その薬はもともと人間にある新の能力を開花させることができるというものであり、薬の効果を聞きつけた様々な人が薬を欲しがり日本を起点に、世界中にその薬が行き渡った今では、ほとんどの人が能力を持っている。
そんなアビリティブルーミングは便利さ故、犯罪に使用されることが多くなり、アビリティブルーミングを禁止した国が多数出た中、日本はアビリティブルーミングを禁止しない変わりに「アイアンガード」というものが新たにでき、仕事内容は主に警察の補助をするという単純な仕事。
アイアンガードは強能力しかおらず、その中でも特に最強の能力者は四天王と呼ばれる頂点に君臨するという。
1.目覚めた場所
「陵稽!陵稽!」
陵稽は自分を呼ぶ声で意識を取り戻し、まぶたを開く。
「っ…ここは…」
「陵稽!起きたのね!」
「その声、藤浜か…」
目が久々に浴びる太陽で何も見えない中、声で判断するしか無く焦ったが、声に特徴がある藤浜はすぐに分かった。
「そうだよ…良かった…記憶は正常なんだね…」
「んん…あぁ…」
どんどん目が慣れてきて、人物がはっきり見えるようになってくる。
人物はいつも通りの藤浜で安心するが、場所はいつもの施設ではなく研究所っぽいところのベッドで自分は寝ていたことは安心できなかった。
「俺はなんでこんなところにいるんだ?何があったんだ?」
「陵稽…何があったか忘れちゃったの?」
「残念ながら…」
藤浜は下を向きながら自分に見えないように笑っていたが残念ながらその笑顔は陵稽からは見えるが、今はその笑顔より何があったかのほうが先だ。
「俺に何があったんだ?話してくれないか?」
「陵稽、一人でナンバー1と戦って、それで…」
声は笑っておらず、顔を上げるとすでに藤浜の笑顔は消え、真剣な顔になっていた。
そして自分自身どうしてナンバー1と戦ったのかも覚えていない…
「なんで自分は戦ったんだ?」
「それは…私の友達が、ナンバー1に拉致されて…それを聞いた陵稽は戦いにいったんだよ」
なんでだか、その言葉を聞きイマイチ実感がわかなかったのは気のせいだと思いたい。
しかし、友達が拉致されたということを言われても、本当に思い出せない。
「ごめん藤浜、友達のことやらなんやら、思い出せそうにないんだ…」
「そんな全然大丈夫だよ!覚えてなくて当然だ…なんでもない!」
「大丈夫ならいいんだけどな、」
今思ったが、ナンバー1というのは何だ?誰のことなんだ?四天王ってことはわかる、だけどモヤモヤがすごくある…
まるで記憶の一部を切り取られたみたいな…
「陵稽はこの後どうするの?」
止まった会話を続けようと藤浜は話題自体を変える。
「そうだな…よくわからないがその友達を助けるためにナンバー1を倒すしか無いだろ?」
「助けに行ってくれるの…?でも無理だよ…だって相手はアイアンガードの頂点だよ!?」
「確かに藤浜の言うことは正しいと思うだけど、藤浜は俺の能力を忘れたか?俺の能力はタレント・イズ・ジャスティスだぞ?過去の俺が考え無しに突っ込んだと思うか?」
「それは…」
自分の能力は拳で黙らせるタイプでは無く、頭脳で黙らせるタイプだから、一人で突っ込んだというのはよくわからないが、なにか戦略があったのだろう。
「じゃあ助けに行ってくれるの?」
藤浜の目はさっき赤くしたばっかなのに更に赤くなりたいのかまた涙ぐんでいた。
「あぁ、必ず、でもその前に戦略を練らせてくれ」
早速能力を使うため構えると、なにか言いたそうな藤浜が口を開く。
「陵稽…」
「ん?」
「ありがとう!」
藤浜のそんな言葉を聞きより能力の性能が上がった気がする。
「よし、行くぞ!」
陵稽が目を閉じ、開けると、目に特殊な紋章が現れるのと同時にすべての脳を使うことによって立つこともままならずその場で倒れ込む。
頭の中で何百万通りものナンバー1を倒すための戦略を立てる。
「ト、ウ…はm」
脳はすべて倒すための戦略を立てるために使っているため喋るのもやっとだった。
「どうしたの?陵稽?」
「ナンb…ヷn…ノ、ゥ゙りゅk」
藤浜に伝わってくれと陵稽は心の底から願っていると藤浜は笑い「ナンバー1の能力ね、コンデンスだよ触った物質をどの距離でも凝縮させちゃうすごい能力…おまけにフリースピード、2つの能力持ちなんてチートだよね…」
しっかり伝わってくれていたみたいだとどこか喜ぶ陵稽がいた。
陵稽の脳はコンデンスとフリースピードの2つ合わさった能力のやつに勝つ方法を分析すること、十分、分析が終わり能力が解除される。
「はぁ、はぁ、わかったぞ、勝てる方法が!!」
吐血をしながらもニヤリと笑い勝つことを確定付ける。
2.勝つために
変な研究所からいつもの施設へと帰り他の仲間と一緒に作戦会議をする。
「ねぇ、本当にやるの…?」
「俺の能力で解析した結果がこれだ」
「でも何も四天王全員倒さなくても…」
「で、私たちはなんで四天王を倒さなきゃ行けないの?」
髪をいじりながら興味無さそうに質問をしてくる。
「網並と…には話してもいいよな?藤浜?」
「私の名前も呼びなさいよ!ちゃんと叶郷紗羅っていう名前があるんだから!!」
正直言うと、名前も誰なのかも今知った。
「そんなことより、話してもいいか?」
叶郷という女の話をそらし、強引に話を進める。
「うん、いいよ」
叶郷と言う女と網並は同じチームメイトでありそういうのを話し合う仲なので藤浜はすんなりとOKを出す。
友達がナンバー1に攫われたこと、四天王を倒すことでナンバーワンに精神的ダメージと、自分たちを強化出来るということを伝えるとどこに刺さったのかわかんないがボロボロと涙を流す叶郷とそれを見て引いている網並、泣くのも意味わかんないけど無表情の網並もちょっとおかしいなと思いながら話を続ける。
「で、私達は何をすればいいの?」
「涙ぐんでる場合じゃないわ!早く助けなくちゃ!!ナンバー1絶対倒してやるんだから!!」
「まぁまぁ落ち着け、まずはナンバー4を討伐するぞ」
四天王ナンバー4咲秀心桶性別…女、能力…リダクション、この能力で4つの能力が使うことができる。削減、縮小、縮図そして還元
削減、触ったものを半径30m以内であれば自由にカットできる。縮小、触った物を自分から50m以内であれば自由に小さくできる。縮図、なにかに出したい物を描くことでその物自体の大きさより一回り小さくなった物を使える。還元、物を還元し原材料に変えられる。
どれも厄介だがその中でも一番厄介そうなのは縮図と削減この2つが特に厄介だ。
ただし欠点がある
「それはナンバー4が馬鹿なことだ」
「ん?待て、欠点がそれなのか?もっとこう苦手なものとかじゃないのか?」
さすがの網並でも何言ってるのかがわからず動揺する。
それもそのはず、唯一の欠点が馬鹿ってことで成り立つなんておかしいから。
「まぁ驚くのも無理はない、でもこいつは戦略次第では、簡単に倒せちゃう、四天王討伐スタートにしては弱くてナンバー3には強すぎて驚かされるかもな…」
「それならなんで四天王の一人なんだよ、そんな奴すぐに座を取られちゃうだろ」
確かに網並の言うことは正しい、理由も知らないやつはみんな多分そういう、だが知れば四天王の座に居るのに納得が行くが、これから先は一般には公開されて無い範囲。
「網並、フェイス・オペレーションっていう能力について知っているか?」
「フェイス・オペレーション、知ってるけど、あれ雑魚能力として有名なやつだろ?」
「そう、ただ単に指先が指した方向へ顔を強制的に向かせるだけの能力」
「じゃあ何でその能力の名前が出てくるんだよ?」
どうしてそんな雑魚能力の名前が出たのかがわからない網並がどんどん頭の中が混乱してきて少し強めの口調で質問してくる。
「それはだな、アイアンガードによって遺伝子組換えが繰り返されてできた究極のフェイス・オペレーション《改》を使う人間がいるんだよ」
「改…?どんな事ができる様になったんだ?」
「フェイス・オペレーションはな、頭を起点に体を動かせるようになったんだ…」
「頭を、起点に…?って、あんまり強くないじゃん」
網並はこの能力の強さにわかっていない、いや自分の言い方が悪かったのかも知れないと自分を卑下しながら言葉を付け足す。
「引く力約100tだ…」
「100…!?」
ようやく意味がわかってくれたのか、網並から出た言葉にはトンまで入っていなかった。
「顔を起点に100tの力で投げ飛ばされるってことでしょ?そんなの常人が耐えられるわけ無いじゃない…」
「確かに常人は無理だろうな、常人は、の話だがな?」
100tの力で地面に叩きつけられたら下手したらと言うまでもなく間違いなく死ぬだろう、しかも遠距離攻撃というかなり厄介、目と目をあわせた瞬間、その時にはもうこの世にはいないだろう
「だがそんな能力に勝てる方法がある!」
「100tに勝てる能力、うちらの中にいるとでも?」
「あぁ!しかも一瞬だ」
まるで勝ちを確定しているように陵稽は、仲間の一人に指を指す。
「お前の能力があれば勝てる!」
そう言い切り、今回の作戦内容をみなに共有すると、網並が怪訝な顔をしていた。
「どうした?網並?すごく嫌そうじゃないか、どこか不満なところでもあるのか?」
「不満というか、なんというか、すごい作戦がセコくないか?」
「勝てれば良いんだ、勝てれば」
網並はとても不安そうに陵稽を見つめていた。
というより、この叶郷とか言う女、マジ何者なんだ?仲間にいたっけ?と思うのも数秒、ナンバー4との戦闘で勝つことを願う時間のほうが断然多かった