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サクラ三姉妹の楽しい学校  作者: 千間 美胤
出会いと旅立ち編
32/64

29 朝のコールと追加発注




ハヤテくんとのやり取りがあって、2日後の朝だった。




昨日はこの村に来て初めての村探索!という事で、3人で大いに遊び回った。




村の畑を見て回って〜



「きゃー!お野菜新鮮!私もこんな野菜が作りたいわ〜〜」


「嬉しい事言ってくれるじゃないか!どうだい?食べてみるかい?」



と畑で作業をしていたご夫婦と話した。



「いいんですか?ーーーーーんん!あっま〜い!最高です!」


「だろう?いくつか包んであげようねぇ!」



っというやり取りがあって、袋いっぱいに野菜を分けてくれた。

もちろん、タダでというワケにはいかないので、三葉(みつは)に〝水〟を出してもらい、畑中に水撒きをした。


ご夫婦は大変喜んでくれた。最近は水汲みすら大変だったというので、いつもは半日かけて水やりをするそうだ。

最近は雨も降っていなかったらしいので、尚更喜ばれた。





それから田んぼを見て〜同じようなやり取りを繰り返し〜、





お店が並んでいる通りを見て〜、美味しそうなものを食べて〜、買って〜、またまた遊んで〜〜……






そう、何が言いたいのかと言うと、ついつい〝身分証の発行〟なんてすっかり忘れてしまうほど、私たちは遊びまわっていました★





そうして今に至る。

朝からピロンピロンなんかうるさい……





「ちょっと〜〜誰かのスマホ鳴ってんだけどぉ?」


ニ葉(つぐは)が目をこすりながら、ベッドから起き上がる。



「誰かのって、私のじゃないわよー?」


私も目は覚めていたので、すぐにそう返す。




「じゃぁ、誰の?」


「誰のって……」




三葉(みつは)のスマホのコールが、ベッドの上で忙しそうに鳴っていた。




「………ん?僕の?………ん、ハヤテじゃん………んん………おはようございます?母さん」




どうやら電話だったらしい。




「……俺はいつから三葉(みつは)の母さんになったの?」


「ん〜?3日くらい前?」


「……俺たち、まだ出会ってすらないんだけど」




言われてみればそうだ。




「こんな朝早くからどったの?服の方は昨日の夜、〝添付〟して送ったと思うんだけど」



「……あぁ、ワニクロのエアプリズムのTシャツ、……控えめに言って最高でした。ありがとう。……で、本題はそのワニクロの件なんだけどさ、薄らト…………いや、ローとミストも欲しいってゴネててさ……悪いんだけど追加で発注してもいい?」



おお、それは嬉しい反応。

一回着ると、癖になるよね〜〜。特に真夏なんか手放せなくなるもん。気持ちはよく分かるよ〜〜


で、どういうワケかお二人も欲しいと。



「ローさんとミストさんもほしいの?別にいいけど?」



どうせマジックバックに在庫ちょっとあるし?何なら色んな色の服もたくさん持っている。Tシャツもだし下着や靴下、ズボンにスカートまで。

ハヤテに頼まれていた帽子の試作で、色々作っていた物もあるし?こうやって在庫品を腐らせておくくらいなら、使ってもらった方が有り難い。



「……悪いね。お詫びにまたなんか送っておくから。お姉さん方のスマホも準備出来たし……ん?……は?何、ロー……ミストも……は?代われって?使い方分かんないでしょ、機械オンチのくせに…………あー、はいはい……」



何やら電話口で揉めてるような声が聞こえてきた。




「…… 三葉(みつは)、ローとミストが代われってうるさいんだけど、代わってもいい?」



「ふぁぁ……あ、ごめん。寝起きでさ……うん、いいよ?」




それからガサゴソと音が聞こえて、




「……あー、もしもし?ローじゃ。使い方合っとるかの?……2日振りかのぉ?えーっと…… 三葉(みつは)殿」



「〝殿〟?」




なんか、態度がよそよそしいような……仰々しいような……気が。気のせいだろうか




「あ〜…えっとぉ?話すと長〜〜くなってしまうんじゃが、要約するとワシらハヤテに呆れられてしまったようで……つまり、助けてほしいんじゃーーー!!!」




ん、どゆ事?




「つまりのぉ?ーーかくかくしかじか…………………というワケなんじゃ。いや、ほんと、ワシらが100%悪いのじゃが……」




「………それ、僕でもキレると思います………ちゃんと謝ったんですか?」




謝っていなかったら論外だな。酔っ払って絡んだ挙句、勝手に関係性を決め付けちゃうなんてさ。




ってか、いつの間にか僕まで巻き込まれてたんかい……。

僕、3次元の男は愛せないんで……何て言っても通じないだろうから、胸の内にしまっておいたが。




「謝ったのじゃが……何なら、東方より伝わりし秘伝の土下座までしたのじゃーーー!!でも、でもーーーハヤテが……ハヤテが冷たいのじゃーーー何とかしてくれたもーーー」




この世界にも土下座で謝る文化があったんだ……




でも、えぇ…自業自得なんじゃ…。

酒癖悪い人ってどこの世界でも世界共通なのかな……ま、僕も良いとは言えないらしいけど。


すると今度はミストさんに電話を代わられた。




「……ミストよ。事情はローが話した通りなの……一生のお願い……アタシ、ハヤテに嫌われちゃったら……もう、死ぬしかないわ」




ミストさんもローさんと同じで、相当参ってそうな声だった。

それに〝死ぬ〟とは穏やかな話ではなくなってきた。






それから数分、お悩み相談をする事になった僕。


それで分かった事は、2人の状況は思った以上に深刻だったという事である。







結局、2人に泣きつかれて、また6人で今日の午後に会う事になった。



ローさんとミストさんがお詫びにお昼を奢ってくれるという話で、あちらで全て予約をしてくれたらしい。

待ち合わせ場所は2日前に分かれたあの村の中央付近になった。




…………思っていたより早い再会になりそうだ。




それから超急いで追加分のTシャツやら何やらを作り、午前中はあっという間に過ぎていった。










待ち合わせ場所に着くと、〝グランディ〟の3人は既についていてハヤテが真ん中に立っていて、それを遠巻きにローさんとミストさんがどうしようどうしようと、イジケテいるという何とも奇妙な光景があった。




え、コレを取り持ってほしいって事?



関わりたくねぇーーーーー



そう心がシンクロした、三姉妹であった。







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