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サクラ三姉妹の楽しい学校  作者: 千間 美胤
出会いと旅立ち編
31/64

28 酒癖が悪い薄らトンカチども




昔の事を思い出していると、間もなくローとミストが部屋に入ってきた。



「あら?ハヤテ、何かいい事でもあった?」



開口一番にミストがそう言ってきた。



「………何で?」



って、近くに来たらミスト……酒クセェ……飲んできたのか?



「おや?そうじゃのぉ〜?ハヤテがちょ〜〜っと笑みを浮かべとるぞい?明日は雨でも降るんかの?」



「大雨かもしれないわよ〜〜」



コイツら……2人して酒クセェ……


もう酒で酔い潰れてんのか?


そうじゃなくとも、いつも言わせておけば……






「………ふんっ。そんな事言うなら、2人とはしばらく口聞かないから」



2人の態度に、久々にカチーーンときた。

歳下だからって、いつまで経っても弄りやがって……




「何不貞腐れてんのよ?あんた、自分から積極的にグイグイいくタイプじゃないし、アタシらとも喋んなくなったら、いつか声が出なくなっちゃうわよ〜???」


「そうじゃぞ〜じぃじとお話しするのじゃ〜〜〜」




ローがそう言って、俺の肩を掴んで絡んできた。酒臭いし、一体何杯飲んできたんだお前ら。

それに、久々にみる酒癖の悪さ!!!!




鼻を摘み、ローと離れる。





にしても、絶妙にイライラさせるな。今日のコイツら……


いくら酒で酔っているとはいえ、俺がコミュ症で友だちもいない可哀想な奴だって言いたいのか?……まぁ、確かに?人と話すのは得意ではないし?何なら他人に対しては無関心を決め込む事が多いけど?




「……2人と話せなくても、〝ヲタ友〟が出来たから問題ないよ」





「「……………ヲタ、友っ!???」」



「………って何じゃ?」



さぁ?と2人して、頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。





「………とも?は、友だちの友って事かしら………?………ってええええええええええええ!??ハヤテに友だち??」


「何じゃと!?はっ!!まさか先程会ったあの子らか!??」





意味までは通じなくても、ニュアンスで無理矢理理解したよコイツら。

勘がいいというか何というか、何というやら。





「………そうだよ。三葉(みつは)とスマホで連絡取れるようになったから。別にローとミストと話せなくても平気だし………」





「……………ハヤテや?んー?ワシ、年寄りじゃから、もう一度言ってくれんかの?耳が遠くなったようなんじゃ………」


「そ、そうよ?〝誰〟と〝何〟で連絡が取れるって??アタシも耳鳴りがして、良く聞き取れなかったわっっ」




面倒クセェ………。俺に友だちが出来たのが、そんなに信じられないって言うのかよ。






「…………だから、〝三葉(みつは)〟とーーー」

            「ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっ!???ウソよーーーー」





言い終わる前に、ミストの奇声で声がかき消された。夜中に近所迷惑だし、鼓膜破れるからマジやめてほしいんだけど……。

いや、ウソって……マジなんだけど。




「………ミスト、うるさい。いい加減にしてよね」



「………ハヤテに、恋人が出来てしもぅた………え、ワシら捨てられるのかぇ?老後の面倒はハヤテに見てもらう予定だったんじゃが………え?ワシ、今、夢でも見ているんかの?」



って、とんでも爆弾発言しやがったコイツ。



ってメソメソ泣きはじめてるし!?

今度は泣き上戸かよ。



2人して、勝手に変な想像しないでほしいんだけど。何をどう飛躍したらそんな思考回路に至るワケ?

思考も回っていないのか?



「アタシ、母親として素直に喜んであげられないっっっ………」



ミストまで床に突っ伏して、泣きはじめた。



「………いや、でもミスト母親じゃないし。………しかも男だろ」



「ひどいっ!体は男でも中身は乙女なのよっっっ!!」



「いや、どうでもいいんだけど?それより…… 〝三葉(みつは)〟はーーー」

                  「うんぎゃあああああああああーーーーーーーーーーーっ」



「アタシのこと、そんな事よりってーーー!??もう、アタシなんてどうでもいいのねっっ!!浮気者っっっ!!」



「そうじゃ!年寄りはもっと大切にせぇ!!」


「そうよ!そうよ!」


「甲斐性無しっ!!」


「この野蛮人っ!!」







「…………ほぅ……?」






もう、2人が何を言いたいのか分からない。

呂律も回っていないし、興奮して顔も真っ赤だし……足元ふらふらで目の焦点合ってないし。


これだけ言われて、キレるなって方が、難しいよね?


俺、そこまで人間出来ていないからさ………コレは当たり前の反応だから






それから俺は、自分でも驚くくらいの低い声が出た。








「おい……テメェら、いい加減にしろよ?」








それから、部屋の温度が一気にマイナスに冷え込んだ。

いや、比喩とかではなく、熱せられていたその場の空気が、文字通りにカチーーンと、固まった。




「「………ハ、ハヤテくんっ?」」




「………ようやく酔いが覚めたか。この、薄らトンカチどもが」





言うまでもなく、俺はその日から丸一日、ローとミストとは全く口を聞かなかった。







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