LEGEND6 初めての……
ジェグダ・マッベンオーテ。
彼は、シーフを得意とするマジカル窃盗師。物盗りには絶対の自信はあった。
このあいだ、凄い掘り出し物だと言うから手にしたのは指鐶だった。それを着けたら瞬間移動ができるようになった。テレポートを得意とする指鐶らしい。
不必要な時は外して管理すればいい。
収納箱を作って収納、その箱は宝袋にちゃんと管理されてあった。
その彼が、指鐶に特徴的な点滅反応を示したので、装着したところ、シェルター手前の充夏たちの直前に立ちはだかったという。
「ほほう、かのじょー、その左手で掴んでるソイツ、僕の指鐶とおんなじだね。ソイツ僕に頂戴な」
「イヤよ。コレは渡しません。第一、コレは宝具で、一人に一つしか所有が許されないのよ」
「僕はコレクターなんだよ。頼むよ、お姉さんさ〜」
「おい、そこの往生際の悪い盗人猛々しいヤツ、黙れ!!」
その御身を見ただけでジェグダは頭を垂れた。彼がこのミラーレットの王子だと存じ上げていれば、跪くのが当然だからだ。何も行動しない充夏に向かって命令しだした。
「これこれ、そこのお姉さんもコウベを下げなっ、無礼だろうに」
リュートはそのジェグダという男に忠告した。
「あー、彼女ね……いいんだよ。この人は特別だからさ」
「で……殿下、何を仰いますか? 一般人はいかなる場合も高貴な者の手前、敬うべきであります」
「彼女はお伽話に出てくるアウトランドの住人そのものなんだ。特別って意味、分かった?」
こんな敬意をはらって接してる者の相手でも、リュートはぞんざいに応対したのだった。
「お姉さん……アウトランドの住人? つまり、次元を超えてここへ訪れたっていう?」
「まぁいろいろ事情あってネ〜。お兄さん、そういうコトなのよね」
「アウトランドって言うからお宝たくさんありそうだな〜。後でいいからじっくりその世界のコト教えてほしい。是非とも〜☆」