お題『幽霊』
『幽霊の見える娘』
幽霊が見える、と娘が言い出した。
「ははっ、幽霊なんていないんだよ」と俺が答えると、いるもん、と泣き出した。
困った子だ。
そんな俺たちの姿を見て、「最近、独り言多いけど」と妻が言った。
「娘だよ」
「……幽霊なんていないんだよ」と妻が言う。悲し気に。
知ってるよ。だから、いるんじゃないか。
『音楽室から』
ピアノの音が聞こえてきた。誰もいるはずのない音楽室から。
入ると、弾いていた少女は僕に気付き、その指をとめた。
僕が通っていた頃よりもずっと昔、この学校で死んだ少女がいた、という話を思い出す。
幽霊だ、と彼女は自覚しているのだろうか。
僕は伝える。
「ここは廃校だよ。僕たちは死んでるんだ」
『降霊術と妻』
降霊術を通して、死者と交流できると有名な女性がいる。
私は彼女に会いに行くことにした。
「遺書を残して消えた妻と話したい」
そして降霊術は行われた。
結論から言えば、その力は偽物だった。指摘はしない。彼女が生きている、と知れただけで満足だ。目の前のかつての妻と、お互いに他人の振りをして。
『霊と嘘』
大学に入学して、はじめてひとり暮らしをした部屋に、女性の霊がいた。
彼女と出会って僕は、霊が視えると知った。
彼女とは大学を卒業まで一緒に暮らし、引っ越しする時に別れた。
「あなたに付いていきたいけど」地縛霊だ、という僕の言葉を信じているのだ。
言えない。浮気のために使った嘘だ、なんて。




