お題『結婚』
『結婚報告にて』
結婚報告のため、実家に彼氏を連れて行った。
父が険しい顔をしている。黙って彼の話に耳を傾けていた父が、ようやく口を開く。
「きみは好青年だが、浮気はいかんと思う」
浮気、ってどういうこと。父が続ける。
「娘はむかし、『パパと結婚する』って私と約束したんだ」
母が父の頭にお盆を振り下ろした。
『冗談みたいな恋』
「離婚を前提に結婚してください」と言ったのは、今の夫だ。
小説家の夫は、「経験こそすべて」が口癖で、面白がって私たちは冗談みたいな結婚生活をはじめた。
あれから時間が経ち、髪が白くなった夫が、「結局、一緒のままだったね」と笑う。
「冗談みたいな恋が本気になるのも小説みたいでいいでしょ」
『娘が欲しかったのは』
娘とカフェに行った。お店の真ん中のピアノで、ピアニストさんが美しい音色を奏でていた。
「ねぇパパ」と娘がピアノを見て、指をくわえている。
「パパの安い給料じゃ買えないよ」
「ううん、違う」娘がピアノに近付く。
「パパと結婚してください。お金はないけど、優しいです」
これが再婚のきっかけだ。
『鬼の嫁』
俺は桃太郎。
鬼ヶ島に行くと、美しい鬼の女性がいて、一目惚れした俺は鬼たちと和平を結んで、その鬼の女性と結婚した。
村に戻って、一緒に暮らしはじめた。
最近、妻は村の連中から、『鬼嫁』と呼ばれているそうだ。
鬼に対する偏見があるのだろう。
「気にするなよ」
「嫁、って言い方が気に食わない!」