お題『宇宙』
『彼女の故郷』
突然やって来た彼女は、みんなと、どこか違っている。だから周りは彼女のことを、宇宙人と馬鹿にした。
「だって宇宙人だし」と彼女は気にした様子もない。
彼女と仲良くなった私は、数年経ったのち、彼女と結婚した。
「新婚旅行はどこがいい」
「宇宙旅行。ここによく似た、私の故郷」
「どこ?」
「地球」
『蠱毒』
気が付くと私は虫になって、かごの中にいた。
周りには私と同じらしき元人間の虫たちがいて、かごの上から私たちから見たら巨大な人間が、「ははは。いまからあなたたちには殺し合ってもらいます」と言った。
互いを喰い合い、最後まで生き残った私は神となり、地球をのみ込み、宇宙の果てへと旅立った。
『爆弾犯の正体』
爆弾が仕掛けられた。犯人は不明で、『爆発した瞬間、地球が滅ぶ』という内容だ。
愉快犯かと思われたが、どうやら本物のようだ。
各国の首脳が集まる。
「だけど、こんなことをすれば犯人も」
「地球を道連れにして、自分も死ぬ気かもしれないな」
「違います。犯人は高みの見物をしているのです。火星で」
『遠くに見えるは』
「実は昔」
「うん?」
「好きな子ができたら、『月が綺麗ですね』って告白するのが夢だったんだ」
「ロマンチストだね」
「でも、ここで言うと、ちょっと意味が違ってくるね」
「じゃあ、自分の言葉で言いなさい。あなたは別に、夏目漱石じゃないんだから」
「そうだね」
「うん」
「地球が青くて綺麗ですね」