お題『悪魔』
『千夜一夜、ふたたび』
明日、世界は終わる。
悪魔を名乗る男が言った。彼の人知を超えた力は本物だ。はったりではない。
ふいに新しいアイディアが浮かび、気付けば僕は完結する時間もないのに、小説を書きはじめていた。
「この続きは?」と読んだ悪魔が、終末を一日延ばしてくれた。
人類の命運を賭けた僕の連載がはじまった。
『見習い悪魔への願い』
見習い悪魔が俺の前に現れて、「お前の嫌いな奴に、1日へこむ程度の嫌なことをしてやろう」と言った。
俺は昔の創作仲間の名を挙げる。
もやっとする感想を貰うとかかな、くらいに俺は考えていたのだ。
数時間後、悪魔は戻ってきて、「完結間近の30万字の長編をバックアップごと消してきた」と言った。
『悪魔と音楽の契約』
私に、ピアニストとしての才能がないことなどすでに気付いていた。
それでも努力で乗り越えられる壁だと信じ続けていたが、もう限界だった。
私のもとに悪魔が現れ、言った。
「一番大切なものと引き換えに、音楽の才能をやる」ふたつ返事だった。
私はピアノの才能を得た。指がないので、もう弾けないが。
『師匠と小悪魔』
「弟子にして」と女が私の前に現れた。
いきなりなんだ、と思っていると、女が泣き出した。
「振られちゃって。好きな女ができた、って」
「それがなんで弟子に」
「彼の好きな子、小悪魔ギャルなの」
「確かに俺は悪魔だが、弟子になっても小悪魔にはなれんぞ」
「師匠のいじわる!」
「それ小悪魔っぽいぞ」




