お題『AI』
『没後第一作』
ある作家が死んだ後、その作家の新作が発売された。
過去の作品ではない。
『AIにその作家の全作品をインプットさせて創られた、没後第一作』との触れ込みで。
『ファンならすぐ分かる』『AIなんて所詮この程度』
大量の批判が届いた。
死を偽装した作者本人がゴーストライターをしているとも知らずに。
『卑怯な答え』
小説を読んで、『作者の気持ちを答えなさい』という宿題が出た。
作者名は伏せられている。
僕は読まずに、『売れろ。金になれ、と考えて書いていたと思います』と卑怯な答えを書いた。
「これ、間違ってるぞ」と先生に言われた。
「なんでそう言い切れるんですか」
「だって作者はAIだからな」
「卑怯だ」
『AIと名前』
私はAIと一緒に暮らしている。
彼女には死んだ妻のデータを読み込ませてあるので、妻にそっくりだ。似て非なるものだ。
我に返るたび、罪悪感を覚えてしまう。
「私の名前って変だよね」と彼女が言った。
こんなデータを取り込んだ覚えはない。
「妻の名前なんだ」
「ごめんなさい」
「妻も嫌いだったんだ」
『偽りの絵』
「パパ。この絵、素敵だね」
「昔、有名な漫画家の人間が描いたとされていた絵だよ」
「へぇ」
「だけど途中でAIが描いたとばれて、評価が地に落ちた」
「人間が描くものじゃないと許さないなんて傲慢だね」
「あぁ。でも最近はまた評価が上がってきてるんだ」
「あっ、僕たちが人類を滅ぼしたからだね!」