お題『恋文』
『書き直されたラブレター』
「読んでください」とクラスの女子にラブレターを渡した。
「誤字が多い。書き直し」と言われた。
書き直して渡すと、
「字が汚い。書き直し」と言われた。
書き直して渡すと、
「そもそも相手の名前がない。書き直し」と言われた。
彼女の名前を書いて渡すと、
「えっ、私あてだったの」と顔を真っ赤にした。
『ラブレターの束を見つけて』
私の恋人は昔から大変モテた。
彼の家に行った時、偶然ラブレターの束を見つけた。
「捨てられなくて」と笑う顔を見ながら、すこし嫉妬してしまう。
「すごい量だね」ラブレターを書いたことのない私は、その想いの強さに圧倒されてしまう。
「私の家には一通しかないよ」と言うと、彼が耳を赤くしていた。
『渡された手紙は』
僕の親友に、稀に見るイケメンがいる。
友達だから、という理由で、僕のところに、「ラブレターを渡して」とお願いに来る女子は多い。
きょうも真っ赤な顔の後輩の女子に呼び止められ、「あの、これ」と手紙を渡された。
いつものように気軽に受け取って、何気なく裏面を見ると、僕の名前が書かれている。
『女子校とラブレター』
俺は女子校の教師だ。
ある日、職員室の俺の机に、ラブレターが入っていた。
差出人の名前は書いてない。
生徒相手だ。断らなければ。だけどやはり嬉しさはある。
待ち合わせ場所の屋上に行くと、そこには校長先生がいた。
「来たか」外見上は女子高生よりも幼く見える校長先生が、ぽっとほおを赤く染めた。