お題『姫』
『誘惑』
「姫」
「魔王、私を監禁してどうするつもり」
「ここにボタンがある」
「えっ」
「人間の女だけが押せるボタンだ。押すたびに、私が強くなる」
「そんなもの、私が押すわけ」
「1回押すたび、姫の体重が1キロ痩せ」
「あなたがどんなに強くなろうと、勇者様が倒してくれます。あと、ポテチが食べたいです」
『沈黙の娘』
「勇者よ」
「はっ、王様」
「娘がしゃべれなくなってしまった」
「なんと」
「私が何度、話しかけても何も返ってこない。これは魔王の呪いだと思う」
「呪い、ですか……」
「絶対に私よりも先にお風呂に入るようになったし、洗濯物は私の服と別にしているみたいだし」
「王様、それは反抗期というやつです」
『暴動』
「姫様。民衆が飢えに苦しんでおります。食べるパンがないと」
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」
「そんなことを言っては暴動が起きますぞ」
「じゃあ優しい私が異国のお菓子を取り寄せて民衆に配りましょう」
「姫」
「『きのこの山』と『たけのこの里』を同じ数だけ」
「暴動が起きますぞ」
『最大の敵』
「勇者様。魔王を倒してくださり、ありがとうございます」
「姫。ありがたき、お言葉」
「ただ勇者様、あなたはこれからもうひとり、最大の敵と戦わねばいけません」
「最大の敵、ですか?」
「お父様です」
「なぜ、国王と?」
「だって、ちゃんと言わないと」
「あの、姫。なんでお腹を撫でているのですか」