僕たちの世界の日常
「ハルト!
おはよう。今日もギリギリセーフだな。」
教室に入った途端に大きな声が聞こえて来る。
教室中に響く声なのに、振り向くのは、5.6人だけ。
新しいクラスになって3ヶ月近くが過ぎており、皆んなはもう、タイキの声に慣れていた。
「おはよう。タイキ。
こんな天気でも髪、決まってるな。」
これもいつものやりとりだ。
こいつは、いつもツンツンヘアーで、髪が乱れてるところを見たことがない。
僕が教室に入った後、ちょうどチャイムがなって先生が入ってきた。
ガラガラガラ
「おはよう。
今日も一日、頑張っていこうな〜」
爽やかに入ってきたのは、担任の田辺先生だ。
僕の通っている鶴舞高校は、公立の進学校だ。
朝のホームルームの前に大学進学組は、朝自習という名の勉強時間が強制的にある。
席について、物理の教科書を広げていると後ろのドアから音が聞こえた。
ガラガラガラ
「田辺先生、すみません!
雨が降っていて、遅くなりました!」
びしょ濡れで、入ってきたと同時に理由を伝えた。
「田中ぁ。
お前は、雨が降って無くても、遅れて来るだろう。
いいから保健室に行ってタオルを借りてこい。」
アハハハ、ビチョビチョダ笑
キョウハオシカッタナ
毎朝の恒例になっているやりとりにクラスが笑い声にあふれる。