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#04 女の子になったからには女の子の服が必要らしい。

「ナツキ、服を買いに行きましょう」

「え」


 少し遅めの朝ごはんを食べ終わり、僕がお皿を洗っているとお母さんがいきなりそんなことを言い出した。

びっくりしてお皿落としちゃいそうだったじゃん……。


「なんで?って顔してるけど、……あなたずっとその服で過ごすつもりなの……?」

「あっ」


 言われてみればそうだ。今僕が着ているのはお姉ちゃんのお下がりの服だけど、それもそう何着とある訳じゃないだろうし。


 そんなことを思っていると、お姉ちゃんが妖しい目をしながら僕の背後に来る。


「それに……ほらっ!」


 そういうとお姉ちゃんはいきなり僕のおっp……胸を触ってきた。ちょっ……なに揉んでんの!?

あ、あっ……そこはダメだからっ!//







 それから数十秒後、息も絶え絶えな僕に対して、お姉ちゃんはひと仕事終えたと言わんばかりの清々しい顔をしていた。


「うーん、Bかなぁ。いずれにせよブラは必要だねー。測ってみる?」

「あき姉、なつ姉のどんな感じだった!?」

「めっちゃよかっt……じゃなくて、まだハリがあったから成長中って感じじゃないかな?もうちょい大きくなると思うぜ?ナツキ良かったじゃん笑」

「なつ姉これからも成長するって!よかったね!」


 そう言ってキラキラとした無邪気な笑顔をこちらに向けてくる冬華。うぅ……なんか恥ずかしい……。


 ちなみにお姉ちゃんは邪悪な笑みを浮かべながら採寸用のメジャーを探しに行った。あの笑みは1回ぐらい滅ぼしてもいい気がする。


 そんなことを思いながら、ようやくお皿を食器棚に片付け終わると、それを見計らったようにお母さんが近づいてきた。


 ……お母さん?ちょっと近くない?

 えっちょっスカートめくらないで!?


「そ、れ、に!あなたこれは流石にないわよ」


 そう言ってお母さんが指さしたのは、僕の履いているパンツ。黒色のトランクス。


 僕は昨日の夜まで男だったんだし、当然女の子用のパンツなど持ってるわけないんだから今履いているのも当然男物なわけで。


 お母さんが言いたいことはわかる。

 たしかに今の僕は女の子だ。女の子が女の子のパンツを履いているのはなんら不思議ではない。


 それに美少女のスカートからチラ見えするパンツが男物の黒いトランクスだったら幻滅するだろう。

 ……いやそもそも見せないけどっ!


 それでもなんで僕が渋っているのかと言えば、

 単純に恥ずかしいんだよ。


 だって僕は今まで男の子として過ごしてきた訳で、TSしても現に記憶や性格は引き継がれていることを考えるに、きっと僕の中の男と女が戦っているのだろう。たぶん。


 それに、女の子のパンツってあれだよ?

 すっごく薄いんだよ?


 僕の家には女性が3人いるから、洗濯物たたみの当番の時には当然パンツを見る機会はあった。

 別にその時はなんとも思わなかったけど、今になって考えてみればあんなに薄くて軽い布切れ1枚で大丈夫なの……?と思ってしまう。


「……」


 僕は無言で自分の股の部分を見る。そこにもちろんでっぱりはない。きっと間に何も無いから大きさは最小限でいいのだろう。


 何も無いで言えば、僕はこっちの方がスッキリしていていいと思う。


 ただどうもそう上手くは出来てないらしく、下はそうでも上はそうじゃないみたい。


 僕は視線だけを下におろす。

 そこには2つの丘がそびえていた。


 そこまでおおきい訳じゃないんだけど、今みたいに服を着ててもおっぱいがあることがわかるぐらいにはある。


 正直言うと、ちょっと邪魔に感じることもある。

 それに今はブラジャーをしてないからか、先端に服の布が擦れるだけで痛いのだ。

 間違えて手を当ててしまった時にはもう目も当てられない。尋常じゃないぐらいに痛い。


 やっぱりそう考えると、ブラジャーは必須なのだろう。むしろなんなら今すぐ欲しい。胸が痛い。


「あったよー!」


 そう言って採寸用のメジャーを持ちながら僕の方ににじり寄ってくるお姉ちゃん。


 ちなみにさっきまで向こうのソファでテレビを見ていたお父さんは

「あー仕事の段取りしなきゃなーしばらく自分の部屋に篭ってるかもなー」

なんて棒読みで言いながら2階の自分の部屋へと引っ込んで行った。


 つまりこの場には今、女性しかいない訳で。


「ナツキ、サイズ測るから上全部脱いで?」

「はい……」


 ほらやっぱりこういうことになるんじゃん!


僕は半ば強制的に着ていた服を脱がされる。

……今更だけどこれリビングでやることじゃなくない?


 そう思っている間にも服を脱ぎ終わり、そのへんに軽く畳んでおいておく。


 改めてお姉ちゃん達の方を向き直ると、お姉ちゃん達は息を飲んでいた。


「ナツキ、あんた肌綺麗ね」

「スタイルめっちゃいいわ……ナツキほんとに男だった?実はこっちがホンモノだったりしない?」

「ぼ、僕は男だよっ!たぶん……。」

「肌白いしめっちゃ柔らかい……」

「ちょっ冬華、触らないでぇ」


 茶番はそこそこにして、早速お姉ちゃんにメジャーで測ってもらう。


 トップを測るときにメジャーが胸のさきっぽに当たってちょっとくすぐったいようなざわざわするような変な気分になりながらも、無事計測が終わった。


「アンダー64、トップが76だからやっぱりBね。

それにしてもあんた細すぎない??」

「よし、そうと決まればなつ姉の買い物行こう!」

「車、エンジンかけて待ってるわね?秋奈、戸締りよろしく。ナツキは服をちゃんと着てから来なさい?」

「あいあいさー」

「お姉ちゃん……ちょっと先のとこがが擦れて痛いんだけど……」

「あーそうだよね……。うーん、うちにあるやつだとナツキには大きいか小さいかなんだよね……」


 ちなみにお姉ちゃんとお母さんは結構大きい方で、冬華はまだ成長中し始めなのかつるぺったんだ。


「とりあえず私のつけとく?E75だけど」

「遠慮しとく。虚しくなるだけ」

「まーそーだよね。とりあえず、絆創膏でも貼っておいたら?少しはマシになるんじゃない?」


 なるほど。

 僕はお姉ちゃんの言う通りに絆創膏を持ってくると両方の胸の乳首が隠れるように貼る。

 まぁ、しないよりはマシかな……?



 僕はさっき脱いだ服をもう1度着ると、1回自分の部屋に戻ってスマホやお財布、ハンカチやティッシュなどをポーチ(前にお姉ちゃんから貰った)に詰め込んで玄関へ向かう。


 僕が靴を履いていると、2階からお父さんが降りてきて僕になにかを差し出してくる。



 

そこにあったのは、福沢さんが1人……2人……3人……4人…………5人!?



「お、お父さん!?」

「服代の足しにしなさい」

「お、お父さん……!」


 僕の中でのお父さんの株がストップ高。過去最高額を更新する。

 あの無口で何考えてるのかよくわからないお父さんが今だけ超イケメンに見える。……我ながら現金だなぁ。


 ちなみにその後冬華もちゃっかり1諭吉貰ってた。







「そろそろ行くよー?」

「「はーい」」


 お姉ちゃんに言われて僕は玄関から外に出る。


 暑かったから急いで車のドアを開けて後部座席に乗り込むと、車内はほんのり冷えている程度。

 夏の日差しと気温に負けじと、車載クーラーがグワアアアアアアと全力で車内を冷やそうと頑張っていた。


 すぐに冬華が隣に乗ってきて、最後に戸締りをしたお姉ちゃんが助手席に乗ってくる。



「それじゃあ、出発!」

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