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第49話 鈍感極まりない俺は、親分の気遣いに全く気付きませんでした。

「うぃーっす!」


 早朝、手を上げながら足取りも軽快に歩いてくる姫を見て顔をしかめてしまう。


「お、おう」


「なによー、可愛いマーシャルちゃんが来たんだから、もっと嬉しそーにしなさいよ?」


 なんてイキったことを言いながら顔を近づけてくる。うざい。


「わかったわかった、超ウレシーか、もう帰れよ? な? 悪ぃこた言わねーからよ?」


「むー、なんでそんな迷惑そうなの?」


 ここでちょっと悲しそうな顔(若干可愛い)を見せるのがこいつのもっとだりぃところ。


「いや、別にお前がウザいってわけじゃねーけど、……毎日毎日来すぎなんだよ」


 あれから一週間、ガルムの村が気に入ったマーシャルは、本当にご苦労なことに毎朝早朝からこうやって城(に住んでる設定らしいけど多分ボロアパート)から抜け出し、遠路遥々遊びに来ているのだ。


「何よー、どうせ暇なんでし……、あ、ふぐっ、……そうなんだ、……くく、なんかゴメンね?」


 マーシャルは言いながら途中で顔を赤らめて俯いてプルプル震えやがる。


 ……成る程。


 バッ! と振り返るとそこにはウィン子のメッセージ。


【↓この人毎日可愛いマーシャルちゃんのこと思い出してオ○ニーするのに忙しいんです(*´ω`*) 察してあげてください(^_−)−☆】



「するかバカ!」


 ウィン子に思わず殴りかかるが寸前のところでヒュンと消えられる。


 ……よかった消えてくれて。こいつ殴るとメチャメチャ硬てーんだよな。


「でも今は暇なんでしょ? チン○マン……チン……ぶふっ!」


 ……こいつ、下ネタだったらなんでもいいのかよ。地下アイドルとしてマズイだろそれは。


「ったくよぉ、クレイジーな女共に囲まれちまったもんだ」


 俺が1人そうゴチるとマーシャルのヤツは嬉しそうにニヤニヤと、


「なによー、ホントはカワイイ子に囲まれてウレシイくせにーこのスケベ」


 なんて言いながらマーシャルが肘でウリウリと突いてくる。


「ねー!」


 ピコン!


【ねー(*⁰▿⁰*)】


 ……女って2人揃うとこーいう時ウゼェよな。


卍卍卍


「……と、いうわけで誠に申し訳ないのだが、あの娘にもう村に来ないように言ってはもらえないだろうか」


 マーシャルがぶつくさ言いながら城に帰ったしばらく後、ガルムの親分に呼び出されて親分の家で2人きり。


 親分はなんとも申し訳なさそうに俺に頭を下げる。


 なんでもマーシャルのヤローは本当に姫(ありえねーだろ?)だったらしくてさ。


 そんでマルソウ王国の国王マーシャルのオヤジはえげつない程に過保護で有名らしく、マーシャルにいらないことをした奴やいけないことを教えた奴は軒並み粛清されてしまうとのこと。


 ただでさえ魔物の命なんて人間からは軽く見られてるのに、それが姫の習い事サボリに一枚噛んでたなんてことがバレたらこんな村一瞬で滅ぼされてしまうんだってさ。


 まったくヒデー話だよな。


 俺ぁ昔から過保護な親ってなぁムカつくんだよな? あれやっちゃダメだとかよ? それがそいつんとってマジにやりてーことで、そいつがそれを出来ねーことでそいつの人生が楽しく無くなっちまったらどう責任取るつもりなんだよ? ってマジで思うんだよ。


 何が幸せで、何がかっこよくて、何が大切なのかなんてなぁそいつにしかわかんねーことだ。


 皆人間っつー器にオリジナルの魂ぶっ込んでよ? 


 オリジナルの夢追いかけんのが人生ってもんだべ?


 だから生きるなぁオモシレーってのに、愛する我が子のそれを簡単に壊そうとしてんじゃねーってんだ。


 ……なんてのは単なる俺の感情論。今大切なのはガルムの村だ。


 確かに軽率だったかも知んねーな。


 マーシャルがホントに姫だってことを疑いもせず、


 親分の事情を想像もしないで、


 適当にノリだけで考えてた。


 だから気付けなかったんだろう。


 ガルムの親分が俺にずっとこれを言いたそうにしていたことに。


 親分が村を救った俺に恩を感じてこんな小さな頼み事さえ出来なかったことを。


「親分、……ゴメンよ、俺……」



『マルソウ王国だーー!!』


 俺の謝罪は、村の見張りの怒号でかき消された。

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