第47話 女の一挙手一投足に心躍るピュアぁな俺は、無機質な活字にラブコメを邪魔されました。
「……ふぅ、ふぅ」
グランドキャニオンでもありそうな荒野の真ん中、崖っぷちで助けたお嬢系の女は肩で息をしている。
それもそうだろう。鎧の男に襲われようとしていたのだ。身体の疲れとかってーのは安心すると急に出てくるからな。
「ま、もー大丈夫だからよ? とりまおもっきし休めアイタっ!」
努めて優しく言いながら肩に乗せようとした手をバシッと払われる。
「んだよぉ、別にヤラシー意味で触ったんじゃねっての」
ったく、女ってのはマジでめんどくせぇよな? ちっとした事ですぐセクハラとかいうくせにこっちがそれに気ぃ使って距離取ってたら『恥かかせないで』とか言ってくんだぜ? ったく意味わかんねーよな? 何が恥ずかしいってんだよ全く。
……おっといけねぇまた愚痴っぽくなっちまった。
「……そうじゃなくて、……死にかけたんだけど」
「あぁ、やっぱあの鎧の奴ヤベー奴だったんだな? ま、けど俺という最強の男と共にいる間は安心するがアイタっ!」
言ってる途中で腕をつねられる。……ったく、なんなんだよ。
「……そうじゃなくて、アンタのせいで死にかけたんだけど」
はぁ?
「俺ぁ助けてやった方だろーが、テメェ目ぇ見えてやがんのかアイタっ! ……ってーなボケ!」
ったくなんべんもつねりやがって、しまいにゃ怒るぞ。
「だから! あの男は配下の者で姫であるアタシは日課のピアノが嫌で逃げてただ・け・な・の! それをアンタはワケのわかんない馬で急に引っ張ってさぁ! それにあんなことして配下のアイツが死んじゃったらどーすんのよ?」
……おっと、そーだったのか、そいつぁでっかい勘違いをしちまったもんだお恥ずかしい。
けどなぁ。
「つっても別に落ちなかったじゃんよぉ? 別に俺足場に余裕あんの見てからやったし? 俺ぁ別に悪かねーべ?」
こいつの微妙に意地悪そに歪んだ顔見てるとどーも意地張りたくなんだよな。
「……まぁ別に、もういーケドさ」
あとどーでもいいけどよ? こいつ、拗ねた感じで口尖らせるとちょっと可愛いんだこれが。
……って顔を見たくてわざわざ怒られるような言い方こいてんだとしたら恥ずかしいってレベルじゃねーなこれ。
「ま、まぁ悪かったよ……」
そう謝る俺に対してお嬢はソッポを向く。
んだよぉ、せっかく謝ってんのによぉ。俺こいつちょっと苦手かも。
「……でも」
言いながら少しだけこっちを振り向いた顔からは、なんての? 剥き出しの素直な心がチラリ見えてるみたいで、……なんていうかその、ちっとだけ。
「……ありがとブフォッ!」
……可愛かっ、ブフォッ?
お嬢が割と整っているはずの顔を歪めて(なんかネズミの真似してる奴がドッキリにかけられたみてーに)俺の右肩の上ら辺を凝視している。
俺がゆっくりと肩の方に振り返るとそこにはやっぱり。
ピコン!
【↓この男、今朝ウンコ漏らしました(*´ω`*)】




