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細かいことを気にしない俺は、新しいダチの名前を今更知りました。

「……いってぇなぁもー」


「……ふっ、人間如きが、やりおるわい」


 犬の親玉と殴り合うこと30分、俺と親玉は満身創痍でぶっ倒れていた。


 ま、別にこんな犬野郎どってことねーんだけどよ? 間違ってもダチの親分怪我さすわけにもいかねーし、ほら? 多少はな?


「主人よ……、お主は」


「ふっ、……あまりの気合の入りっぷりに感動したか?」


「……本当にバカなのだな」


 ケーちゃんが立ち上がり、わざわざ前足を『やれやれ』みたいな感じで広げてまで俺を馬鹿にする。


「やんのかコラァ!」


「……ふっ、冥界の番犬の力、見せてやろう」



卍卍卍



「……いてて、……なぁ、俺らよ? 全員バカだよな?」


「そうだな、……先程はすまなかったな」


 ケーちゃんと見つめ合い、お互い傷だらけの顔でふっと笑う。


「……アニキぃ、俺、……俺、……すんませんっした!」


 さっきまで黙って涙ぐんでたガル太郎が前まで来て勢いよく頭を下げる。


「んだよ?」


 このバカヤローは多分、自分のせいで俺が傷だらけになったことを詫びてんだろうけど、残念ながら俺にはそいつは必要なしだ。


「お、俺がここまで連れてきちまったせいでこんな、うちの父殿に……」


 だってよ?


「あ? おう、サンキューな! お陰でいいダチっこが出来たときたもんだ!」  


 この親分犬もみたとこ結構バカなヤローだが、さっきまで殴り合ってた俺と笑い合えるナイスなハートは持っている。いいダチになれそうだ。


「……アニキぃ」


 ガル太郎は前足で涙を拭う。よくわかんねーけどこいつも中々素直で可愛い……。


「大変だー!」


 急に聞こえたデカい声に振り返ると、そこには頬に傷のある赤い犬。


「……おう、どうした?」


 親分犬が凄みを効かせながら振り返ると、傷のある犬は姿勢を正す。


 ふーん、犬っコロにもめんどくせぇ社会性とかあんだな。


「はい! 村の入り口に、“初心者ダンジョン”の連中が来ております!」


「なにぃ!」


 『初心者ダンジョン』と聞いた瞬間、親分は苛立ちのこもった声をあげる。



「あー? んだよその初心者ダンジョンってのぁよ? ドーテーでも捨てさせてくれそうな名前じゃねぇかよ?」


 横から発言する俺に、極道みたいな傷の犬は鋭い視線をよこしたあと、親分に向き直る。


「父殿、この人間は?」


「ああ、こいつはロンタンの連れだ」


 親分がそう言うと、極道犬は俺の方を見て小さく頷く。親分が許した存在なら自分も許すってとこか。なんか本当に極道みたいな社会性だな。


 ……それより。


「ってかロンタンって誰だ?」


「はぁぁ! アニキぃ! ここまで来てアッシの名前を知らないと??」


 ガル太郎が泣きそうな顔で訴えかけてくる。


「え? お前ガル太郎じゃなかったのか?」

  


「アニキぃ……」


 うわぁ悲しそー、めんどくせぇなあ。……話題変えよっと。


「そ、そんなことよりよ? 童貞男女だっけか? そいつらぁそんなヤベー奴らなのか?」


 それを聞いた親分は、苦虫を噛み潰したかの如く苛立った視線を向けてくる。


「……ぅ」


 なんかヤなこと聞いちまったみてーだな。


「ああ、なんせ奴ら、モンスターなんて命があるとさえ思っちゃねぇんだ! ……あいつらの、……あいつらのせいでコカトリスの村はぁ!」


 親分はひとしきり、絞り出すように唸ると、申し訳なさそうにこっちを見る。


「……すまねぇ。お前さんが悪いってわけではないのにな」


「いや……」


 そう言って俺に謝る親分からは、バカばかりやって来た俺には計り知れない悲しみが透けて見えている。


「とにかく行ってくる。お前さんはここで待っていて……」


「いや待てよ、俺も行くし」








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