童貞の才能のある俺が、魔法の才能をクラスメイトに見せつけました。
「……で、では、き、気を取り直して次、ケルベロスくんいってみようか」
冷や汗を浮かべたセンセーがまるでロボットダンスみてぇな動きでケーちゃんに向き直る。
「ふむ、何を見せれば良い? 人の子よ?」
すまし顔でケーちゃんがセンセーに問いかける。
「人の子て……、わたしにはれっきとしたエバハンという名前があるのだが」
そっか、センセーそんな名前だったのか。そーいや昨日言われた気がする。
「ま、まあいい、ちなみにケルベロスくん、使える魔法の系統は?」
「ふむ、現状可能なものは攻撃系統が火・風・冷と移動系統が転移・加速、そして補助系統が映写・増幅くらいか」
「「「……っ!!」」」
ケーちゃんの発言に一同口をあんぐりさせる。
ま、犬があんま色んなこと出来るの変だもんな。
近所のタカヨおばあちゃんが飼ってる柴のジロ吉なんてお手も出来ないもんな。
「そ、そうか、な、ならとりあえず、……攻撃系の火属性を見せてもらおう、魔力量がわかりやすいしな!」
エバハンセンセーに乾いた笑いを浮かべながら手渡された杖を首を振って断ると口を開けてその中が光り始める。
そのひかりはやがて青い炎に変わり、超熱い風が俺の方にまで流れてくる。
「んだよケーちゃん、俺のより小せーぞ?」
「黙れモンスター! ……ふん、熱血降臨派!」
ケーちゃんがとびきりダサい技名を叫ぶと同時に青い炎がボールみたいに飛んでって遥か遠くで爆散する。
ダイナマイト10個分って感じの爆発。
「なんだ、ケーちゃんショボいぜ? なぁみんな?」
そう言いながら辺りを見回すと、センセー含め、皆ケーちゃんに向かって大拍手。
「そうだ! そう、いいぞケルベロスくん、これこそが強い魔法だ!」
「すげぇ! さっきの現実感ないやつよりよほどすごくみえるぜ!」
「ひゅぅっ! お手本のような攻撃魔法だ!」
……んだよ、みんなよぉ? いいんだ。いっつもそーなんだよ。
俺がやることには皆ドン引きだよ、どうせ。