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30になっても童貞かも知れない俺は、一足早く魔法使いにさせられました。

「ああ? んだよこれ、俺ぁオメー、まどかマ○かじゃねーっつんだよ」




「まあまあ、タケシくん、最初はこれが必要なんだってば」




 俺がダッセェ棒を片手に不貞腐れていると、同じクラスのメガネくんになだめられる。




 入学翌日、朝から体育館に登校すると、センセーからいきなりなんか魔法のステッキみたいなのを持たされる。




 うねった木の棒の先に赤い宝石、今ドキこんなもん女子小学生だって喜ばねーだろ。




 ……あー恥ずかし!




「で、センセよぉ、これをどーしろって?」




「うむ、君には今から“魔法”に対する適性をチェックしてもらう」




「というと? っつーか魔法てあれか? マハラギオンとかのことか?」




「マハラギオン?」




「なんかあれだよ、こう、火がバーッと出て敵が燃える感じのやつだ」




 そしたらセンセはうんとうなると言う。




「……なるほど、確かにそれも魔法であるし、君に今からやってみてもらうのはその類の魔法だ」




「なるほどなぁ」




 そっか、今から俺、この棒の先から火ぃ出せんのか。それはちっとおもろそーだな。




「まず、杖の先に、魔力を集めるイメージをしてみてくれ」




「いや、魔力っつったってよぉ、まぁ、……こうか?」





 俺が杖の先が光り出すように妄想? みてーな感じで考えてみると、杖の先が本当に光出す。




「おお! タケシくん、すごいじゃないか!」




 せんせが目を見開いて叫ぶ。




 いや、確かにすげぇな、電球入ってるとかじゃなくてなんか丸く光ってるもんな。




「おお、このパワーは!」




「まさか、賢者の生まれ変わり?」




「す、すげぇ」




 丸い光が段々デカくなってきて、サッカーボールサイズを超えたあたりで周りの連中が次々叫び始める。




 そしてセンセーが言う。




「ちょ! ちょちょちょタケシくん! い、一旦やめてみようか?」





 杖が光るのを想像するのをやめると、光も同時に消える。




「……ふぅ、ふぅ、危うく体育館を消し炭にしてしまうところだった」





 焦った感じのセンセーに俺は言う。




「なぁセンセー、魔法は?」





「ば、場所を変えよう!」




卍卍卍




「すげーな、こんな広い草むらさいたまじゃ見た時ねーよ」




 あれから30分、俺たちはなんかだだっ広い草原にやってきた。




「よし、ここなら思い切りやっても大丈夫だろう、はい」




 センセーに渡された杖を構えると、俺はまた杖の先が光る妄想をする。




 杖の先が光だし、その光は段々と大きくなる。




「おお、すげぇな」




 更に光が強くなるように妄想すると、それに呼応するかのようにより光は強くなる。なんかもはや夜のサッカースタジアムのライトより明るいぞ。




「た、タケシくん、これほどまでの魔力、君は一体……」




 そして少し杖を持つ右腕が熱くなる。




 ……ふむ。




 どうせだったらなんかカッコいいこと出来たらいいよな。マハラギオンみてーな火のやつとか。




 ……なんてことを考えていると、光が炎に変わり、すげえ熱い。




 ピコン!




【攻撃魔法が解放されました】




「おお、なんという魔力だ」




 でっかい炎は更に大きく、熱くなっていく。




 その色は赤から青へと変わり、そして白くなる、……これもはや火なのか?




「熱つつっ!! センセー、これこっからどーすんだよ!」




「よし、そのままそれを発射するイメージをするんだ!」




 なるほど、そう言う感じか。




「っし、ビーーム!」




 ……しまった、ビームはダセェなマジで。




 とか思ってる間に白い火? はホントにビームみてぇに真っ直ぐ伸びて、草原の遥向こう、地平線の奥で爆発する。




 天まで届きそうな白い火柱は見たことがある。




 エ○ァで使徒がやられた時みてぇだ。




「……魔法すげぇな」





 そう言いながら周りを見回すと、センセーもクラスメイトも皆口をあんぐりと開けて固まっている。




「いやいや、センセーよぉ、あんたがやらしたくせにビビってんじゃねぇよ!」




 はぁ、俺また中学ん時みてぇにクラスで浮いちまうのかな。




 悲しくなってくるぜ。

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