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死んで転生したら最弱の始祖吸血鬼だった  作者: 雷月叶斗
序章ー始祖吸血鬼への転生
6/8

#5_魔王の宴後編

よっしゃ、二日連続投稿だっ!

あまり間が開かなくて良かった……。

それでは、本編どうぞ〜

「んじゃ、近況報告を始めるぜ」


 気怠そうに、仕方なさそうにレイドはそう言って、報告開始を宣言する。

 広間と言うのは、さっき虎獣人をシメた、大きな一つのテーブルと十二の椅子が並ぶ豪華な空間のことだった。

 俺は、その空間にあるテーブルの一段上に置かれている三つの椅子のうちの、右側に座っている。

 左にはレイド。その左にはロンが座っていた。

 俺の席の後ろには、いつの間にかシルナとルドが立っていた。


「報告……かぁ。特に変化は無いよ」


 早く終わらないかなぁと言った雰囲気で、ロンがそう言った。


「相変わらず、僕を慕ってる人間達は野菜とか勝手に納めてる。僕野菜よりお菓子の方がいいのにぃ」


 はぁ……とため息を吐いてそう言うロン。

 ロン……?それは報告というよりただの愚痴……。


「あの人間たち、まだ飽きずにロンを慕っているのか?」

「うん。僕、別に慕われたいわけじゃ無いんだけどなぁ」

「ま、その人間たちが好きでやってんだから良いだろ」

「そうなんだけどね?久しぶりに顔を出すと、いっつもご馳走と称して生野菜出してくるの」


 「全然嬉しく無いのになぁ。しかも美味しくないし」と呟いて、不機嫌そうに頬をプクッと膨らませるロン。

 ……えぇ。

 俺は、ロンとレイドのやり取りを聞いて、ロンを慕っていると言う人間達に対し引いてしまった。


「仕方ないだろ……ロンを慕ってる人間達は、滅多に他の人間と交流しねぇし、自然そのままの味こそが最高のご馳走だと思ってんだから」


 「自然しか見てない中で過ごしてんだから、当然だろうが」と、呆れたように肩をすくめて言うレイド。

 ロンは昔、竜皇女と呼ばれていることもあったと、レイドが言っていた気がする。人間達がロンを慕うのは、その名残なのかもしれない。


「僕の報告はこんなとこだよ〜」


 プクッと頬を膨らませたまま、ロンはそう言った。

 報告というよりも、ただ愚痴を聞かされただけな気がするのは、俺だけなのかな……。

 とか思っている間に、レイドが口を開く。


「俺も、何も変わってないぜ。強いて言えば、ヴァイスが起きた事と、宴をする連絡に出た事ぐらいだな」

「俺も、特に変わったことはない……と言うか、起きたばかりだから何も知らない」

「ヴァイス兄に関しては、起きて宴に参加した事が最近起きた事だね〜」


 レイドが報告し、続いて俺が報告、俺の報告にロンがそう言った。

 ロンの言葉に、背後で立っていたシルナとルドがコクコクと頷く。


「とりあえず、お互い変化なしって事だな」

「そうだね〜それじゃー近況報告終わり〜」


 ロンがそう言った刹那、その姿が一瞬で消えてしまった。

 俺は何が起こったのか分からずポカンとし、シルナやルド、レイドはやれやれと言った感じだった。


「え……っと、今何が起こったんだろ……」


 何が起きたのか分からない俺は、気がつけばそう呟いていた。

 多分、今の俺の目はグルグルと回っていると思う。

 何が起きたのかが、サッパリ分からない。多分、瞬間移動系の何かを使ったんだとは思うんだけど……。


「恐らく、ロン様は空間転移を使われたのだと思います」


 俺の呟きが聞こえたのか、そう言ったルドの声には、少し呆れが混じっているような気がした。


「退屈な近況報告が終わったから、帰ったんだろ」


 「まあ、俺も帰るんだけどな」と言って、シュッと消えるレイド。そして残された、俺とシルナにルド。


「ふぇぇ〜……ここに来た時も訳が分からなかったのにぃ〜」

「ヴァイス様……目が回ってましたもの」


 何が何だか分からないと言った感じでそう言った俺に、ルドはそう言って、「可愛かったですけど」と小さく呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。

 この宴の場所に来る時、シルナとルドに案内してもらって行くことになったんだけど――




 ――時は、レイドがヴァイスに宴の連絡をし終わって直ぐに遡る。


「それで、具体的な場所や日時はいつなの〜?」


 さっき連絡して来た声の主は、宴がある、としか伝えてくれなかった。場所も、日時も何も伝えられていない。


「あ、ヴァイス様にはその連絡はいかなかったんだね〜」

「……他の魔王達からは、今も寝てると思われてるんでしょう」


 キョトンとしてそう言うシルナに、肩をすくめてそう言うルド。

 確かに、寝てたら連絡する意味ないもんね〜すごく理に叶ってるやぁ。


「具体的な日時は、今日の夜です。場所はこことは違う隔離された異空間になります」

「え、異空間!?……どうやって行くの?」


 俺、空間移動?とかそう言うの、一切持ってないんだけど。と言うか、持ってても認知してないし、認知してても多分今は使いこなせないと思う……。

 俺がそんな感じで混乱していると……


「異空間には、空間転移で移動します。俺とシルナは座標知ってるので、ヴァイス様は近くにいるだけで良いですよ」


 安心させるようにそう言うルド。

 ほんのちょっとだけ胸を張ってるルド尊い。

 俺は、近くにいるだけで良いらしい……。


 そして、夜が来た。


 シルナとルドは、普段と違ってビシッとした服装だ。いかにも、従者って感じ〜。

 俺はと言うと、「ヴァイス様はそのままで充分カッコイイよぉ〜」とロンに言われたので、起きた時と変わらない服装で行くことになった。

 そうして俺らは、ワルプルギスに行く準備を整え終わった。

 準備を終えた俺らは、空間転移でワルプルギスへ行く……のだが。


「ね、ねぇ。ほ、ほんとに腕を掴んでいれば良いの?」


 俺は不安を隠しきれない声色で、シルナ達に聞く。

 俺が寝ていた棺がある部屋の中、少し開けた空間に、俺を挟む形でシルナとルドが立っている。俺らの足元には、幾何学的模様が描かれた陣がある。

 俺は、シルナの左腕と、ルドの右腕をギュッと両手で掴んでいた。こうしろと、シルナ達に言われたのだ。


「大丈夫だから。一瞬で着くからね〜」

「怯えなくて大丈夫です。こうしていれば、確実に転移できるので……」


 安心して下さいください、と言った感じで微笑むシルナとルドは、とっても尊かった。

 シルナとルドが尊いおかげで、不安は払拭されていた。

 俺の不安が無くなったのを感じ取ったのか、ルドが口を開く。


「それでは移動しますよ……『転移』」


 ルドがそう言った瞬間、足元にあった幾何学的模様が描かれた陣が眩しいほどに光り輝き……俺は目を開けられず、瞑った。

 どうやら、あの幾何学的模様が描かれた陣は、魔法陣だったみたい。

 そんな事を考えていると、シルナの声が聞こえた。


「ヴァイス様〜もう目を開けて大丈夫だよ〜」


 そう言われて、俺は目を開ける。すると……


「……ここが、ワルプルギスの会場?」


 周囲には、さっきまでいた景色ではない空間が広がっていた。

 状況が理解できなくて、俺はしばらく転移した時の状態のまま、フリーズしていた。

 俺は、ワルプルギスの会場に着いていた――




 ――とまあ、こんな感じで俺はこの会場に来た。

 多分、目が回ってたのはフリーズしてた時じゃないかなぁ……。

 あの時は、魔法陣が光って『転移』をして来たけど、ロンやレイドは『転移』すら言わずにスッと消えた……。

 魔王って凄いなぁ〜と思いつつ、魔法は言葉を口で紡がずとも出来ると知った。

 まあ、今の俺には多分出来ないだろうけど〜。


「……様〜ヴァイス様ぁ〜大丈夫〜?」

「ロン様やレイド様が『転移』を何も言わずに発動したので、理解できなくてフリーズしているのでは?」


 シルナとルドの声がして、ハッとする。

 この会場に来る時の事を思い出している間、俺ずっと動いていなかったみたい……。でも、思い出したおかげで、何が起きたのか少しは理解する事ができた。……シルナ達を心配させることにはなったけどね〜。


「ん、大丈夫……ロンやレイド帰っちゃったし、俺らも帰ろっか」


 俺がそう言うと、二人は頷いた後、俺を挟むようにして隣に立った。……来た時と同じだ。ふと足元を見ると、来た時にも見た幾何学的模様が描かれた魔法陣が、足元に描かれていた。

 右に立っていたシルナが、俺の右腕をギュッと掴む。シルナを見て、左に立っているルドが俺の左腕をそっと優しく掴む。


「それじゃ、帰りますよ……『転移』」


 ルドは、俺の様子を確認して大丈夫と判断したのか、そう言った。刹那、足元に描かれていた魔法陣が眩しく光り輝き、俺は目を瞑った。

 相変わらず、この魔法陣の光眩しいなぁ……。

 そんな事を考えていると、シルナの声が聞こえて来た。


「もう目を開けて良いよ〜ヴァイス様」


 そう言われて目を開けると、そこには俺が寝ていた棺があり、赤く豪華な壁が一面に広がる空間が広がっていた。


「あ、帰ってきた」


 俺は、無意識にそう呟く。

 俺が立っている場所は、ワルプルギスの会場に向かう時に転移で使った、少し開けた空間だった。

 ちゃんと帰って来れたみたい……。


「ワルプルギス、楽しかったね〜」


 いつものゴシックドレスに瞬時に着替えたシルナが、余韻に浸るようにそう言った。


「あの虎獣人……今頃会場の関係者にコッテリ絞られてるでしょうね」


 こっちもいつもの服に瞬時に着替えたルドが、哀れみの声色でそう言った。

 相変わらずルドの服は黒色でカッコイイけど、名称がわからないぃ……。

 と言うか、そうだ。あの絡んできた虎獣人、なんだったんだろう?


「あの虎獣人、なんだったの?ムカついて思わずシメちゃったけど」

「たまにいるんですよ。魔王でもないのにあの異空間に来れる猛者が」


 俺があの虎獣人について聞くと、なんで来れるんでしょうね、と言った感じでルドは肩をすくめてそう言った。


「まあ、ヴァイス様があんな弱くてイキるような虎獣人に負けたりしないし〜」

「そ、そうだね……」


 ムスッとしてそう言った後に、キラキラとした目で俺を見るシルナ。

 勝てないと思って死を覚悟したってことは、墓場まで持っていこう……。


 ――こうして、騒がしく始まった魔王の宴は、幕を閉じた……。

四千字オーバーだーっ!!!!((うるせぇ

あわ……なるべく三千字以内に抑えるように書いて来たのになぁ……。

思ったよりも長くなった((それ魔王の宴編前編でも言ってたよな?

とりあえず、たまに描くの楽しくなって一話の文字数が多くなるかもしれません。

それでもよければ、次のお話までゆっくりしていってください。

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