#4_魔王の宴中編
五日ぶりだー!!!
ブックマーク登録と評価してくださった方、ありがとうございます。
不定期で気まぐれに書いているので、ちょこちょこ間が開くかもしれません。なので、気長に、緩い目で見てくださると嬉しいです((何様だ
それでは、本編どうぞ〜
騒がしく幕を開けた魔王の宴は、落ち着きを取り戻していた。
シルナ達は、俺とレイドが口裏を合わせて状況説明したら納得して、料理を食べに戻っていった。
さっきシメた虎の獣人はまだノビている。
それと、椅子は十二個あるけど、実際に使うのは上の方に置いてある三つの椅子だけみたい。今回のワルプルギスは、最古参の魔王だけを呼んだんだってさ。ちなみに、俺もその最古参魔王の一人、らしい……種族内最弱の始祖吸血鬼なのにね〜。あ、レイドも最古参魔王だよ。今回のワルプルギスの主催者でもあるみたい。
「おせーな、ロンのやつ」
レイドがそう言って頭を掻く。
どうやら、最後の最古参魔王は、ロンって名前の子らしい。
多分知り合いなんだろうけど……どんな子なんだろうなぁ。
「ねぇ、レイド。ロンってどんな子?」
「ロンは、一言で言っちまえば幼くて可愛い少女だな。竜と人のハーフなんだけどよ、昔は竜皇女って呼ばれてたんだぜ。今とは別人みてえに大人びてたな。なんつか……時が経つごとに幼くなっていった感じだな。俺は今のあいつのほうが好きだけど」
幼くて可愛い少女……かぁ。やばい……想像しただけで尊すぎて尊死しそう……。うぅ……心臓持つかなぁ〜。
俺が、レイドとロンという少女について話していた時だ。
「遅くなったぁ〜……って、あ!ヴァイス兄!起きたんだ〜僕のこと覚えてる〜?」
そう言って現れた緑髪の少女は、俺の顔をグイッと覗き込む。
たしかに、レイドの言った通り、幼く可愛い少女だ。
……と言うか、ヴァイス兄?俺はコイツに兄と呼ばれているの?
困惑する俺に、レイドが助け舟を出してくれた。
「ロン、落ち着け。ヴァイスは長い間眠りすぎて、色々忘れちまってるみてぇなんだ。だからまずは、自己紹介をしようぜ?」
「うん!分かった!」
そう言ってロンはピョンと後ろに飛んで、その場でクルッと一回転すると、ニコッと可愛らしい笑顔で言った。
「僕は、ロン。ヴァイス兄とはとーっても仲が良いんだぁ〜。物凄く昔、お世話になった時から、僕はヴァイス兄って呼んでるよ〜」
とても、可愛らしい声で。ロンはそう自己紹介をした。
ロンの容姿は、一言で言ってしまえば幼く可愛い緑髪の少女、だ。
綺麗な薄緑色の長くも短くも無い髪。髪の左上の方に黒色のコウモリの髪飾りを着けている。右目は前髪で隠れていて、色が分からない。目の色は森よりも深い緑色。けど、その色はどこか幼さがある。顔立ちは幼く、服に少しだけ髪がかかっている。服は、夜空を切り取ったような色で、優しい緑色のフリルが付いている長袖ワンピース。靴は可愛いリボンがついているピンクのスニーカー?っぽい物。右の靴には可愛いリボン、左の靴には可愛い黒色のコウモリのバッチのようなものが付いている。
どんな服を着せても似合いそうな、可愛らしい少女だ。
……ヤバイ、尊死する。
想像していただけでも尊死しそうだったのに、想像以上に尊くて可愛い……。
こんな可愛い少女からお兄ちゃんと呼ばれている俺は、明日死ぬのかな!?
ヤバイよぉ〜尊すぎるってぇ〜……尊すぎて語彙力が家出したぁ〜。
「ヴァイス兄……?僕の事ジッと見て、どうしたのぉ?」
「あ、いや……」
ヤバイ……目を合わせられない……。
「可愛いなぁ〜……って……」
俺がそう言うと、ロンは俺の顔を覗き込んで……
「可愛い!?……ホントに?ホントに可愛い?」
目をキラキラとさせて、そう聞いてきた。
可愛いよ、可愛すぎる。可愛すぎで俺が尊死する……!
「うん、可愛い」
俺は、尊死しそうなのをなんとか耐え、そう言葉を絞り出した。
「やったぁ〜!久しぶりにヴァイス兄が可愛いって言ってくれたぁ〜!」
そう言って後ろにピョンと飛び、全身で喜びを表すロン。
お願いだから、持ってくれ……俺の心臓!
「なんか、ロン。お前また幼くなったか?」
「そんな事ないよ〜。ねぇねぇ、ヴァイス兄」
そう言って、俺の服をグイッと引っ張るロン。
いつの間に俺に近づいたんだろう……。
「今回のワルプルギスの料理、すっごく美味しいから、食べてよ。食べないと勿体無いよ」
「あ、うん……分かった」
俺がそう言うと、ロンは「やったぁ〜」と喜んで、俺の服をグイグイと引っ張って、料理コーナーへと、俺を連れて行く。
ロンに連れて行かれる俺を見るヴァイスは、微笑ましいものを見るような、穏やかな表情だった。
ロンに連れて来れられて、料理コーナーに来たわけだけど……
「全部が高級料理……」
素人でも一目で高級だと分かる、とても豪華な料理が、複数置かれている円形状のテーブルの上に置かれていた。料理の近くにはトングに似た形をしている道具があり、それで料理を取って食べるみたい。
食事をする場所からは厨房が見え、料理人さん達がせっせと料理を作っているのが見える。食事をする場所は、さっき俺がいた場所と同じぐらい豪華な装飾がされていて、テーブルなどがある一角で、シルナ達が美味しそうに料理を食べていた。
「すごい……豪華……」
俺がポツリとそう呟くと
「そりゃ、魔王の宴だもん。それに、今回は最古参の魔王だけのワルプルギスだからね。普段よりもずっとずっと豪華だよ!」
エッヘン、と言った感じで得意げに胸を張り、そう言うロン。
……別に、ロンが料理しているわけじゃ無いような。まあでも、可愛いからいっか。
そうして俺は、ロンに色々今回のワルプルギスで提供される料理について教えてもらいつつ、一緒に料理を食べた。
料理の感想を、一言だけ。
……すごく、美味しかった。
そして。楽しい時間はあっという間に過ぎていって……
「失礼します。近況報告のお時間となりましたので、ご報告に参りました。お食事中の場合は終わってからで結構ですので、広間にお集まり下さい」
メイド服を着たスラっと高身長な黒髪の美女がどこからか現れて、そう言うとどこかに消えてしまった。
(なんだったんだろう……)
「もうそんな時間か〜」
「ご馳走様でした」と言って箸をテーブルに置いたロンが、気怠げにそう言った。
「そんな時間?と言うか、近況報告って何?」
「近況報告は、最近あった出来事を他の魔王と共有するんだ〜。これは絶対だから、すっごく怠いの〜」
「へぇ〜」
なるほど……確かに気怠くなるなぁ。
と言うか、俺転生して来たってこと、言って大丈夫なのかな……。最近あったこととか、目が覚めたことくらい?この世界の事とか何も知らないし……。
とか困惑している間にも、ロンに「いくよ〜」と言われて服をグイグイと引っ張られ、近況報告をすると言う広間へと連れて行かれた。
――かくして、騒がしく始まった魔王の宴は、恒例の近況報告の時間となった。




