#3_魔王の宴前編
三話目だーイエーイ((騒がしいな
今回は、ヴァイス達が魔王の宴に参加したところです。
それでは、どぞ。
「……ここが、ワルプルギスの会場?」
「うん!今回はどんな料理が食べれるんだろー」
「くれぐれも、面倒ごとを起こさないで下さいよ。特にシルナ」
俺らは今、ワルプルギスが行われる会場に来ていた。
会場は豪華な装飾がされていて、とても広い。中心には楕円形状に大きく長いテーブルが置いてあり、そのテーブルを囲むように、煌びやかな装飾がされた椅子が十二個、置いてある。テーブルと椅子の下にはとても高そうな赤色の豪華な絨毯が敷いてある。これ一枚売ったら一生遊んで暮らせるお金になりそうだ……。
凄い……その一言しか、感想が出なかった。
この会場全体が、ただただ豪華で。その豪華な空間に、見たことがある気がする赤髪の男性がいた。
その男性は俺に近づいてきて、声をかけて来た。
「よお、今回はちゃんときたな、ヴァイス」
その声は、脳内で会話したあの人物の声だ。
初めてその姿を見て、初めてしっかりと声を聞くのに……とても、懐かしい。そう感じるのは、何故なんだろう。
「ん……思ったよりも怖くないし、凄く豪華」
「……もしかしてヴァイスお前、長い間寝てたせいでワルプルギスがどんなもんか忘れちまったのか?」
そう言って苦笑する赤髪の男性。
「……そう、みたい」
本当は経験して無いから驚いてるだけなんだけどね……。
「まあ、気楽にな。お前に喧嘩売るやつなんざ、お前を知らねぇ新参ぐらいだからよ」
そう言って、俺の左肩に腕を首から回す形でポン、と軽く手を乗せる赤髪の男性。意外と髪は長いようだ。
「……うん。それで、君の名前は……?」
恐る恐る、聞いてみる。……寝てたから忘れていたと言うことで、流してもらえるかな……。
「アハハッ、こりゃ相当熟睡してたらしいな」
快活に笑い、そう言って俺の肩に置いた手を支点として寄りかかる赤髪の男性。
怒ったりとかは、していないようだ。
「俺はレイド。ヴァイス、お前の……親友兼魔王友達だ」
そう言ってまた快活に笑う赤髪の男性――レイド。
レイドの声は、聞いていると懐かしくて、とても……安心する。
親友っていうのは、間違いなさそうだ。直感的に分かる。コイツは、俺の敵では無いと。
「それで、レイド……今回は、ってどういう事?」
「なぁに、今回みたくワルプルギスが開催される度に、ああやってお前に連絡してたんだよ。……ま、寝てたから分からなかっただろうが」
そう言って苦笑するレイド。
……なんだか、レイドと話しているのはとても楽しい。
そうして、俺がレイドと話している時だ。
「んんー?なんか見ねぇ吸血鬼がいやがるぜ?すげぇ弱そうだしよ。なんでそんなよわっちそうなナリでこの宴に参加出来てんだぁ?」
★か★ら★ま★れ★た★( ̄▽ ̄)
えぇ……俺に喧嘩売る奴は、俺を知らない新参ぐらいだって、レイドが……ん?俺を知らない……新参?
俺は、俺に絡んできたやつを、よぉく見る。
派手な金色の髪。ボサボサとしているが、ダサいとは感じさせない。鋭く俺を睨む金色の目。なんか……虎みたいな目つきだなぁ……。あ、頭に虎の耳あるじゃん。と言う事は、虎の獣人か何かかな。服は……ド派手な金色の、何か。え、説明放棄するなって?……だってぇ、名称わからないんだもん。なんかTシャツとズボンっぽい感じはするけど、それにしては野性味溢れてるし。あ、お尻の辺りからは虎の尻尾生えてるよ。
なんか、見た目からしてZA★強者って感じ。
身体の周りになんか薄っすらと魔力?っぽい薄紫の何かを纏ってるし。絶対強いじゃん。
さよなら、俺の短い異世界生活。今度はちゃんと現代に転生したいな……。
相手を観察して、勝てなそうだなと思った俺は、生きる事を諦め死を覚悟した。その時だ。
「オイオイ、俺を無視するたぁいい度胸じゃねぇか、チビ吸血鬼よぉ」
「……あ“?今……なんつったんだ?テメェ」
「お、おい、ヴァイス?」
「今……なんて言ったか聞いてんだよっ!」
俺はそう言って絡んできた虎獣人を吹っ飛ばす。……ただ俺の魔力をちょっとだけ強く放っただけだがな。
「お、オイ、ヴァイス。お前そんな喧嘩強かったか?なんっつーか、お前が前に話してくれたヤンキーってやつにそっくりだぞ……今のお前」
「ああ”ー、ヤンキーか。そりゃソックリだろうなぁ……」
俺は、吹っ飛ばされてよろめく虎獣人に近づき、腹を一発蹴った後……言った。
「元ヤンなんだからなぁ!」
そう言って魔力を解放する。……三割くらい。
後で冷静になって、やらかし発言したなって、思ったよ?そりゃ。だけど、いずれ話さなきゃいけない事だし……予定が早まった、そう考える方が……いい、よね……?
「元ヤン?ヴァイスが?どう言う事だよ」
困惑したように聞いてくるレイドに、俺は指をポキポキと鳴らしながら……
「話は後だ。まずは……コイツをシメる」
「お前……声変わったな……さっきまで女子かって思うほど可愛い声だったのによ……今は、すげぇ低くて怖い声だ……」
レイドがなんか言ってるが、気にしねぇ。
俺は腹を蹴られて動けないでいる虎獣人に近づく。
確か、シルナ達の話じゃぁ、俺は種族内で最弱の始祖吸血鬼だ。だけどな……俺が思ったよりも……身体能力はたけぇらしい!
俺はよろめきながら立ち上がろうとする虎獣人の背後に飛んで着地し……背中を勢いよく蹴った。
背中を勢いよく蹴られた虎獣人は、吹っ飛んで天井に顔から勢いよくぶつかった後、地面に背中から叩きつけられた。そしてそのまま泡を吹いて気絶しやがった。
……この程度で気絶するたぁ、死を覚悟した俺が馬鹿みてぇだな。メチャクチャよぇーじゃんかよ。本当に魔王なのかよ、コイツ。
「……ダッセ。弱い者を陥れようとして返り討ちにされたとか……ダッセ」
俺はボソッとそう言って、放っていた魔力をしまう。
……虎の獣人をシメられてスッキリしたぁ〜……けど。
「ヴァイス様ぁ……これどう言う状況ですかぁ〜」
「どうせ……そこで泡吹いている獣人が、ヴァイス様に喧嘩を吹っかけたんでしょう」
流石に騒ぎになったみたいで……宴で提供されるバイキング形式の料理を食べていたシルナ達が、俺に駆け寄ってそう言った。
「あ、うん……そんなところ、かな……」
俺は、シルナ達からスーッと目を逸らす。
幸いにも、さっきの場面を見ていたのは、俺、レイド、気絶している虎獣人だけだったみたい。
レイドは、俺は何も見ていないと言った感じ。
多分、俺が釘を刺さなくとも、さっきの事は黙ってくれるだろう。……あの発言も、深掘りされないといいなぁ……
――こうして、俺人生初の魔王の宴は、騒がしく幕を開けた……
……思ったよりも、長くなった((後書き第一声がそれかよ
本当は前編じゃなくて一話で終わる予定だったのにぃーーー!
……まあ、頑張ります、ウン。
あ、良ければ感想や評価お願いします。モチベに直結します。
それでは、次のお話で!




