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死んで転生したら最弱の始祖吸血鬼だった  作者: 雷月叶斗
序章ー始祖吸血鬼への転生
3/8

#2_最弱の始祖吸血鬼

第二話目!評価ありがとうございます!よろしければ感想も((((グェ

……改めまして、本編、どぞ。[頬を手でさすっている]

「……それでさ」


 俺は歩きながら、シルナ達に問う。


「……なんで俺、黒シャツ黒ズボンに黒マントなの?」


 そう、俺の服は全て黒色だった。マントは裏側が赤色。よく吸血鬼とかが羽織ってる、あのマント。それを、俺が着ている。


「ヴァイス様、寝る前にウキウキしてその服選んでたよ?なんか、違う世界では吸血鬼はこう言う服装がメジャーだとか、なんとかって言ってたかな」


 俺の後ろをトコトコと歩いてついてきながら、俺の問いにシルナが答えた。

 ……オーケー全てを察した。だがそうなってくると、俺……もといこの始祖吸血鬼は、別世界を覗き見ることが出来るって事か。いや、見るだけじゃなく顕現することも出来たりして……?まあ、そんなわけないよねっ!

 そんな事を考えつつ、ふと頭をよぎった言葉があった。……強さについてだ。始祖の吸血鬼と言うからには、種族間内ではさぞかし強いんだろうなぁ〜。

 俺は自分が強い力で無双しまくるのを想像しつつ、シルナ達に聞いてみることにした。


「ねえ、俺って強いの?」

「……あ、えっと……」

「その……なんとお伝えすれば良いのでしょうか……」


 シルナ達の反応はあまり良くなかった。俺が強いかどうかについて、あまり話したくない様子だ。……けど、自分の強さは大体でいいから把握しておきたい。

 だから、俺は質問の仕方を変えてみた。


「じゃあ聞くけど、俺って弱い?」


 これで首を横に振れば、少しは強いと言うことになるから、行動しやすいだろう。

 ……けど、シルナ達の反応は、俺の予想外のものだった。

 俺の質問に対し、二人とも首を縦に振って頷いたのだ。


「……え?」


 思わず、素っ頓狂な声が出る。

 さっきまで想像していた俺強無双が、パリンと音を立てて割れていくのが分かる。

 ……異世界転生したのに弱いのかぁ〜。まあ、流石に種族内で最弱って事はない……よね。


「……俺って、吸血鬼の中で最弱?」

「……うん。ヴァイス様が眠っている間に、みんな強くなっちゃったから」


 肩をすくめて苦笑しつつ、シルナがそう言った。


「前は、ヴァイス様が種族の中で最強だったんですけどね。始祖の名に恥じぬ強さで、誰も勝てませんでした」


 それも、ヴァイス様が眠る前のことですけど。

 そう言って何とも言えない苦笑いのような表情をするルド。

 マジかぁ……俺が転生したのって、最弱の始祖吸血鬼……かぁ。

 ……けど、種族内最弱ってだけで、普通からしたら十分強いとかもあり得る。と言うか、そうであって欲しいなぁ……。

 自分の強さは分かったけど、まさか種族内で最弱の存在に転生するなんてね……。

 はぁ……俺の無双想像が消えていく……。


 俺は、自分が種族内最弱だと分かって、がっくりと肩を落とす。それを、まあまあ気を落とさないでと言った感じでシルナ達が慰める。絵だけ見ればかなり尊いんだけどなぁ、この状況。

 そうして、俺が落ち込んでいた時だ。突然、脳内に誰かの言葉が響いた。脳内と言うより、魂に直接……?


『よお、ヴァイス。起きてっかぁ?起きてたら返事してくれ〜。あ、返事の仕方一応言っとくな。眠ってて忘れてるとか前あったからな。返事の仕方は心で強く言葉を思い描く事だ。とにかく、起きてたら返事をしてくれ』


 声は……荒々しいけど根は良い男性だ。

 ……何故だか俺は、この声の人物を()()()()()気がする。

 ご丁寧に返事の仕方を教えてくれたから、その方法を試してみる。


 起きてるよ〜……返事できたぁ?


 恐る恐る、心で強く言葉を思い描いてみた。すると……


『返事出来てるぞ。……なんか、ヴァイスお前、口調とか雰囲気とか、随分可愛くなったな』


 と言う返事が返ってきた。……どうやら成功したみたい。

 こっちの世界でも俺、可愛いって言われるんだ……。前の世界でも見た目女子みたいってよく言われてたからなぁ……もしかして、今の俺の姿も結構可愛いのかな……?だとしたら、ちょっと見てみたい気もする。

 っと、思考が逸れた……今は俺の姿は関係ないや。あとで鏡見よーっと。


『そう?それで、なんのようなの〜?』

『あー、そうだった。魔王の宴(ワルプルギス)が開催されっから、参加しろよ?会場までは……まあ、お前の事を心酔している吸血鬼達が案内するだろ。そういうことだ、んじゃワルプルギスで会おうな!』


 それだけ言って、声の相手は言葉を発さなくなった。

 嵐のようだったな……と俺は思った。


「ワルプルギス……魔王の宴?……すごく怖そう」


 俺は、思わずそう呟いていた。俺の呟きに、シルナが反応する。


「え、何々ワルプルギス開催されるの?僕ワルプルギス行く!案内もする!」


 目をキラキラとさせ、ウキウキと言った感じでそう言った。


「……なら、俺も。シルナ一人じゃ、何しでかすか分かったもんじゃないので」


 仕方ないな……と言った感じでそう言うルド。けど、言葉とは裏腹に、ほんの少しだけ、笑っている気がする。


「ルドー、何さその言い方ー」


 そう言ってルドの方をポコポコと叩くシルナ。


「事実でしょう……?」


 やれやれと、肩をすくめて苦笑するルド。

 ……この二人、案外お似合いかも。


「と言うか、ワルプルギスって怖く……ないの?」


 若干震え声になっていると自覚しつつ、俺はそう言った。すると……


「怖いわけないじゃん。人間達が盛大に勘違いしちゃってるんだよ」

「そうですね。ワルプルギスとは、結構頻繁に開催されているものなのです。中々に強制力もありましてね……基本は強制参加です。ですが、内容は楽しい宴……と言ったところでしょうか。魔王達の間で近況報告をしあったり、最近あった面白い話を語り合ったり……まさしく、魔王達の宴ですよ。ノリとしては、前にヴァイス様が言っていた人間達の飲み会?とやらのソレです。全然怖くないですよ」


 そう言って、肩をすくめるルド達。今日やけに肩をすくめるなぁー(((hahaha気のせいだ

 ……なるほど。ノリが飲み会なら、確かに怖くなさそう。と言うか、そんなに軽いノリなんだ……。それなら、行ってみようかな……?さっき会話のやりとりをした声の主の姿も気になるし。


「じゃあ、行ってみようかな……」


 俺がそう言うと……


「やった!案内は任せて、僕場所分かってるから」

「……俺も行きますよ。長くお眠りになった事で、他の魔王達の顔や名前を覚えてないと言うこともあるでしょうし」

 俺はバッチリ記憶してるので、とほんの少しだけ得意げに言うルド。

 本当に少ししか誇らしげにしてないルド、すごく尊いなぁ……。


 ――こうして俺らは、魔王の宴、ワルプルギスに参加する事になった……

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