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死んで転生したら最弱の始祖吸血鬼だった  作者: 雷月叶斗
序章ー始祖吸血鬼への転生
2/8

#1_始祖吸血鬼の目覚め

 ん……うぅん……?

 ここ……箱の中?素材は……木材かぁ。棺とかその辺かなぁ。

 と言うか俺、死んだはずじゃ……何で生きてるの?ここ死後の世界?

 うーん……よく分かんないからとりあえずテキトーに蹴ってみよっと。


 ゴン!……バキッ!


 ……あ、箱の蓋割れちゃったっぽい?割れた隙間から光が入ってくるけど……すごく、眩しい。

 俺光苦手だったっけ?まともに目を開けられないや。

 …………声がする。二人くらいかな。男の人と、女の人。いや……ヒトじゃない。男吸血鬼と女吸血鬼だ。

 なんか、直感的に吸血鬼だって分かった。……性別も。


 声が結構近くで聞こえるようになった。途切れ途切れだけど、会話が聞き取れる。

 内容をまとめると、ずっと始祖様が眠っていたハズの棺から大きい音がしたから、確認に来たらしい。

 大きい音って、さっき俺が箱――もとい棺を蹴った時に出た音だよね、絶対。

 と言うか、始祖様が眠ってたってどう言う事?そもそも始祖様ってなんの始祖様?確認に来てるのが吸血鬼なら、吸血鬼の始祖様かな?

 とか考えている間にその吸血鬼二人は棺の横に立って、棺の蓋を開けた。

 沢山の光が、俺が入っている棺の中に降り注ぐ。とても眩しくて、思わず手を顔の上に被せる形で光を遮る。


「ほらっ!やっぱり始祖様起きてるって」

「……みたいだな。始祖様〜おはようございます。とても長い間お眠りになられていましたね」


 女吸血鬼が起きていると言った後に、男吸血鬼がとても長い間眠っていたと言った。

 ……というか、始祖様?俺が?


「ん……えっと、始祖様って俺のこと?」


 俺は直球で疑問をぶつけてみた。すると、吸血鬼達はキョトンとして……


「始祖様は始祖様だよ?何言ってるの〜?」

「俺らの始祖様は貴方様しかいませんよ。長い間お眠りになられていたので、ご自分が吸血鬼の始祖であること、忘れてしまわれましたか?」


 そう言って、二人とも肩をすくめて苦笑い。

 え、俺が?吸血鬼の始祖?……でも、仮にそうだとすると、辻褄は合う。

 ただ蹴っただけで壊れた棺の天井。異様に眩しく感じる光。棺を壊した事で確認しに来た吸血鬼。直感的に分かった種族と性別。

 ……全て、俺が始祖の吸血鬼であるのなら、説明できる。

 蹴っただけで棺の天井が壊れたのは、始祖吸血鬼の身体能力。光が異様に眩しく感じるのは、目が光よりも暗闇を得意とするから。棺を壊した事で確認に来た吸血鬼は、始祖が眠っていて長い間物音がしなかったからだろう。直感的に種族と性別が分かったのは、俺が始祖吸血鬼であり同族だったから。

 つまり……


 ――俺は始祖吸血鬼に転生した……と。


 そういう事かな〜。

 まあ、転生って事は一回死んでるんだけどね……。

 なんか、最近よくテレビや漫画とか、ネット小説とかで見かけたりする、異世界転生モノってやつ?

 ……まあそんな事は良いや。

 そう言えば、俺の名前ってなんだろう。元の世界の名前は……なんだっけ?思い出せないや……。


「ねぇ……俺の名前って、なんだっけ?」

「始祖様の名前は〜……確か――」

「――ヴァイス=ヴァンピーア……だと、古い書物に載っていた」

「そうそう、それ。カッコいいよね〜」

「ヴァイス=ヴァンピーア……それが、この世界での俺の名前か」


 ボソッと、俺は小さくそう呟いた。吸血鬼二人には聴こえてないみたいだ。

 俺は改めて、吸血鬼二人をよく見てみる。


 女吸血鬼は銀の短髪で、毛先に向かって黒色に変わっていってる。髪には、黒色のコウモリの髪飾りを着けている。目は、丸くて可愛い。目の色は血の色よりも深く濃い赤色。顔立ちは整っていて、全体的に可愛い。服は、黒色のゴシックドレスを着ている。

 可憐で無邪気な印象を受ける。


 男吸血鬼は金の長髪で、毛先に向かって雪のような白色に変わっていってる。髪には、赤色のコウモリの髪飾りをつけている。顔立ちは女吸血鬼と同じ。ただ、全体の印象としてはカッコかわいいって感じ。服は黒色のすごくカッコイイ服。名称が分からないよぉ〜……とにかく、服はただただカッコイイとしか言えない……。

 落ち着いていて冷静な印象を受ける。ただ、ぱっと見は完全に女の子だけど。


 なんか、二人ともパッと見た感じがお人形さんみたいなんだよね。すごく可愛いけど。そういえば……


「二人は、名前なんて言うの?」


 俺は、二人の名前を知らない。だから、聞いてみた。


「僕はシルナ。よろしくね〜始祖様っ!」


 元気よく、女吸血鬼――シルナが自己紹介をする。続いて……


「俺はルド……よろしくお願いします、始祖様」


 丁寧にお辞儀をして、男吸血鬼――ルドが自己紹介をした。

 俺は体を起こして、棺の壁に寄りかかる。


「シルナに、ルドね、よろしく〜。後、名前呼びでいいよ〜。始祖様って、堅苦しいじゃん」


 俺はそう言って、シルナとルドに微笑みかける。


「分かった〜よろしくね、ヴァイス様っ!」


 ニコッと、可愛い笑顔でシルナはそう言った。

 ヤバイ、すごく尊い。


「分かりました。よろしくお願いします、ヴァイス様」


 そう言うと同時に丁寧にお辞儀をするルド。

 ヤバイ、こっちもすごく尊い。

 え、何この子達。尊すぎてヤバイんだけど。え、これ大丈夫?俺の心持つ?


 ――こうして、久しく眠っていた始祖の吸血鬼は、長い眠りから覚めた。

これからも、始祖吸血鬼改めヴァイス君をどうぞよろしくお願いします。

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