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プロローグ

「勇者 鬼将 終夜(きしょう しゅうや) 君のスキルは……【清潔】?」


複数の落胆したような声が漏れる。聞き間違いか「いっそ、人質に……」なんて物騒な言葉が聞こえたのは気のせいだろうか?


「おいッお前!」

……どうやら、聞き間違いではなかったらしい。


それに反応し、僕の後ろ、クラスメイトから非難の声が殺到した。その中でも、金髪耳ピアスのイカツイ青年は今にも胸ぐらを掴まん限りの勢いで対立する彼らへと敵意をむき出しに言葉を吠える。クラス一温厚な図書委員長ですら頬をぷくーと膨らませ怒りを露わにしていた。


「「「………」」」


それに応対して、心なしか彼らの瞳に冷たいものが走るのを僕は見逃さなかった。


ハァ…先程まで、あんなに平和的だった空気はピリピリと、まさに一触即発である。


逃げたい。それが今の僕の素直な感想だった。


しかし、そんな僕の学ランの裾を黒髪ロングの少女がくいっと引っ張り、無表情でーー震えていた。


ハァ…、これは僕に止めろと言っているんですよね?


僕は少女の指を優しく解く、


「皆さん、落ち着いてください。」


そして、クラスメイト、王、貴族達の様々な感情に彩らせた視線を一身に集めながら言葉を紡いだ。


「まずーー」



ーーまずは、状況整理としましょうか。









▼△▼△▼△▼


僕の名前は、鬼将 終夜(きしょう しゅうや)17歳

普通科の県立高に通う、ごく普通の学級委員長だ。

中学の頃から学級委員長をやっているお陰か人付き合いが多く友達が多いことが自慢で、あと成績で4位以上をキープし続けていることが密かな誇りである。


そんな僕は……いや、()()は今日『クラス異世界転移』と言われる現象に巻き込まれ、ホームルーム後の退室した教師を除き、まるごと全員異世界に連れさらわれた次第である。


なんでもこちらの人々(異世界人)は、魔族や亜人による一方的な侵略行為で危機的な状況に立たされており、立ち向かうだけの戦力が足りず、失われた古代魔術を復活させ『勇者召喚の儀』を執り行ったらしい。彼ら的には、戦争のない平和な世界で育った僕らに、強力な力を神が授けたからと、血で血を洗う最前線に出て敵を蹴散らしてほしいとのこと。


……馬鹿じゃないの。


そう思いつつ、皆に混乱が広がる前に僕はクラスメイト達の代表となり異世界の王と言葉を交わした。


Q「帰れるんですか?」


A「魔族達を半分以上殺すか、魔王を討伐すれば帰りの魔力も貯まるんじゃないかの」


Q「戦わない選択肢は?」


A「ない」


Q「死んだらどうするんですか?」


A「強いし……多分死なんじゃろ」



……馬鹿だね。


そう確信しつつ、皆にそれっぽく説明し直した僕を褒めて欲しい。

それで一旦は、皆んな渋々ながら納得してくれたのにも関わらずーー


スキル?はぁ?当たり外れがあるのかよ?ふざけんな○すぞ


クラスで一番頼り甲斐がある(アンケート調べ)歴代一位の僕を早々に人質に取ろうなんて物騒なことを言うもんだがら、、、


一触即発


かなり由々しき事態だ。

ラノベに詳しい佐藤君に限っては


「我が左手に宿りし……漆黒の魔獣よ」


なんか、奥義ぽいっオーラを放とうとしているし、


貴族に付きまとう騎士達は剣に手を添え始めた。


あと一押し何かあればここは戦場と化すだろう。

授けられたスキルとやらのお陰か、“外れ”と言われた僕ですら有り余る力の本流を感じるのだ…本当にどちらが有利か分からない。間違いなく双方に多大な犠牲を出す最悪の泥試合になる。


ーーだから


「王よ、一つ提案があります。僕を執事として雇う気はありませんか?」


僕は僕なりに最善手を打たせてもらうよ。

主人公のクラスメイト達からの印象は『めちゃくちゃ頼りになる・最後の砦・最強の相談相手・甘えたい・彼氏よりお母さんになって欲しい』←的なポジションです。

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