4話 ▲(サンカク)
リョウ・イナミルスとイソロヤ…
彼らはとことんダメダメだった(苦笑)
〜ギルド内にて〜
「あの…………イナミルスさん…………」
おずおずとリョウ・イナミルスの名を呼ぶ
少女、コニー・ナレイナは頭に巻いていた包帯
を外しながら遠慮しながら聞いた。
「なんで私とパーティーを?
他にも頼れる人ならいくらでもいるはずなのに」
「リョウでいいよ。他と言っても心当たりも
何も無いし。それに、パーティーでなら報酬も
たくさん貰えるし。」
と、ショートソードの手入れをしている青年、
リョウ・イナミルスは所持金を確認しながら
答えた。
コニーは、そんなリョウの目が他と違う何かを
密かに感じ取っていた。
他の目は、大抵目が金貨になっていたが、
リョウの目はこれからのパーティー生活を
楽しみにしているように見えた。
コニーが巻いていた包帯を外し終えた時、
リョウは1枚の紙を渡してきた。
そこには、「パーティー結成書」と書かれ、
下の欄のリーダー枠にはリョウの名が
書いてあった。
「まぁ、ゆっくり考えてくれ。」と言うと、
リョウは装備を買いに市場へと出て行った。
「…………………」
コニーは悩んでいた。
自分は『また』仲間を
見殺しにしないか、
自分は『また』仲間の足を
引っ張ってしまわないか、
コニーにとって、それが一番怖かった。
ふと、コニーは机の上に何か置いてあるのに
気づいた。
見ると、新調されたナイフと杖があり、
それぞれの持ち手に『コニー』と
不器用ながらも彫られていた。おそらく、
リョウが彫ったのだろう。
しかし、このナイフも杖も初期武器より性能が
高めの「ストーンナイフ」と「ロングワンド」で
どちらも銀貨6枚もする、活躍している冒険者並み
に稼いで無ければ買えない代物なのだ。
なぜこれがあるのか疑問に思っていると、
「あなたが昨日血まみれになってた方かしら?」
コニーに話しかけてきたのは、いかにも魔女と
いう感じのエレガントな雰囲気を漂わせてる女性
だった。その女性はコニーに向かって微笑んだ。
「そうですが、どちら様ですか?」
コニーが問いただした。
「私はミント・ヴィースタ、あなたに用があってここにきたの。」
そうミントが言うと、スルリと先端にダイヤが
刺さった杖を取り出し、コニーに先端を向けた。
コニーはミントの行動から、
自分を殺しに来た事を察しその場から逃げようと
サッとミントの背中にまわりこみ、
そのまま逃げようとした。
しかし、近くの机の角にお腹をぶつけ、思い切り
バランスを崩してそのまま転んでしまった。
ミントはコニーの転ぶところを見て、バカにするかのごとくあざ笑った。
「あらあら、残念だったわね。
机の角にぶつかるなんて(笑) でも安心して。
すぐ楽にしてあげるから………」
そう言うと、上位物理打撃魔法『ルーリラブレイク』の詠唱を素早く終え、杖を両手で
振り上げた。
コニーは、今度こそおしまいだと目をつぶった。
そしてミントが思い切り振り下ろした………!
ガギィィィィン…………………!!!!!
その時、何かがミントの杖にぶつかる音が聞こえ
コニーは目を開けた。
「え…………………?」
そこには、市場に出かけていたはずのリョウの姿があった。
しかも、ミントの上位物理打撃魔法と互角に
対立しあっているのだ。
さすがの状況にミントは焦った。
(どういう事!?私の魔法と互角!?
ありえないんですけど!!!!!)
心の中で自問自答しているミントに、リョウが…
「おい。俺の“仲間”に何してくれてんだよ。」
と怒りに満ちた眼差しで睨んだ。
「ふ、ふん!アンタに関係ないでしょう?
わかったらサッサとどいてくれないかしら⁇」
と、ビビりながらも睨み返すミント。
すると、余裕の笑みを浮かべるリョウは、
思い切り息を吸い………………
「すいませーーん!!!!!
魔女が襲いかかってきたんですーー!!!!!
誰か助けてーーーー!!!!!!!!!!」
「ちょっとぉぉぉぉ!!!
悪者扱いしないでぇぇぇぇ………!!!!
このクズ!クズ!!クズぅぅぅぅぅ!!!!!
わかった!!!!!!
わかったからもうやめてぇぇ!!!!!!!!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃ」
フフフ…………………
これこそ「SOS作戦」!!
第三者から同情をもらい、相手に精神的ダメージ
を与えるという少々クズな作戦!!!!!
案の定、気づけばミントは土下座で謝っていた。
※その後、二度とこのような事をしないと約束して
もらいました。
〜その夜〜
「あの………リョウさん………………」
ベッドに横になりながらコニーが尋ねた。
「ん⁇どうした?」
「あの時なんで私のことを仲間って言ったの?」
するとリョウは当然だと言うかのごとく、
「え?そんなの仲間だって思ったから。」
と答えた。
すると、コニーは1枚の紙に名前を書いて
渡してきた。
そして、リョウに
「よろしくね、リョウさん!」
と微笑んだ。
その紙には、『パーティー結成書』と書かれ、
下の欄には2人の名前が書いてあった。
『リョウ・イナミルス』
『コニー・ナレイナ』
そして、下のパーティー名には
『▲(サンカク)』
と書かれた…………………
こうして、またひとつ
パーティーが結成された。
ついに「▲」始動!
※「4話でひとくくり」という感じで
書いていこうと思います。
次話も乞うご期待!!!!!