第8話「圧倒的権力差、圧倒的実力差」
第8話「圧倒的権力差、圧倒的実力差」
俺らはこの国の第一王女のクリス・サウザンドを連れてギルドを訪れた。何も起こらなきゃいいけど。
「サクラ、お前はここで待ってろ。黒丸、サクラを守れよ」
「了解」
「はい!分かりました!」
サクラは元気な笑顔で返事をしてくれた。
「…さぁ、クリス…さん?登録するからこっち来い」
「ゼロ様!私は呼び捨てにして頂いて構わないのですよ?むしろ呼んで頂いた方が…」
「ちょっと黙れ」
一瞬で回りの冒険者達の視線を集めてしまった。
「おい、冒険者登録だ。こいつは王女だから試験は要らないよな?」
俺は少し威圧も込めてギルド職員に問う。
「えっと…何故王女様が…?」
「私はゼロ様と婚約を結びましたの。なので一緒に暮らすには冒険者になろうと思ったのです」
その言葉にこのギルド中の人間達が驚いた。
「えっと…その、王女様はいいのですか?」
「良いと言っておる。早く登録してくれ」
眠いなぁ。早くしてくれよ。
「で、では2日後に試験がありますので…」
「待て」
王女なんだから融通してくれないのか?冒険者ギルドはこれで処罰を受けるとかないのか?
「…出来たら試験は無しにして欲しいのだが…」
「で、ですが試験を受けないとそこら辺の魔物でさえ倒せないので、力をつけて欲しいという目的も試験には含まれていますので…」
なんだ、そういう事か。
「じゃあ俺が守ればいいのか?王にも認められたし」
「ダメです。いくらなんでも王女様を危険に晒す訳には出来ません」
これは無理なやつだな。まぁ、無理なら無理でいいんだが。
「はぁ…ならば国家反逆罪で処刑にするぞ?」
「はい!許可します!」
この一言で治まるのか。権力めっちゃ悪用してるじゃん。
「登録出来ました!ではゼロ様、早速魔物を倒しに行きましょう!」
「…じゃあ行くぞ、サクラ、黒丸」
「「あいあいさー」」
「じゃあ、こいつがスライムだ。とりあえず殴ってればいつかは死ぬから、簡単だろ?」
「え、なんかヌメヌメしてて嫌です」
「ならばこいつだ。ゴブリンだがとりあえず殴ってれば死ぬ」
「え、キモイので嫌です」
「じゃあこのオーk…」
「キャーーーー!!なんでオークがここに居るんですか!そんなの倒せるのはBランク以上の方だけですよ!」
これは無理だな。なんでこんなワガママなんだ?オークなんて風圧だけで死ぬようなやつだぞ?
「黒丸、助けろよ」
「うーんそうだね、まずご主人が倒す見本を見せればいいんじゃない?」
「わ、私もそう思います」
そう言うなら…
「じゃあクリス、今からオークを倒すからちゃんと見ておけよ?」
「は、はい」
俺はオークに向かって人差し指を向けた。
そして俺はオークをつついた。その瞬間オークが弾け飛んだ。周りは血だらけ。何故かサクラとクリスが引いてた。黒丸も若干呆れていた。
「…うん、ご主人のは参考にならないね。そもそもつついただけで吹き飛ぶのは普通ありえないよ」
これは…教育に苦労しそうだ。
忙しい