第6話「支配者」
100話目標
第6話「支配者」
俺はサクラと黒丸を連れてギルドに帰った。
「おい、黒丸。挨拶しろ」
「やぁ!僕は黒丸。あそこにいたドラゴンだよ」
その瞬間ギルド内の冒険者が全員逃げ始めた。なんだ?人見知りなのか?
「クエストって討伐なんだけど別にいいよな?」
そう言うとギルド職員達は慌てて誰かに連絡を取っていた。
「あの…ゼロ様、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思うぞ。おい、誰に連絡を取っている」
俺が問うと職員全員で、
「「「国王に連絡してるんですよ!!!」」」
何故かキレてきた。
しばらくしていかにも貴族用の馬車が迎えに来た。正直要らないんだがな。
「では、ゼロ殿、黒丸殿、こちらにお乗り下さい」
「おい待て」
「はい。なんでしょう?」
俺は疑問をそのまま口にする。
「サクラは乗せないのか?」
「その方は奴隷ですよね?でしたら馬車に乗せる必要はありません。奴隷なのですから歩いてくるのが普通です」
そうか、この国は腐っているようだ。
「ではサクラ、命令だ。乗れ」
「「えっ?」」
使いの者だけでなくサクラまで驚いた声を出す。
「早く乗れよ」
「は、はい」
サクラは喜んでいるのか少し笑っていた。使いの者は納得いかないような顔をしていた。
そして俺は黒丸に問う。
「お前の親は魔王に仕えていたか?」
「うん、そうだよ!僕のお父さんは僕の何倍も強いんだ!」
俺より弱いけどな(笑)
「ええ!黒丸様のお父様は魔王様に仕えたていたんですか?!」
「う、うん。そうだけど…別に僕が仕えてた訳じゃないしね」
今まさに仕えてるんだけどな(笑)
そんな会話をしていると王城に着いた。
「お、大きいですね…」
「僕の巣と同じくらいかな?」
「俺の城の1000分の1にもならないな」
サクラはともかく俺と黒丸の発言に使いは軽く引いていた。
「…早く連れて行け」
「は、はい。こちらです」
王の間に着くまでに沢山の金になりそうな…ゲフンゲフン 高価なものが並んでいた。
「こちらです。私はここからは行けませんので」
ドアが開いた。やっと王とご対面か。
「おお!来てくれたか!君が噂のドラゴンだね!」
王がいきなり生意気に喋りかけてきた。
「ねぇ、君王様なんでしょ?なら僕に挨拶する前にご主人に挨拶するべきじゃない?それとサクラにもね」
「おお、それはすまなかった。私がこの国の王、クロノ・サウザンドだ。よろしくな。そちらの…奴隷の少女も…」
王は俺には気さくに、サクラには少し引きつった顔で挨拶をした。
「それで、王様(笑)は何故俺らを呼んだんだ?」
「待ってくれ(笑)とはなんだ。仮にもこの国の最高権力者だぞ」
すかさず自称王様が突っ込んできた。
「だから自称でもないって、心の声だだ漏れだから。流石に傷つくよ?心に大きな穴があくよ?」
知らん。
「それで、何故俺らを呼んだ」
「君がドラゴンを討伐…いや、仲間にしているからだよ」
「何か問題でも?」
問題があるなら脅して納得させるまでだ。
「いや、むしろ感謝している。私たちからしてそのドラゴンは驚異でしかないからな」
「黒丸良かったな。力が認められてて」
「いや、別に嬉しくないよ。僕としても怖がられるのはあまり好まないんだ」
へぇー意外ー(棒)
「そこで君達には褒美をやろうと思う。なんでも言いたまえ」
だと思ったわ。このチャンスを俺は逃さない。
「ならばサクラを奴隷ではなく一般の平民として認識しろ。服なども用意してやれ」
「それだけでいいのか?」
逆にいいのか?
「…ならば、一生遊んで暮らせるレベルの金をよこせ」
「ハッハッハ!そうこなくってはな!」
なに?この王様Mなの?そう言えばこの王様のステータスも見とくかな。
無魔法-鑑定-
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クロノ・サウザンド
Lv180
職業 王
体力 100
筋力 10
敏速 5
知力 1380
魔力 500
幸運 580
スキル
魔力増強
加護
先代の加護
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人間にしてはまぁまぁだなだが俺には及ばない。やはり人間だな。
「あ、あの…」
「どうした?サクラ」
「わ、私の為にそこまでしなくても…」
何を言っているのだろう。
「お前は俺が守る。それにお前が奴隷と認識されるのが耐えられない」
そう言うとサクラは頬を紅く染めた。熱が出たのか?
「ゴホン、それでお願いがあるのだが…」
「なんだ?」
またろくでもない依頼だったらこの国を出てってやる。
「クリス、出て来なさい」
クロノがそう言うと奥から幼い…いや俺から見たら全人類赤子だがな。まぁそんな感じの人間の娘が出てきた。
「は、はじめまして。私はこの国の第一王女をやらせて頂いています。クリスと申します」
あぁ…なんかこの先の展開が予想できる……